マーケティングを行う条件


6月の後半は低調な相場で推移した。鉢物は過去3年間では低い水準になったが、むしろ品薄気味で価格は上昇傾向にあった。しかし、切花は(入れ本数が少なくなってきているので過去との単純比較はできないが)1ケース当たり2,000円という大半の生産者にとっては足腰が立たなくなる相場水準であった。
同じ頃、オランダでも同様に切花の一本単価が20ユーロセントを下回った。オランダの業者の見通しでは、前年の価格を5ユーロセント下回る水準で推移するだろうと言っている。

相場が安いときほど、人間が疲れたときのように弱いところが痛む。弱いところは日本の梅雨6月後半では小売需要であった。法人需要と結婚式需要が少なくなり、花き業界では一般消費を伸ばすしかないと考えているのだが、肝心の小売需要が最も弱いという結果に終わった。従来のやり方だと、的を絞る需要先としては、葬儀の仕事屋さんと花束加工業者、ホームセンターになろう。日本中の卸がここにターゲットを絞るとなると、小売店への販促が鈍くなるから、セリはあまり活発にならない。従って、卸売会社はセリ以外にも力を入れざるを得ない。セリは一層不活発になる。今はこういう循環になる。
土台供給が過剰だからこのようになっているので、抜本的に仕事のやり方を変える必要がある。では、どのように変えるのかというと、マーケティングをし、魅力ある商品を生産流通させることに限る。これをするためには産地から言えば仕向け先のパートナーを選ぶ。買参人から言えば自分が仕入れる先のパートナーを選ぶ。このように特定関係を作っていくことが絶対必要で、生・配・販同盟を作ることがマーケティングを行う前の条件なのである。




2003/06/30 磯村信夫