マーケティング手法を考える


 この上半期は、特に8月、9月とキク類が不足しがちで高値が続いたため、産地、卸売業者、仲卸業者まではまあまあの実績を残したのではないだろうか。しかし、消費者の購買意欲が増進したわけではないので小売店では利益率を落としたところが多かったようだ。花き業界全体の成長のことを考えると、生産者から小売店まで全てにおいてそこそこの利益がでるようでなければならない。

我々卸売業者や専門店はこれまで、「マッカーシーのマーケティングミックス」と呼ばれる手法でマーケティングをしてきたと言える。マッカーシーはマーケティングの方法として「4P」、つまり「Products(製品)」、「Place(流通チャネルや販売する場所)」、「Price(価格)」、そして「Promotion(販売促進)」を挙げている。しかし、グローバリゼーションとIT技術、そしてイノベーションによる経済環境の進歩と、消費傾向の多様化、そして同時進行しているデフレスパイラルの下では、「4P」では対処しきれなくなってきているように思える。そこでより適したマーケティング手法として挙げられるのが「コトラーのマーケティングミックス」ではないかと思う。コトラーは「4C」を掲げている。すなわち、まず「Customer Value(顧客にとっての価値)」は何かを明確にし、次に「Cost to the customer(顧客の負担)」である取引コストや価格そのものの引き下げを行う。3番目に「Convenience(入手の容易性)」、つまり取引に余分な手間がかかっていないかを検討し、最後に「Communication(コミュニケーション)」を取り続けて変化の激しい時代に顧客を維持することが重要だと説いている。このコトラーの「4C」はこれまでのマーケティング手法とは逆で、「顧客こそ資産である」というカスタマー・エクイティの認識から生まれたものだ。

これを踏まえると卸売業者と生産者はパートナーであり、共同して買参人の購買を促進することが欠かせない。またさらにもう一段推し進めて小売店までを運命共同体のチームとし、より多くの花を買ってもらえるよう消費者にアピールしていかなければならない。

つまり、再度マーチャンダイザーとして、生産者、卸売業者、買参人がパートナーシップを発揮し、消費者の価値観を突き止め、商品価値を高めるべく消費者コストを抑え商品の市場性を拡大し、常に消費者に受け入れられる態勢を構築することが重要である。その上でコミュニケーションを大切にし、スムーズな情報交換を通して顧客マネジメントをすることが今の時代にフィットしたスタイルなのではないかと考えている。




2002/10/21 磯村信夫