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1950年に生まれた私は団塊の世代と言えばそうだが、それ以降の資質も持ち合わせている。大変面白いことに日本の文化に目覚めさせてくれたのは英国人のバーナード・リーチやフランス人のアンドレ・マルロー、アメリカ人のドナルド・キーンたちであった。それは、敗戦後日本の文化の素晴らしさを日本人自ら声高に言うのがはばかられたためであろう。今日は私が中学・高校・大学時代と強く影響受けたこの3氏のうちのこの夏に読んだアンドレ・マルロー編の『ナポレオン自伝』の中から、皆様の仕事に役立つと思われる箇所を抜粋してお届けしたい。

この本を読んでナポレオンはなんと現実的で自由な、そして厳格な人であったかと畏敬の念を持った。もちろんアンドレ・マルローに対してもそう思った。
『戦力と戦闘』
(1800年7月30日)
・ 「戦力は力学に置ける運動量のように速度によって増量される総体によって量られる。」
・ 「一つの戦闘は始まりと真ん中と終わりのある劇的行動である。」
・ 「一つの戦闘の運命は一瞬の結果であり、一つの思念の結果である。戦闘を交えようとするときは、全兵力を結集せよ。少しでも集め洩らしてはならない一大隊が時に戦闘の1日を決することがある。」
・ 「戦争にあっては、あらゆる機会を利用せねばならない。というのは運命というのは女性だからである。今日それを取り逃したら、もう明日また再び出会えることを期待してはならない。」

『実践上の三大原則』
・ 「力の結集、行動、そして名誉とともに死のうと確固不動の決意。あらゆる軍事作戦にあって常に私に好ましい運をもたらしてくれたのは実践上のこの三大原則である。死は何ものでもない。しかし敗者として名誉もなく生きること、それは毎日を死んだままに過ごすことである。軍人、私はそれ以外の何者でもない。・・・私はそのように生まれついていたのだ。」

(1800年12月31日)
・ (将軍、お食事がゆっくりになられましたね。)
——「それは既に権力の堕落だ!」

『弟のジェローム宛て』
(1809年7月17日)
・ 「お前の周りにはそれでは何かしっかりしたことを言ってくれる友人が一人いないのか。お前は国王であり、皇帝の弟だ。これは戦争ではなく、滑稽な資格なのだ。
まず、兵士でなければならない。ついで兵士、尚また兵士でならなければならない。前衛で露営し、日夜馬に跨り、情報を得るために前衛と共に進まなければならない。もしくは後宮に留まっているかだ。おまえはまるで古代ペルシャの太守のような戦争の仕方をしている。いやはやお前はこの私からそんなことを学んだのか。20万の軍勢と共にいて、狙撃兵の先頭に立っているこの私から・・・。
それらは愚かなうぬぼれととんでもない思い上がりに毒されている。そして何も分かっていない。」




2004/08/09 磯村信夫