痩せた現場を天地返し


土曜日に新宿高島屋で開催された「イングリッシュガーデンとプリザーブドフラワーの世界展」を見に行った。出展者の方から招待状を頂いて駆けつけたが、自分の棲み家を快適にしようという意欲はこうまで強くなっているのかと、出口のところにあったプリザーブドフラワーのアレンジや造花類に群がる人たちを見て思った。肝心の展示会だが、奔放さはないものの、美的にもなかなか完成されつつあり、深みのあるものが多く展示されていた。
商売柄、生きている切花や鉢物の方が好きだが、それは精神の自由を感じるからである。関心を棲み家の美しさに置こうとする現在の消費者は、閉じ込められた窮屈な人工物でも充分目的を達することができると思っているのかもしれない。

10階の展示場から順を追って売場を見ながら下がってくると、「現場は痩せている」との印象を強く持った。近頃、大半のエコノミストたちは消費意欲は極めて強く、この先景気も腰折れはあるものの、引き続きなだらかな上昇局面にあると見ているようだが、商売の現場はどこを見ても確かに痩せている。結局これが21世紀の我が国の経済状況なのである。新陳代謝を行っていかないと干からびた土が剥き出しになる箇所がいくつも出てきそうだ。
そのためもあってか、農林水産省はこの16日、第8次卸売市場整備計画方針を食料農業農村政策審議会に上程し、決定される運びになっている。「官から民へ」「数の調整」これがポイントだ。中央卸売市場の新設は行わない市場再編だ。これは農協の再編、市町村の再編、小売業の再編を受けてのことである。
我々卸売会社は社会のインフラ産業である花き市場の卸売業者として、自ら作る人と消費する人のことを考え、時代に合った価値を再構築するため、再編を急がなければならない。




2004/09/13 磯村信夫