3つの品質


8月17日土曜日に第12回大田バラ会が開催された。日曜日の日本農業新聞でも一部紹介されたが、概要のみの紹介となったので、当社の考える品質について言及したい。

品質について3つあると当社は考えている。1つは商品品質と呼び、外観と中身がその対象となる。中身とは将来の外観のことで、そのために時系列で追った品質検査が欠かせない。
2つ目は今最も重要視されている品質で、市場品質と呼んでいる。例えば、愛媛の東予園芸殿は1ヶ月前に出荷予告を行っている。こういう早目の出荷情報はジャストインタイム物流などとともに市場品質が高いと評価される。このように、情報とロジスティックに関わることが市場品質である。日本花き取引コードを使い、事前情報や売り立てをインターネットを使って交換するEDIなども市場品質に含まれる。欠品率も市場品質項目だ。
3つ目は社会的品質と言われるもので、現在の社会の関心事である環境問題にどのように対応しているかという点から格付けされているものである。

商品品質は全ての人達の関心事だ。市場品質は消費者を除く、我々プロの業者の関心事だ。社会品質は生活者の関心事である。花き業界のお客様は消費者であるが、買って販売する買参人といわれるプロの小売業者や仲卸もお客さんである。1998年以来、価格が下がり潤沢感が漂う。このような販売状況の中で、自分の産地、自分の卸売会社を優先的に選んでもらいたい、シェアを拡大したいという思いから、生産地と卸売会社は今市場品質に磨きをかけている。

この3つの品質のバランスが最も取れている産地の一つとして、茨城県の常陸野カーネーション組合をご紹介したい。外観もよし、花保ち保証をしていて中身もよし、事前情報もインターネットで的確に送ってくる。勿論こちらも情報をインターネットで返信する。ホームページを使ってトレイサビリティができるよう工夫をしつつある。それは、誰が作った商品かは言うまでもなく、今後の作柄も見て分かってもらえるようにする。時期を限ってだが、減農薬・無農薬商品として販売しようとしている。

選ばれるための条件はいろいろあるが、花き業界はようやくここにきてバイヤーの仕入れ条件を考え、卸は産地と一緒に改善努力をするようになってきた。あとは、この速度を速め、他産業に比べ遜色のないように各品質を高めていくことである。




2002/08/19 磯村信夫