5月に続く7月の安値


この酷暑で一部大手買参人はバラやトルコなどの産地移動を行っている。それは湿式にした場合、流通上保冷が行き届かないでいる産地の花は開花が進んでしまうからだ。産地も不慣れなところがあり、今までの乾式輸送の切り前のタイミングで湿式輸送をするとかなり開花が進んでしまう。せっかく保鮮対策をしているのに残念なことだ。もう一度自分の荷がどのような状況で運ばれるかをチェックし、小売店の店頭までの保管状況を考えて切花を検討していただきたい。

さて、本日付の日経新聞、日経産業新聞に2003年の「主要商品・サービスシェア調査」の記事が載っていた。ルームエアコンではダイキン工業がトップに出ていたのは個人的には大変嬉しい。というのも、今年の春、居間のエアコンを入れ替えようと数社に相談に乗ってもらったが、ダイキン工業はそのうち最も的確で親切な対応であった。ダイキン工業は私の要望に叶うルームエアコンを作っていなかったので、結局他社のものを買ったが、次にルームエアコンを買うときにはダイキン工業の製品を買おうと思った。
売るというのは本当に難しく、売りつけようとすると売れないし、買ってもらいたいと正直に態度を表明しなければ買ってもらえないし、自己都合ではない人情の機微がある。

ところで、この7月は前年よりも10%以上売上額が下回るのではないかと予測している。猛暑ではいたしかたないところであるが、次のような経済的な要因もあることを見逃してはならない。それは中小零細企業の収益性が大企業と比べ劣っていることである。昨年・今年・来年とようやく日本経済は長いトンネルを脱し、成長を重ねつつあるが、いくつかの指標を見る限り大企業と中小企業の収益性の格差は開くばかりである。たとえば限界利益の指標を見ると、余剰がなかった分、中小企業は大胆にリストラできず高止まりしているし、同様に損益分岐点についてもそれが言える。大企業は会社の体力が付きつつあり、利益を社員にも分配できる状況になってきている。しかし、中小企業は利益を社員に回すところまでいっていないのが現状で、それが7月のボーナスに表れているし、小売業界の売上高低下に繋がっている。このことはかなり花き業界にとっても重要なことで、このところ朝日新聞などは国債・地方債(両方で年間約50兆円)についてこの額を危惧する記事をたびたび掲載している。花き業界のそれぞれが自社を経営するには、参議院選挙のときに言われた地方や中小企業の景気回復については冷めた見方をして、堅実に経営していかざるを得ない。大田花きは東京にあるので、既に法人需要を得意とする花店は堅調に推移しているし、オフィス街の小売店も上昇気運にあるが、それはごく一部の限られた小売店である。新しく素敵で割安な花屋の売れ筋をいかに提案するかを持続的に行っていくこと以外、方策は見当たらない。




2004/07/26 磯村信夫