商社に学ぶ


先週金曜日のセリでは、後半から相場が下がり始め、土曜日も低調な市況だった。しかし、母の日需要の時でもギフトは堅調に違いないと読んでいたので、花屋さんの店売りはどうか、土日に小売店廻りをした。思ったとおり、地域に根差したお店は堅調に売れていたので、一安心した。その流れで今朝の相場はどうかとセリを見ると、15日の売り前で仏花用でキク類は堅調。母の日過ぎもどうやらメリハリのきいた相場展開が期待できそうだ。

さて、30年物国債の利回りが1%を切った(国債価格は上昇)。この悲観的な見通しは深刻な不安材料となる。そういえば、外国の証券会社が次々と日本から撤退したり、事業を縮小したりしている。また、土日のテレビ番組を見ていても、経済政策のものが多く、自動車会社のみならず、大手企業は海外で利益を出し、好決算を発表しているが、国内販売は我々と同様、労多くして利少なしの状況であることが確認できる。しかし、一部の上場企業は国内ビジネスにおいても確実に変化している。商社はこぞって国内の問屋や小売業に積極的に投資している(ダウンストリーム現象)。それはなぜか。一般に仲立ち業(ミドルマン)というのは多数の売り手と買い手がおり、多品種のものを消費者が好むのでアイテム数がやたらと多い。この2つの前提条件の中で、情報コストと在庫コストを削減する機能があるからだ。日本の商社はミドルマンのシンボル的な存在だが、彼らのビジネスの一つである物の売り・買いに口銭を取るという従来からのビジネスにおいて、機能を発揮しやすい川下に近い流通業に出て行っていることがわかる。知識社会にふさわしい情報のコストを誰が負担するか、制約条件の最たるものである在庫コストを誰が負担するか、このことは花の卸と仲卸で構成される卸売市場の機能についても、同様のことが言える。

国内で仕事をする我々花き業界においては、生産性を上げる道をいち早く探し出し、各社が自らの努力で利益の出る体質にしていかなければならない。そのために、最も大切なことは、情報力とロジスティック力の分野で能力を発揮すべきであると商社は教えてくれる。




2003/05/12 磯村信夫