日本にふさわしい都市


大阪駅北地区の再開発計画で国際コンペがあった。7月に青山のモリハナエビル5階でこのコンペの入賞作品展示会があり、入賞者のプランを見ていたが、「なるほど、このように日本の都市部の人とそれを取り巻く状況とのコミュニケーションを司れば人々はパワフルになるな」と感じた。

このたび、とある方の仲介により川上喜三郎氏(大阪駅北地区国際コンペにて優秀賞に選ばれたグループのお一人)が来社されたのだが、目的は小生との雑談である。小生の仕事を通しての大目的は、この国を明治期のお雇い外国人たちやその奥様方が言ったような安全で美しいグリーンアイランド日本の再生であり、また故小渕元総理が言われた「富国有徳」である。グローバリゼーションの中でどのように都市部を花や緑を通じて安全で美しい街づくりをしていくのか。花や緑の一流通業者には手に負えない大きな課題であるが、私たちが一番近いところにいると自負し、それに向けて時間を遣っている。

川上先生は早稲田大学をご卒業後、ロンドンに在住され、王立英国建築家協会の会員でもあられる。飾らぬお人柄の中に中庸というか王道を歩んでいらっしゃることが、今回の大阪駅北地区の再開発案や新しい丸ビルの仕事などに表れていると感じた。
川上先生は彫刻家としても有名で、自己の中に生まれた気の抽象としてのご自分の彫刻のありようを話され、私と生活の場作りについて話をした。

これで、私が特に観察する事項が新たに2つ増えた。一つは65歳以上の生活の仕方や消費行動について。もう一つが都市部における花と緑の使い方、ありようについてである。成熟国家にふさわしい落ち着きと新しいものを見出すインスピレーションを与えてくれる都市をこの国に提供したい。




2003/08/04 磯村信夫