年の瀬の相場


本日は営業日としては今年最後の月曜日であり、この暮れで最も荷が多い日となる予想である。昨年は24日が月曜日だったので、小売店の皆さんはお店にはクリスマス向けの品物がある一方で、お正月向けの花材を仕入れてらっしゃった。そして人通りの少なくなったクリスマスイブの夜から明け方にかけてお店の衣替えをし、切り花の水揚げをして25日の朝からお正月用のお花の販売を始められた。
今年は日付と曜日の関係で、お正月の花の仕入れは25日(水)で良いと思っていらっしゃる方が多いように見受けられ、今日、23日のセリは買い気今ひとつというところで始まった。

新聞やニュースで伝えられているように、産業の空洞化は地方都市の経済を圧迫している。先日地方に住む友人と会って話をしたときに、「東京はいいよな。具合が悪くなった会社があると、次の会社が乗り込んできて雇用は維持される。でも地方は…。」と言っていた。北関東から東北地方では昨年から工場閉鎖が始まり、今年はIT不況の波もあり九州にまで広がっている。全産業で不景気が長引いている関係で、花き業界も例外でなく日本中で間際買いとなり、年末相場の動きは総じて後ろにずれ始めた。これに対応しきれない地方市場では今年の市況は15日から20日までばらつきが大きく、かつての定石(15日からは地方市場、押し迫ってから都市部)が崩れている。これも、不況下におけるグローバリゼーションの影響である。

高速道路や新幹線、空港などの整備が進み、東京のようになるのが今までの地方都市の願いであった。しかし、少しオーバーに言うと、グローバリゼーションの中、東京は既に日本ではない。東京、ソウル、上海、香港、シンガポール、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ミラノなどは都市国家群を構成し、インターナショナルな街として生きようとしている。一方、地方都市は地方分権や地産地消、さらに地域特有の豊かさが求められ、本来の日本の良さを前面に出し日本文化を体現する街である必要がある。花き業界でも地産地消を活かす荷物と大消費地で販売する荷物のバランスをとる必要がある。

今、花き業界はデフレとグローバリゼーションに応ずるため、第1回目の整理統合の時期となっている。再び活性化させるには、州道制をにらんだ地方の固有のあり方にかかっているのである。これは県と地域農政局の2つの単位で地元の生産・流通・小売りに携わる各者が地元の花き文化を再認識し、相互依存の連携を強めるところからしか生まれないのである。




2002/12/23 磯村信夫