休・開市


第3回東京都中央卸売市場取引業務運営協議会が開催される。各市場には部門毎に設けられた取引委員会、その上のその市場の総合取引協議会、そして東京都全体の卸売市場の取引業務について最高の意志決定機関として冒頭の協議会が置かれている。青果・水産・食肉・花きは部門が分かれているだけで同じ卸売市場法を適用しているので、品目毎の商習慣による特別なルールを都の施行規則の中で定めていたり、末端の取引委員会で決められたりすることが多い。

今日の会議の主題は休・開市日についてだが、決定前の花き部休・開市検討会では、花きも青果と同様の水曜休市について議論された。しかし、ここ10年ですっかり月・水・金の切花大市と火・木・土の鉢物市が定着した感がある。また、中央卸売市場の花き部の休市は、切花は木・日、鉢物は各市場毎によって異なる。大田市場では、火・木・土の鉢物市を基本とするが、週2回火・土を開市とする市場もあり、花き部の中でさえ統一を図ることが難しく、青果と合わせる段階にはない。

全国的にみると、切花の休市については、北から関西地方までが木・日休みとしているが、中国地方以西は土・日休みとなっている。また、火・木・土に切花の入荷が多いかというとそうではなく、火曜日には月曜日のおおよそ10分の1の入荷量しかない。切花を中心に扱っている卸売会社は3日で1週間分を稼がなければならない、というわけだ。ここが卸売会社の収益を圧迫している点である。生産者が出荷のないときも価値を生む作業をしているのと同様に、卸売会社も入荷量が少なくても多い日同様、将来に向けての営業活動をしている。さらに、月・水・金の入荷量には割高の手当などを支払わなければ対応できない。当然、収支バランスが悪くなるのである。

では、農協の職員、運送会社、卸・仲卸など、生産者や小売店にサービスする役割のミドルマンたちが一致団結してそれぞれの損益分岐点を下げるべく、生産者に出荷の平準化と小売店に毎日の買上げをお願いすることが可能であろうか。それを難しくしているのは、生産者と小売店には個人経営の事業体が多く、今日は出荷する日、今日は手入れをする日、今日は仕入れの日、今日は店で仕事をする日などと日によって作業を分けて行う方が効率が良いという事情がある。

そうなると、花き業界の主役たちが1日おきの方が良いと言っているのだから、現状を改善することはなかなか難しい。社会的制約条件でこの慣習を打開できるだろうか。残念ながら、今すぐには無理なようだが、しかし新JAS法やトレイサビリティが可能になる体制作りなど、時代のニーズは花にもその方向を求めている。ここ10年ほどで出荷の平準化を確立させる必要があるだろう。

さて、現時点だが、収益を安定的に確保するためには、卸売会社は1週間に3回しか使わない施設などについて投資を差し控える必要があるだろう。また、アルバイト比率などを上げて、人的資源を有効に活用できるような体制を作らなければならないだろう。花のプロとしての知識を有する卸売会社は、知識時代に向け姿を変えることが求められるだろう。また、健全な財務体質は何よりも重要な評価となるだろう。

かつて、花き業界では休・開市問題は卸側と買参人側でいつも対立する難問であった。それは、休市の前後に必ず相場が高くなったからである。1999年以降、状況はすっかり様変わりした。近ごろは買参人からもっと連休を作ってもいいですよ、と言われる始末である。同じ価値なら価格が上がることはあり得ない時代となっていることを買い手側は感じているようだ。




2002/07/15 磯村信夫