独立店舗の繁盛を願って


ここ10日間、切花の相場は同時期3年間で最も低い水準であった。鉢物が12月から安値で推移する中、切花は加工調整技術=料理の技で付加価値をつけ、利益を確保するには欠かせない素材との認識で、花屋さんたちは仕入れをしていると思っていた。(鉢は商品として流通しており、価格競争になりやすいと思っている。)しかし、切花も量が増えるとともに、低調な市況となった。
以前にも言ったことだが、花の市況は天気、景気の順に影響する。

さて、久し振りに定点観測をした。昨日だけで見ると花桃は独立店舗よりも、スーパーや百貨店の食料品売場での売上が勝っていたと思う。要因としては、スーパーや百貨店の方がひな祭りの雰囲気をうまく演出しており、ここに明暗の鍵がある。独立店では、いずれも春の花は売れていたが、ただ単に素材として桃や菜の花などを置いていたり、桃の花束を作っているだけなので、「ついで買い」の顧客層を呼び込めないのだ。週末は是非とも「ついで買い」を促すような演出に努めて欲しい。

商店街の花屋さんを定点観測しているが、その商店街の集客力の低下とともに、売上が落ちてきているのが分かる。そのお花屋さんはお客様に心から温かいサービスをしているにもかかわらずである。残念だが、今後益々人通りの多いところと、そうでないところで収益力に差がついていくように感じる。
独立店舗の花屋さんは、これからどのようにしたらよいのであろう。方法はいくつかあると思うが、やはり「納め」ないし「仕事」と「スクール」、そして「店売り」の3つを行うことではないか。地域のお客様に利用されるためには、店売りに力を入れなければならない。力を入れたとき、品揃えを充実させ、ロスを回避するために、仕事や生け込みなどの納めが重要になってくる。納め先は地域の会社や病院、美容室、飲食店などで、1週間持つ花を置いて、週半ばにメンテナンスに行くか、1週間に2回花を入れ替えるなどして、利幅が薄くても評判を取る方を選ぶ。またスクールや活け花教室は、花屋さん自らが先生になり教える。地域への恩返しを重点的に考え、スクールを営む。ここでも利益を出さなければならないが、社会還元を重点的に考えて行う。
このように、地域のお客様に評価を受け、認められるようになると、店売り用の品揃えも絞ることができるようになる。お客様から「あれはないのですか」と聞かれても、なぜ自分がプロとして取り揃えなかったのか理由を言うことができるし、自分が仕入れたものをお勧めすることもできる。こういう個店になるためには、勉強好きであること、花だけでなく花のある素敵な生活を売るという認識を持つこと、自分が最も得意とするものを見つけ利益を出すこと、そして何に対してもまめであることが欠かせない。
個店で伸びている花屋さんは、いずれも第1世代で、2代目3代目の花屋さんはこのような経済情勢の中にあって苦しんでいるところが多い。皆様が頑張ってくれないと、日本の花き産業は元気にならない。ぜひとも2代目3代目の皆様にもこの方式を試していただき、繁盛をしていただきたい。




2003/02/24 磯村信夫