夢を持って継ぐ生産・小売


昨日は「大田市場祭り」が開催された。お天気だったせいもあり来場客でごった返した。30キロ詰めの米が売れていたのには驚いた。あんなに重いものをよく持って帰るな。世相を反映しているのか。これだったら尺鉢も売れるかもしれないと思ったものの、やはり時代だと考え直した。しかしパンジーやシクラメン、シャコバの動きはなかなかのもので、切花では例年よりバラとSPキクがよく売れていた。
おじいちゃんとおばあちゃん、若夫婦、そのお子さんと三世代でいらっしゃった方も多く、また、40歳代以上の人、特に50歳代以上の人が目に付いた。中年期、晩年期の人の好みの境がなくなり、各個人のライフスタイルにより売れる花が違っていた。そして面白いのが、晩年期の人たちの方が花のことを良くご存知のせいか、珍しい花や品種を好んでいるように思えた。

昨日は銀座で花のイベントがあった。銀座のスズキフロリストさんが幹事になって活動していらっしゃる「銀座アキュイユ」というイベントで、著名な華道家やフラワーデザイナーの人たち12人が街の角々でパフォーマンスをする。今年はガーベラを中心に使っていただいたが、大盛況であったと聞く。

素材売りの「大田市場祭り」と花の活け方をパフォーマンスする「銀座アキュイユ」、この2つのカテゴリーのイベントを並行して行っていくことが今後とも必要である。特に花を生かす技術を知ってもらうために後者のような諸活動は欠かせない。
小売店は大変難しい時期に来ているが、地域の消費者向けにスクールを開催し、消費者に花の楽しみ方を知ってもらう。消費者は花のことを良く知るようになるから、当然お花屋さんもさらに勉強しなければならない。このような良い循環があれば専門店と量販店がともども消費者のお役に立てる。専門店が活性化されれば日本の花き生産者も得意技である上質なものや目新しい物を作って充分に生計を成り立たせることができる。

後継者が夢を持って親の後を継ぐ生産・小売、これが日本の花き業界の目標である。




2003/10/20 磯村信夫