「ルール化」


3月7日付け日刊食料新聞によると、農林水産省は第9回食品流通の効率化等に関する研究会で、手数料徴収の弾力化を明記し、卸売市場改革に一定の方向性を示した。小欄の前号でお知らせした通り、(社)日本花き卸売市場協会では、手数料の自由化を「裁量」措置にしてもらうべく嘆願したが、現時点では国として「ルール化」の方針を打ち出すことになりそうだ。「弾力化」とし「自由化」としないことから、卸売会社と取引先との利益のパイを分け合うルールを「費用対効果」とメリット・デメリットで当事者同士が決め、中央卸売市場の開設者が手数料率の設定につき許認可権を持つことにするのではと推測できる。

農林水産省と地方自治体は、市場業者と基本的に利害が一致している。現在の市場業者たちに今後もスムーズな生鮮食料品・花き流通を日本国民のために行って欲しいと願っているのである。
成熟国家日本は、グローバリゼーションの中、消費者に軸足を置いた方針を次々と打ち出してきた。規制緩和の流れがこれである。今、学識経験者たちは制度上規制しても意味がないと、次の3つの施策について注目している。まずは、10年以上適用実績がなく、既に意味のないものになっている砂糖製造業者の製造・販売数量のカルテル、次に中央卸売市場における業者間の協定、そして公安運送業者間で結ぶ運送条件の協定である。これらは実質カルテルの協定がないところを見ると、単に新規参入を退ける業界保護のためだけの規制であると言われている。

先ほど国の方針が「裁量」ではなく「ルール化」と言ったのは、「裁量」すなわち市場業者の収入の殆どを担っている手数料を一定期間おいた後に、そのときの状況に応じて判断するとなると、業界では希望的観測から、高コスト体質を改善しない可能性があり、その間市場外流通にますますシェアを奪われることになる。しかし、ルール化となれば、各社が低コスト体質に改善せざるを得なくなり、これにより流通において消費者の役に立つ市場業者が選別できるようにもなり、結果として国や地方自治体と思いが同じ市場業者が生き残るであろう。つまり卸売市場流通シェアはV字に回復していく可能性が出てくるのだ。

私は感情とは裏腹に合理性だけで考えると、この国の生鮮食料品・花き流通が国際競争力を持ち、消費者に納得してもらうためには、「ルール化」しかないと思う。




2003/03/10 磯村信夫