鍵は買参人と消費者に説明する力


まあまあの滑り出しで9月が始まった。
量販店はスーパーセンターなど、新しい業態で出店する業者が多く、切花・鉢物とも品揃えのために仕入れを起している。また、肝心の専門店も秋本番で品揃えを豊富にし、装い新たに出発しようとの意欲が見える。
今、セリを見ていたが、時代を捉えた新しい品種が多いのに驚かされる。花の色・大きさ・形状など、今を感じさせるものが多くある。しかし、それが私の持つ相場感より安いのである。今や花き業界の新品種は値段を取るためだけではなく、下げないためにもあるので、凡そ昔の相場が新品種の目標価格だろう。その点からしても少し安い。これはきっと産地と私ども卸の買参人に対するプロモーション活動が足りないためか、或いは小売店も、特に対面販売の専門店がお客様にプロモーションや説明を十二分に行っていないためではなかろうか。この花の原産地はどこ、或いはこの品種を作ったのはどこの国であるか、「大変花保ちが良く、きれいに咲きます」とか、「手入れはこうしてください」「ここに飾ったらよく合います」などの提案力というか、コミュニケーション活動が一般社会に比べて、我々花き生鮮食料品流通業界は遅れているのではないか。
実際、花き業界に消費の壁のようなものあるとすれば、このようなコミュニケーション活動によってしか鍵穴を開けることはできないのではないだろうか。産地は努力し、時代に合わせた改革を行っていると、今日のセリを見てつくづく感じた。




2003/09/01 磯村信夫