母の日速報


土日と天気が思わしくなく、地域によっては前年の2割から3割くらい売上を下回ったと聞く。今年の母の日の速報では、繁盛店は前年をクリア、平常でも30%のギフト需要がある地域一番店も前年をクリア、インターネットのサイトでは前年の倍増のところもあるが、だいたい5割増。これに対し5月5日に注文を締め切ったコンビニや量販店のカタログ販売などでは、ゴールデンウィークが近かった影響をもろに受け、2割以上減のところが多い。町の小売店は人口動態から子供が減少し、母の日ギフトの主体が20、30歳台から50歳台までとなったものの、雨の影響もあって2割から3割減となったようだ。来年は更に1日早まるから、本年と同等か1割減くらいを見込んでおくのがよいだろう。
それにしても、よく世間で言われる「勝ち組」と「負け組」が年々はっきりしてきたのが気にかかる。総じて言えるのは30歳台の女性に焦点を当て、店作りを行ってきた花店がまあまあの成績だったという点だろうか。一言で言えば、繁盛する美容室と同じような印象を与えることができた花専門店は前年をクリアし、ついで買いされるホームセンターや量販店のインショップ、いずれもまあまあの結果であった。

川中の流通を見ると、3月の彼岸期と同様、地方の20億円台の中規模卸から相場が崩れていった。都市部では、ゴールデンウィーク中は結婚式すら手控えるのが良識となっているから需要は少ない。従って通常の出荷割合より地方の卸売市場への出回り量が多くなる。毎年母の日直前の月曜日に荷が多くなり、水曜日に相場がピークとなるのだが、4月の天候の影響もあり今年は絶対量が多いと予想し、殆どの買参人は間際に仕入れようと判断した。だから月曜日から徐々に相場が下がっていった。そして土曜日は切花も鉢物も本当に品質の良い物だけが補充として取引された。
この相場の下がり方で感じたのは、日本の卸売市場はセリ前取引に対応するあまり、セリに肝心な花が不足し、当てにされなくなりつつあることである。中間業者の競争が激しくなり、地域によっては卸と仲卸が同じ買参人にセリ前取引を営業したりする。このような中で卸売会社が「セリが当てにならない」と相場が出なくなったことを嘆く。一方、買参人も「必要なものや珍しいものが出なくなった」とセリを当てにしなくなる。これら一連の動きを卸売会社は断ち切る必要がある。本当にセリ前取引をしなければならないくらい(鮮度についての)消費者の要求が強いのだろうか。地域の需要バランスを反映するセリをどうすれば演出できるか。地域の買参人はセリをしていく中で一方ではライバルとして激しく競り合い、一方では仲間意識が出てきてともに精進しあう。このコミュニティの形成が欠かせないのではないか。

たしかに社会は一律対応の時代から脱工業化社会、ポストモダンの個別対応に価値を見出そうとする動きがある。しかし、セリというのは卸売会社にとって最も効率的な販売手法である。今年に入って既に二回起きた負の連鎖による相場低迷を、卸売会社は改善すべき課題として断ち切る必要がある。




2004/05/10 磯村信夫