良いものは良い、良いものは高くても良い


昨日は松市が終わってから、キリンビール(株)アグリバイオカンパニーの松島さんから「お勧め」として伺ったヘルベルト・ケーゲル指揮マーラーの交響曲第4番とブラームスのピアノコンチェルトの3番を聴いた。僕の親父民夫はよくクラシックを聴いていた。晩年はブルーノ・ワルター指揮のベートーベンが多かったが、遺品の中にケーゲルのLP盤があったのを思い出して、聴いてみた。かなり聴き込んでいたようで、音がしっくりこなかったのでCDを買い求めた。
ヘルベルト・ケーゲルは、1970年代に東ドイツで活躍していた人だから、あまり知られていない。しかし、その作品はなんと確かさの中にも慈愛に満ちた、威厳さえも感じさせる音楽であろうか。松島さんも言っていたが「CD1,000円ではひどく安い」。
日頃は音楽を聴きながらワインか日本酒を飲んでいるが、久し振りにウィスキーをちびちびやった。ウィスキーならグレンレベットかマッキャランなどシングルモルトのスコッチだが、昨日はマッキャランのほかに久し振りに国産のシングルモルトウィスキーを飲んだ。マッキャランを飲んでから国産の3本を飲み比べたが、国産もすごいと思った。ここまで技を磨き、コツコツと作り込んだのかと思うと、コマーシャリズムにはない中長期的な希望や努力を味わうような気がして、ケーゲルの音楽と共に充実した時間を過ごした。

ケーゲルの時代と異なり、現在はグローバリゼーションとともに、あらゆることが世界と繋がっている。花の世界で言えば、世界のタバコの産地が主にバラの生産に取って替わられてきている。ブラジルやエチオピアなどの新しい産地だ。アンスリウムは台湾や東南アジアで増えてきた。アマリリスは南アフリカの球根生産が間に合って、水耕栽培用だけでなく、切花も多くなってきている。OHユリは、日本が受け入れる球根数が限られてきたので、韓国や中国をはじめとする東アジアでも切花生産が増えてきた。それはチリやニュージーランドなど南半球の生産が活発化しているためでもある。
これだけ増えてきている4品目はいずれも大田花きの現場で散見できる。日本の花の業界も当然世界と繋がっていて、行ったこともない世界の生産動向や消費動向に影響を受ける。不確実性が高まってきているのだ。不確実性をどのように回避するのか。結局日本人にあったやり方で努力せざるを得ない。あったやり方なら努力のしがいがある。あまり当然のことなので、言うのもはばかられるが、以下に記しておく。
① 中長期的な展望で努力する。(不確実性が高い時代ほど、短期的に利益を上げようとする。皆が短期的な結果を出そうとするから不安定になる。安定している者が勝ちだ。)
② 手持ち資金の中で商売を行う。(拡大政策の時代ではない。日本は今、「量」的拡大より生活の「質」が問われている。)
③ 買ってくれる消費者に価値を約束する。(例えば千葉県安房郡の生産者武田昇さんは、咲ききるアイリスを約束している。)




2003/12/08 磯村信夫