セリのスピーディな価格発見能力と説得力


8月上旬に東アジアのeコマースワークショップが日本で開催され、見学地の一つとして弊社が選ばれたことを、以前報告した。韓国や中国の先生方は、異口同音にやはりモノと情報が一致しているとわかりやすい。瞬時に需給バランスを反映させるセリは素晴らしい商いの手法だとおっしゃっていた。eコマースはふくらみ、これが普通の手法となるに及んで中古車マーケットも「USA」のように実際にセリを行い、eコマースも行うといった会社の躍進が著しい。

今年の8月の盆前の市況と、盆に入ってから、そしてその後の市況は、特に関東地方においては豪雨であったので、もしセリを行っていないとしたら価格発見が大変難しかったであろう。
2000年の7月に相対取引が正式に認められるようになり、日本中の花の卸売会社はマーケットメイク(ここでの意味は適正なセリ価格を作ること)をしてきたが、そのときの生産量や自分のところに入荷する、いわゆる出荷量がわからないので、(例えわかったとしても)結局セリ以外には売れ残りを多数出したかもしれない8月上旬と、セリでなければ値段をここまで戻すことのできなかった8月中旬とがある。

セリは説得力を持つ。変化に強い。それは供給が急に増えたときや減ったときにも的確に状況判断され、価格というものさしでそれが表されるからだ。出荷量や小売の売れ具合など、天候によって大きく左右される花、業務需要が少なくなって店売り需要を高めなければならない花。このような花き流通業界の中にあっては、変動時に威力を発揮するセリと、安定時に威力を発揮する予約相対とをしっかり分けて取引を行っていくことが好ましい。花は生鮮嗜好品ゆえ、在庫ができない。となるといかにITが発達し、情報が密に取れるようになっても、或いは天候の保険がきくようになっても、売るに天候、買う天候では、予約相対とセリの手法を健全に機能させることが卸売会社の役割を果たす上で欠かせないと、8月上中旬を経験して強く感じた。




2003/08/18 磯村信夫