卸売市場財務体質の健全化〜10月より新支払いルール〜


今日は敬老の日と彼岸の入り。三連休は需要減になりそうだと一般の小売店は見ているようだ。先週末はチェーン店、量販店とも大変よく売れていた。が、商店街のお花屋さんは今日を見込んでいるところが多い。
生産者はコスト削減で、ギリギリの人数でやっているから、木曜日休みの金曜日にはあまり荷を作れないが、月曜日には親戚や子供たちの手を借りて、しっかり荷を作ることができる。特に目立っているのは、2年位前からだが、物日の月曜日というのはいつも需要を上回る量が出荷される。そこで相場を下げる。

さて、2005年4月から新市場法が施行されるが、東京都花き市場協同組合傘下の卸売会社は、(2005年4月から)切り花の共選共販産地に従来の月2回送金から月3回送金に支払いの回転を早める。
その半年前、つまりこの10月から買参人の買い上げ代金の支払い、卸にとっては売掛金回収の回転を月3回とする。そうしないと来年から月3回の売立て代金を送金できない可能性があるからだ。
今まで仲卸は小売店から金融機能をつけるものだと思われてきたが、この10月からそうはいかなくなる。大田市場ではフラワーオークションジャパン殿と弊社が協力して仲卸20社を交え、大田市場花き部代金決済部会を毎月開催している。その席で仲卸各社の顧客のところに卸も一緒に行き、説得をすることにしている。
荷余り気味な中で、仲卸への支払いは1ヵ月を超えるところもあり、結局仲卸は卸に約束どおり支払うことができず、取引停止のリスクも出てくる。
また、仕事花を主たる業務にしている買参人や量販店、或いは加工業者などの大口買参人はしっかりしている会社でも支払いサイトが1ヵ月を優に超える資金繰り政策をしている。これらの大口先に向けても都内の中央卸売市場花き部8社の代表者会で、最長1ヵ月とする旨の誓約書をお互いに交わし、支払いを遅らせることによる顧客獲得などの徒な競争を排除することにした。各場で大口買参人については「なかなか話を聞いてくれない」と交渉難航中のサインが代表者会の会長である小生の耳に入る。UFJ銀行と東京三菱銀行の合併による格付け査定の厳しさ、地銀・金庫・信金の大手と変わらぬ貸出姿勢などを鑑み、また短期でも借り入れを起こして産地に支払うとなると、営業利益がすっ飛んでしまう現実から、この期に売上ではなく、体質の強化を目指し、当初の約束通り履行するよう言っている。
どこの卸売会社でもバイイングパワーを利かせようとする大口顧客の何軒かを失う可能性があるが、常識で考え、客先が履行不能のとき販売した花を回収しても、工業製品と違い、既に価値は目減りしているわけだから、サイトはオランダのように基本的に現金と言うわけにはいかないまでも、アメリカの量販店や生鮮品問屋と同様、月3回の締めが世界的に常識的な決済サイトだと思われる。
産地や小売店の方々はこの10月からどのように卸売市場(卸・仲卸)の財務体質が強化され、半年間で筋肉質になり、そして2005年の4月から切り花の共選産地に月3回の支払い、新市場法の下に健全な経営ができるかよく見守って欲しい。東京の卸売会社はそれに向けて全力で取り組みたいと考えている。




2004/09/20 磯村信夫