インターグリーン社社長との話の中で


先週一週間、オランダとノルウェーに行ってきました。ダッチフラワーグループの三巨頭のうちの1つである量販店花束加工業者、インターグリーン社で、小生の長年の友人でもあるその社長と情報交換をしました。彼はオランダの花き栽培につき、大変な危機感を持っており、びっくりしたと同時に賛同できる内容だったので、それをここでお話します。

ダッチフラワーグループは輸出と南アフリカを中心とした輸入、そして花束加工のインターグリーン社の3つから成り、オールラウンダーとして活躍している会社です。彼はウェストランド地域の生産者が今後生き残っていくにはどうしたらよいのか真剣に考えていました。家族経営から脱却して、社員数こそ少ないものの、大規模面積で生産する企業化した農業を行っているこの先進的な地域でさえ、向こう10年の間に花を生産をしていくことが益々難しくなるのではと彼は考えています。例えば、生産品目をカーネーションから中小輪のバラとスプレーバラに変えたケニアは、イスラエルが戦争している間にオランダへの最大輸出国となりました。このため、オランダのバラの生産者は大輪に生産をシフトしていかざるを得なくなりました。

インターグリーン社は、生産者と共に、ここウェストランド地区で商売をしていくために、長期予約相対の比率をここ3年で倍以上に引き上げました。そのうち生産委託や資本の関係はないものの、協業している生産会社からの供給は全体の3分の1に及び、まさに品種選定から始まってジャストインタイムに近いラインを敷くことにより、ウェストランド地域で花束加工業を営んでいます。自分が花束加工をするためには、どうしても地元の生産が必要だというのです。生産者に自分達の仕様を理解してもらい、客先に合った品種や規格のものを生産してもらおうと生産者と取り組んでいます。インターグリーンでは、イギリスにも花束加工会社を作りましたが、その基本にもオランダの地元ウェストランド地域の生産者と一緒に歩みたいとの気持ちが強くあります。

また小生から「既にコロンビアで行っているように、アメリカ向けの花束を現地加工しないのか」と問うと、「そうせざるを得ないかもしれないが、そうしなくても済むように本格的に3年前から地元の生産者と取り組みだした」という返事でした。日本に比べ数段グローバリゼイションが進んでいるオランダの花き産業においても、このように国を意識し、自国の生産者と共に歩もうとする流通業者がいることを知って、大変心強く思った次第です。




2002/06/17 磯村信夫