第1部「8月相場」


物日では「前進開花に堅調相場なし」の法則どおり、商況が低迷した。「こんな8月盆の相場はない」と、この業界50年の先輩たちも言う。その内情を探ると、
1.生産意欲はあらゆる品目で旺盛であった。(テッポウユリを除くユリ類は減少)
2.キク類はプライスリーダーで、これが前進し、全ての相場が立ち行かなくなった。
3.5・6月の高温で、キク類は花芽を付けたが、7月の低温と日照不足で昨年と同様遅れているはずだと関係者の誰もが思い込み、事前に予約相対を組んでしまった大手買参人が多かった。(こうなると、日々展開される安値相場に感情的嫌気が差して、買う気を失う。)
4.キク類が前進していた産地が殆どであったが、遅れていた品目も多く、入荷量が減る前に出荷された。毎市荷余り感があった。
5.肝心なときに台風が来たので、小売は売り日が1日減った。

大凡このようなことだったでしょう。一番大きな問題は、8月盆用にどんな花がどれくらい作られているか、その全体数を把握できなかったところにあります。確かに昨年より団塊の世代がリストラを終えて、再度花のお客様になってくれましたので、仏花の需要量は1999年、2000年を底に確実に上がってきています。彼らの購買動向からして、量販店がシェアを広げているのも、この世代が仏花需要の主たるお客様になってきたからです。ですから、多様な花が仏花として必要になったのです。卸売会社は、キク類の前進開花を察知できなかったこと、勿論2週間前には分かっていましたが、少なくとも6月中に分かっていなければならなかったはずです。生産者は分かっていたのに、卸売会社の担当者や農協や経済連の担当者も、いつのまにか真実を究める商売人の姿勢に欠けてしまっていたのではないでしょうか。我々は自分しか売り物のない最も小さな個人商店のはずですから、サラリーマンの分を果たさなかったとも言えます。

この上記2点を今後改善し、9月の敬老の日とお月見、お彼岸には一定の成果が出せるよう頑張っていきたいものです。

第2部「eビジネスワークショップ」先週の8日金曜日に、第3回eビジネスワークショップが日本で開催された。これは東京工業大学、韓国高等科学技術院、清華大学(中国)の3校が事務局となって行われたが、このことからも東アジアの結び付きが強まっていることがわかる。
ご一行が市場見学で弊社に来られたので、両国出身の社員がそれぞれ業務の流れを説明し、案内した。市場はモノと情報を一致して管理することを原則としているので、大変よくご理解していただけた。韓国高等科学技術院経営管理学院院長から「これだけ一致して管理しているのですから、次に情報とモノを離して管理することも出来ますね」とアドバイスを頂いた。そこで、私は、「日本の卸売市場は法律の適用を受けておりますが、今後先生の言われる方向で進めていくことが、経済の効率化に繋がり、国も認めるところとなるのでは」と返事をした。




2003/08/11 磯村信夫