ホイッスル・ブロー(内部告発)


昨日、大山講で阿夫利神社に社員9人で行って来た。大田花きの大山講は前身の大森園芸からの流れを引くもので、先導師は織部さんだ。東青卸(東京の青果仲卸協会)も織部さんが先導師で、今でも年1,2回、講を行っているという。江戸時代から青果と魚の講が多いのが大山の特徴だ。関東地方の一番南西の高い山が大山で、それを見て天気の具合や自分の海の漁場を確認したことから、生鮮品の講が多い。世代交替がうまくいっていないのが残念だが、昭和の新参者の花はうまく引継ぎができている。

さて、来年の春の市場法改定を前に、卸・仲卸ともに、もちろん市場外流通の会社も色々な動きが出てきた。「義は利の本なり」の「義」から遠いものも中にはあるが、社会のインフラを自認する卸・仲卸は次のような姿勢で新しい業務展開を考える必要がある。それはアメリカでよく言われる「サンシャイン」ルールである。全てを日に晒し、見えるようにしてその上で正々堂々と勝負する。
競争が激しくなると、組織は保身のためどうしても境界線すれすれの事や悪事を働きたくなる。そのときに経営層が「サンシャイン」ルールを徹底させれば、その会社は社会的に葬り去られることはない。しかし、そうはうまく事が運ばないのも事実で、何しろ現場は痩せてきているのだ。
そこで日本国は本年公益通報者保護制度を法制化した。いわゆる内部告発者への保護制度だ。出荷者や卸・仲卸はBtoB業者であるが、これも社会、即ち消費者の声一つで社会から抹殺される。小売業者はなおさらだ。間違いはどこでも起こり得るので、そのとき内部でいち早くその間違いを正していけるよう組織の風通しのよさが必要となる。そして現場を知らない上司が権限を持っている会社は、内部告発を利用することによって、その会社の延命を図ることが必要である。
従業員が直接外部に通報するアメリカ型と、先ずは社内の権力に属さないニュートラルな部署に通報するイギリス型があるが、日本の会社は殆ど社長が人事権まで握っているから、花き業界でも道を違わぬよう、このホイッスル・ブローを活用していく必要がある時代となっている。




2004/09/27 磯村信夫