新しさの欲求が高まる花き業界


平年並みの寒さになったというが、暖冬に慣れているせいかとても寒く感じる。高齢化社会の中、1,2月は12,3度の気温がないと、年配の方が買いに来てくれないとお花屋さんはぼやく。ここにきて月中の仏花需要としてもキク類が減り始めた。昨年は寒さが厳しく需要も少なかったが、出荷量は更に少なく、月後半は堅調相場であった。しかし、本年はその逆となる公算が高い。

販売計画があり、次いで仕入れ計画があるから、入荷量が買い手の総和より1割多いと3割安となる。そんな状況が昨年より続いているが、節分やバレンタインデーの物日のとき、出荷時期がドンピシャリかやや後ろにずれてくれると堅調相場となるのだが、前に回るとずるずると安値を引きずってしまう。産地の方は「物日に前進開花高値なし」を心に刻んでおいて欲しい。

この1月、特徴的なことは葬祭需要でも花の飾り付けが更に変化してきているという点である。新たに本格的に葬儀用の花として使われ始めたのがコチョウランの切花とカスミソウである。そしてこの時期は特にスイートピーも多く使われている。これで分かるとおり、仕事屋さんの装飾技術によってその花店が繁盛するか否かがかわってくる。今は団塊の世代が喪主であることが多いから、花についても良く知っている。そこで新しい装飾の提案できるかどうかにその仕事屋さんの命運がかかっているのだ。

今日まで含めた三連休には各所でブライダルフェアが開催された。都内の某Tホテルのものを見たが、価格もさることながら今人気のピンクの花を上手に使っており、とても新鮮な感じがした。時代を先取りする方で花も進んでいる。特に結婚式は衣装との調和が欠かせないから、ファッショントレンドと同じスピードで変わっていかざるを得ない。

そこへいくと家庭需要は少し歩みがのろくてもいいだろうが、駅の花屋さんは結婚式の花と同じスピードで変化している。是非とも生産者の皆さんは、東京にいらした折には卸や仲卸会社だけでなく、スピーディに時代を捉えている小売店にも足を運んでいただきたい。(ラナンキュラスはイングリッシュローズが多くなって、消費者には丸い咲き方が新鮮で、おしゃれな花屋さんで多く使われるようになった。)




2004/01/12 磯村信夫