外向きに能力開花


4月に入って産地やら中間流通の方々と話をするたびに仕事への意欲が変わってきたなと感じることがままある。この4月切花のトップニュースといえば、JA愛知みなみの一輪菊部会再編で新たに4部会で編成し直し、出荷先の変更を行ったことであろう。農協合併で部会の再編をし、将来に向けたこの取組みを、卸売会社としてもぜひ成功させていきたい。

さて、振り返ると今まで私ども卸の仕事はセリ中心であり、職人気質に富んでいたから、相場が高い日も安い日も一日の仕事を終えて上手い酒を飲むことができた。
80年代から日本の資本主義もポスト産業資本主義段階に入り、中産階級が花を買うようになり、花き産業は恩恵を受けた。その頃から「知価社会」やら「第三の波」と言われる人間力や新しいものを生み出していく力、そして「情報」に価値が置かれ始めた。弊社でもそれを捉え、情報を蓄積し、照査し、知恵を生み出していくべく、コンピューターを使ってデータベースマーケティングに入っていった。
しかし「日々新たなリ」の癖は抜けず、殆どの花き業界がそうであった通り、ルーティンワークをこなし、仕事がマンネリ化していった。この仕事のマンネリ化に卸売市場の問題がある。商いは日々変化しているので、真面目であればあるほど日常の目の前にある仕事に目を奪われ、世間との不一致に気付かずやってきてしまったのである。

仕事に取り組む人の考えには2種類あるのではないか。ルーティンワークをして1日が終わったと開放感を感じることと、目標を定めて自己実現をしようとする考えである。いままでの花き業界はルーティンワークだけしている人があまりにも多かった。そして現在競争レベルが上がり、マズローの欲求段階の下から2番目“安全欲求”を脅かされているので、各所で新しい取組みがなされつつある。しかしこれだけでは不足だ。各産地、中間流通各社、各小売業者は自分が何になりたいのか、どんな職務を果たそうとしているのかなどの目標設定をしなければならない。卸売会社も規制緩和で選択の幅が広がる。どんな会社になりたいのか。
少なくとも今までは社員の能力を十二分に引き出したとはいえない。花き業界のそれぞれの役割を担う一人ひとりが意志と能力を開花させれば、新しい機能で消費者に喜んでもらうことはたやすいことのように思えてならないのである。




2004/04/19 磯村信夫