上半期を振り返って


4月から早半年、上半期に起こったことを記したい。

1. 花き卸売市場の閉鎖や倒産
新潟県の卸売市場や埼玉県の卸売市場が閉鎖および倒産した。小売から売掛金を回収できず、仲卸が倒産し、それが不良債権となって卸の経営を圧迫、銀行からの資金手当ても思うに任せず、仕入先である産地などへの送金が遅れて出荷を停止された。負債総額はいずれも3億円弱。これ以外にも茨城県の卸売市場が倒産、負債総額2億円弱。
仲卸が立ち行かなくなり、倒産するのは日常茶飯事となったが、卸売会社も倒産する時代になった。
これらの現象を踏まえ、花き業界でも格付けを明確にした取引が行われるようになってきたが、一般産業界のように、販売先のみならず、仕入先に対しても与信をする厳しさには至っていない。こちらがお金を払う立場でも、仕入先の与信を行っていかないと、安定した供給を受けることができるか判断できないので、仕入先に対しても与信管理をするのが当然である。花き卸売業界もこのような状況に早晩なっていくであろう。

2. デフレは止まらないものの、最悪期を脱した。
6月を除き、前年並みかそれ以上の単価となった。特に8月・9月は、3年前の水準に戻った。花は景気動向よりもまずは天候による需給バランスで相場が形成される。需要が落ち込んだ母の日以降、また8月の盆以降も堅調相場となったのは、いずれも供給が極端に細くなったためであった。デフレだと需要動向は全般的にサラリーマンの所得が前年より下回っているので、量が潤沢になると相場はすぐぬかるんだ。しかし、この上半期でリストラ対象年齢である団塊の世代の人たちが、再び花を買い始めたので、最悪期を脱したといっていい。しかし、この下半期の産業景気予報は依然雨マークに変わりない。

3. 無登録農薬使用問題
安全性に問題のある無登録農薬を使用した花は、観賞用としても卸売市場は扱ってはならない。しかし、青果業界と異なる点として、その農薬が花には無害にもかかわらず、対象作物として花を登録していない現実を鑑み、弊社では人体に害がないとされている農薬を使った花はよしとすることとしている。
今月、全国卸売市場協会(会長碇山幸夫氏;東京都中央卸売市場長)は全農と各経済連に対し、食の安全性確保の観点から、「無登録農薬は一切使用しない」「国民が納得できるよう、情報を開示する」などを強く要請した。しかし、花きは青果で行われている登録対象作物以外の使用禁止条項では、事実上生産できなくなる品目が多くあることを踏まえ、口に入れても大丈夫な農薬であれば、使用したものもやむを得ず受け入れるという判断である。ただし、人体に影響があると確認されて登録抹消された農薬は、観賞用としても使用してはならない。取扱い商品のトレイサビリティを含め、花き卸売市場流通においても責任の所在を明確にした、顔の見える流通販売が欠かせなくなってきている。




2002/09/30 磯村信夫