得意な点をもっとアピールする


揚げ物を作るより、食する分だけを購入する主婦が多いらしく、商店街では揚げ物屋さんや惣菜屋さんが多く出店している。いままでは肉屋さんがカツやコロッケを売っていたが、今はとんかつチェーン店が商店街や量販店、デパ地下に出店し、天ぷら屋もその後を追う傾向にある。世の中は人々の気持ちがどのようになっているかによって、そのニーズを満たすべく、小売店は変化する。現在、花は雑貨屋さんやインテリアショップのようなところでも販売されている。ライフスタイルとライフオケージョンを切り口として商品構成することが好ましいと言う人もいる。消費者は切花でも花瓶に水を足すくらいのことはするが、水替えや切戻しなどはつい面倒に思ってしまう。だから、雑貨屋さんは水をあまりやらずに済む多肉植物や花保ちが良い花を選び、販売している。それがまた順調だからこの切り口は確かに当たっている。

よくライフスタイル、ライフオケージョンの切り口で、花屋さんは対応できないのではないかという声が聞かれるが、私はそうは思わない。専門店である花屋さんが他業種から、特に衣料品店などから学ぶとすれば、自分の店は何を主張したいのかを明確にすることであろう。例えば、高齢者マーケットを的確に捉えたことで名高い新宿の京王百貨店は、商品をブランドごとに置くのではなく、まさに○○屋さんのように服売場、鞄売場、靴売場なども業種別に陳列し、売上を伸ばしている。この方が高齢者は買いやすいのである。他には「季節の先取りをする」、「旬を主体に構成する」とか「ギフトならお任せください」と高級感をアピールするとか、55歳以上の年齢層をターゲットに品揃えをするとかである。花のある生活を提案するといっても、これだけ花売場がどこにでもあると、明確に自己主張をするとか、自分の店のイメージをお客様に植え付けていくことが欠かせない。そうでないと売上は下がっていく。やるか、やらないかの段階にきている。




2003/06/16 磯村信夫