花き流通コスト事例調査を読んで


『花き流通統計月報』で平成13年度花き流通コスト事例調査結果(平成14年11月8日農林水産省統計情報部発表)を読んだ。生産・中間流通業者・小売りそれぞれで利益を生み出すのに苦労している様子が推察される。しかし、分析資料としては、見方を変えたデータが必要だと感じた。生産や流通といった個々の場面を担うものがそれぞれの課題に個別に取り組むことも必要だが、それだけではなくサプライチェーンに携わる者すべて、つまり花き業界全体で消費活動の活発化に取り組んでいくことが重要である。
例えば、消費者が100円の花を買った場合、その100円を花きの流通に携わる者はどのように分け合っているのかというものだ。この分析資料があれば、実際の取引条件や、様々な費用負担、ロス率などを鑑みたときに適当な配分になっているか検証し、改善していく判断ができるからだ。コスト面だけを改善すれば良いというものでもないが、理想的なサプライチェーンを築きあげることが、消費者の需要喚起となることは事実である。
消費者に買ってもらうためには、消費者が少しでも多くのメリットを感じるようにしなければならない。しかし、デフレ下では商品価値が同じだけではリピートしてもらうことも難しい。それではプラスアルファのメリットをどこが供給することが最も効果的なのか?生産現場でのコスト削減だろうか?中間流通での鮮度保持だろうか?小売店での付加価値だろうか?消費者に軸足を置いた統計調査が非常に困難であるのが現状であるが、こういった側面からのデータ検証が可能になると良いと思う。

本年1年間ご愛顧賜りまして、誠にありがとうございました。来年も引き続き倍旧のご厚情を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

新春の小欄第1回は1月6日です。




2002/12/29 磯村信夫