成長を持続する高級花店と横の連帯への忠告


今日は2つのお話をいたします。

その1
高級専門店が伸びています。少なくとも3分の1以上の質販店と言われる高級専門店が、1990年バブル経済の絶頂期の売上を上回りました。結婚式の宴会花やギフトなどを手がけているのはどこでも同じですが、売上を落としつづけている専門店との違いは、顧客の絞込みにあるようです。今、日本の社会はかなり階層化してきている。極端な例ですが、これだけ豊かになってきたので、家柄が重要なファクターに大切になってきています。ある家の親が会社の役員だとすると親戚も会社の役員である場合が多いのです。そしてその子供は当然ヒューマンウェアも知識も身に付け、社会的責任を感じながら成長していきますから、リーダーシップを発揮し、組織の階層を上り、いつしか同等の家柄の人と結婚をするケースが多い。
1970年代から既に階層化の兆しは見えていたが、現在ではスポーツや音楽などの仕事を経験した人以外は、概ね所得水準に見合った社会的責任と地位が固定化しつつあります。出口の平等を好む日本人はこの事実を認めたくないようですが、女性誌では当然のこととして受け入れられています。そのような階層別に焦点を合わせ、営業を特化した高級花店が伸びたのです。

その2
先週土曜日の日本経済新聞夕刊には驚かされました。一面に卸売市場のITによる横の連帯の記事が掲載されていたのです。ただ成功させるためには次のことを意識しておかなければなりません。
① アングロサクソンは、仮に製造業だとしたら垂直統合で自社で部品を作り、組み立てた。しかし、日本の会社は中小企業を下請けとして使い、部品をアウトソーシングして別会社(納品業者)と縦の連帯を図った。
② アングロサクソンは分析的に部分部分で分けていくところが考え方の習慣になっているから、ITの発達とともに自分にない機能を補完しあって、横の連帯を組み、一つの有機体としてより高い効率を目指す動きに出た。あたかもバーチャルカンパニーの設立だ。日本でもこれが企業家として1980年代後半からもてはやされているから、機能補完の横の連帯が通用するかのような錯覚を与えるが、大切なのは垂直統合での同業者の縦の連帯(関西以西の魚市場マルハが大阪魚市場と推し進めたありよう)と横の連帯地域による機能総合補完(今はなきオランダの生花市場が1990年代に推し進めた、あたかも1つの会社のように価格機能を決める取引所と、問屋機能を徹底的に機能分担した横の連帯)である。機能が未分化のままで、横の連帯を組むことが顧客へのサービス機能強化とどう繋がるのか、ここが小生が心配する視点である。




2003/06/23 磯村信夫