卸売市場法改正へ業界からの要望


社団法人日本花き卸売市場協会の東京支所は、新たに農林水産省より出される卸売市場規制緩和施策の答申に対して、意見具申をすることになった。花き卸売市場の取扱高が縮小する中、経営状態が思わしくない卸売業者が出てきている。しかし、卸売業者はその地域にとっていずれも必要不可欠な役割を担っている。もし、規制緩和が収入源である手数料収入の引き下げにつながった場合は、卸売業者にとって経営上大きな問題になる。従って、反対の表明をしたところであった。しかし、時局柄、規制緩和が民間活力の活性化につながると、その重要性、必要性も認識している。だからその手順としてお願いしたいのが、法的に規制する場合、中央卸売市場の開設者(行政)の団体である「全国中央卸売市場協会」が先に打ち出したアドバンス7を採用できる卸売市場から実行し、一定年限をもって卸売手数料率についての規制緩和施策の実行に入って欲しい旨を答申した。

以前小欄にて船舶のロジスティックについて書いたときにも触れたが、物流業者や仲立ち業の業務は基本的に次のような推移となっている。
その業界が成長段階にあるとき、誰でも自由に参入できる正規のプラットフォーム(取引の場)が必要である。このプラットフォームでは、取引の公正さを担保する監視機構と権威が必要である。そういえば、1999年までは生鮮食料品卸売市場は「平等」を大切な精神にしていた。取引の大小に関係なく「平等に扱うこと」であった。
しかし、市場規模が成熟期にかかると、完全に競争状態となり、価格の乱高下も激しくなる。そうなると売り手も買い手も、大手ほどリスクの無い、つまり安定した契約を望むようになる。また、正常段階のプラットフォームでは卸売市場外に対する競争力も機能しなくなる。今、水産関係で起きている現状がこれである。今後青果にも花きにも起こる可能性が高い。
そこで対応策が必要になるが、このプラットフォームはエージェントであるフォワーダーとの分荷調整までの物流加工になっていかなければならないのである。これが地域の消費者起点に立った新しいプラットフォーム像である。
新しいプラットフォームでのビジネスモデルは、生鮮食料品卸売市場業者も先輩産業と同様スペシャリスト化するか、物流業者化するかであろう。そのときの収益モデルは、地域内における規模の経済(シェア)を追求したものである。
今、老舗(30年以上続いている会社)の倒産が3分の1近くもあるように、古いビジネスモデルが淘汰されている。一般に5年ないし10年でビジネスモデルの変更を行わないと変化に対応できないと言われている。
この業界もまさに、実態が先行し、法令と条例改正が後追いしてきた卸売市場関連法案が軌道修正されようとしている。




2003/03/03 磯村信夫