月末相場他


月末で榊や仏壇用の花の需要があるというのに、相場は下がた。特に今年は月末に相場が下がるということが多くなっている。理由として考えられるのは小売店の資金繰りだ。東京の中央卸売市場では10日毎で締めて請求する。だから10日、20日には仕入れが控えられるが、月末は先述したようにお参日需要があり、今までは堅調に推移していた。それが最近では月末も10日と20日と同じような現象になっている。
小売店が無駄なものを仕入れに商いを行い、勘定を支払おうという雰囲気が花の小売業界の中に定着したと見るべきであろう。ドンブリ勘定ではもうやっていけない。構造改革というよりもむしろ行動改革と言うべきで、一般消費者は意識を切り替え、無駄なものは支出しないという他の先進国では当たり前に行われている消費行動を取るようになり、賢い消費者になったのだ。だから小売店も真剣になって商いをしている。その一端が締め日の相場下降という点である。
これは卸売会社や生産者からすると不都合なことだが、花き業界全体からすると好ましい方向である。

さて、先週の26日(日)の日本経済新聞朝刊トップに卸売市場の規制緩和施策、商物分離についての記事が掲載されていた。「品質の規格化、また貯蔵技術が進み、卸売市場で検品作業の必要がなくなったものが多くなり、ITによって取引が効率化される。従って消費者に今までより安く販売できる。」「しかし鮮魚やメロンのような貯蔵性の低いものはその限りではない。」大体このような内容だったと記憶しているが、花に関して言えば鉢物は貯蔵性は高いが、個人出荷ゆえ、規格が統一されていない。また、切花はメロンより貯蔵性が低く、鮮魚と同様傷み易い。しかも花は品種が多く、新品種も毎年2000種ほど出てくる。これらをどのように一軒一軒の小売店の好みに合わせ品揃えし納品するか。インターネットで、しかも画像つきで取引したとしても、結果として安く効率的な販売が可能か。洋ラン鉢の一鉢ずつやバラの30本ずつを直接産地から届けるのは運賃コストが高くつきすぎて、結局小売店は今までの値段では販売できない。
となると、集配センターに集めるか、集配センターに集めるならいっそのことそこでセリもして、小売店に自分の好きなものを品揃えし、持ち帰ってもらう。これが一番効率的だ。これは現在の卸売市場の姿である。大田花きとしてもっと効率アップを今後とも模索していくが、私の考えるところ現状の卸売市場は他の流通センターと比べると効率性に遜色はない。




2003/11/03 磯村信夫