利益配分の比重と花の消費


株式上場している3月期決算の会社が決算発表を行っている。利益を出したところは、輸出で稼ぎ出したところとリストラを実行し捻出したところと、2つに大きく分けられる。リストラの本来の意味もそうだが、近年、会社の所有者たる株主の意志や利益を適切に反映させようという傾向が定着してきた。今年、来年とイギリスを含むヨーロッパは、アングロアメリカン流に適合せざるを得ないとして法改正を行う。ライン川沿いの経済運営、いわゆるライン型ビジネスモデルは、会社を第一に、次に株主としていたが、ここでアングロサクソン流に株主を一義に置き換える。金融界がアングロサクソン流の評価を以って事業会社を格付けしているので、当然取締役は株主の負託に応える仕事を一義にしなければならない。ここが日本の経営者がいまひとつ文化的に吹っ切れないところで、落としどころは、株主のために中長期的な繁栄を目指すとする経営者が多いのである。
前段でも触れたが、エンロンの事件を契機に、コーポレート・ガバナンスをめぐる論議が脚光を浴び、最近ではりそな銀行問題でも分かる通り、監査法人もその立場に立った監査を強めている。当社も3月期決算であり、経営者としてコーポレート・ガバナンスというスタンスで会計監査を行っている。

さて、利益の配分で株主重視する一方、マイナスのリストラ策として労働分配率が低くなっている企業が増えている。給与所得者の所得が下がり、花の消費は品質が良くなっているにもかかわらず、安くないと売れない。自営業者と給与所得者は、花の大切なお客様であるが、いずれも所得が上がらないとなると、我々は消費者のターゲットを広げて仕事をしていかなければならない。高齢者が今の花き業界にとって最も大切なお客様であるが、このヘビーユーザーの方々には、一つ上の品質の花を恒常的に使っていただくように努力する。この年金生活者の方々の消費動向を調べ、花を提供していくことがデフレ経済化の花き産業にとって欠かせない。




2003/06/02 磯村信夫