予約相対が少なかった分卸の売上がマイナス−9月彼岸市況


先週の17日(水)からキクが高くなった。19日には小菊、リンドウとも「尻っぱね」で100円以上した。しかし、売上は前年より8%少ない。世間では一般に5%以上上下した場合には、シンギュラーポイント(常識的な幅)を突き抜けたことになる。嗜好品である花の相場は乱暴な動きをするが、全体で見るとおよそプラスマイナス5%以内に留まることが多い。しかし、この彼岸の需要期は低調市況が続いたと言ってよいだろう。

こうなることは最初から分かっていた。それは8月盆に予約相対を組んだ人は、セリで展開された暴落相場で歯ぎしりをしていたからである。「前進開花で後半は少なくなります」と伝えて、日本中の卸は大手買参人に相対品を前倒しで納品したが、全く少なくならず、結果的に8月盆は暴落した。9月の彼岸期にはその経験が頭にあり、卸売会社も仲卸業者へ8月のように後半に少なくなると言ってしまって、もし今回も荷が出てきたら取引がなくなってしまうと、予約相対は組まず間際の相対取引、セリ取引で買ってもらおうとした。勿論買い手がそれを望んでいたからだ。従って、予約相対が組めなかった分だけどこの卸売会社でも取扱量が少なかったわけだ。それが取扱売上金額10%減となった原因である。

様々な品目を取り扱っている卸や仲卸、小売業者はまだいいが、生産者はプロ化しなければならず、当然作る品目を限定している。和花類は特にこの夏秋期、昨年実績を大幅に下回ったが、1にも2にも天候の影響によるところが大である。残された出荷期はあまり多くないが、日本中の卸売会社は生産者が来年に希望を持って作れるよう精一杯努力をするであろう。

しかし、今までと同じようにやっていたのでは生きていけない気持ちを業界人は実感している。小泉総理は構造改革を一番に推進しているが、改革とは構造改革、コスト低減改革、仕事の段取り改革、企業の文化改革の4つがある。人間も同様だが、変わるのは大事件に遭ったときと、日々反省を行い日々改善をする、この2つである。組織が変わっていくためには先述の4つの改革を日々怠りなくしていくことが必要である。この国が変わっていかなければ生きていけないことは分かっている。農業生産においても、花き生鮮品食料品流通においても、小売業においても同様である。8・9月の切花・鉢物低調市況から学び、花き業界の改善につなげていこうではないか。




2003/09/22 磯村信夫