経営組織論


日立製作所がビジネスプロセス改革本部を作ったように、ここにきて日本も横糸強化型の組織を作る会社が多くなってきた。
ビジネスプロセス・リエンジニアリングとは、顧客志向に基づき組織や仕事のやり方を再編成することであるが、日本ではごく一部の会社を除き、行われてこなかった。リエンジニアリングのあと出てきたリストラクチャリングの「リストラ」だけが、日本の産業界を埋め尽くしていた。しかし、日産自動車のゴーン社長がクロスマーチャンダイジングの一環として良い車を消費者に提供するため、部署横断型のチームを作ったり、コスト20%削減を目指して各部署から若い有能な社員を出させチームを作ったりした。社長直轄とし、プランを練り上げた後、各部署に戻し実践させた。
「5%の企画力と95%の実行力」で見事V字回復を果たした日産自動車は、日本の産業界に強い衝撃を与えた。冒頭に記した日立製作所のビジネスプロセス改革本部も、各部署から横断的に人を集めて構成されている。

日本では組織を機能別に縦割りしている。サプライチェーンで縦に流れていっているわけだが、これだと部分最適に陥り、「売れないのを開発のせいや、営業のせい」にしがちになる。本来、上役は社内で横のつながりを付け、全体最適を目指すように組織を指導する役割を持つが、すっかり日本では全体最適が機能しなくなってきていた。「お役所みたい」「大企業病」と言われたが、組織の作り方、仕事の仕方が間違えていたのだ。
顧客の欲求を感じ取り、それを開発につなげないと、企業は生きていけない。潤沢感はあらゆる業種に渡って漂い、真の顧客価値創造以外には生き残れなくなっている。この真の顧客価値創造のための組織編成の例として、セブン−イレブンの本部が挙げられるだろう。

花き卸売会社や花き生産地にもこれからどのように横糸を強化し、組織として縦・横の有機的な結びつきを強め、弾力性のある組織にしていくことができるかが、求められている。デジタルエコノミーの下では、まるで資本系列のある会社のように他社と協業していくことが多くなっていくであろうから、社内だけではなく社外との結びつきを今後強め、より効率的に成果を上げていくためにも、まずはビジネスプロセスの改革を花き業界も行っていく必要がある。




2002/09/23 磯村信夫