10月の概況


 切花の相場が落ち着いてきた。先週の週末も雨にたたられたが、消費がいまひとつだったこと、
また「冷やし玉」が輸入品を中心に出回ったことが主な原因である。

菊類は10月後半の二週間店頭小売価格と同様の卸売価格になって販売店を苦しめたが、そのような状況の中でも、頭を使って値ごろ感の演出に成功した小売店も多くあった。ボリュームをつけるため、枝物や葉物そして小菊の代わりにワックスフラワーなどを使った洋風仏花は、なかなかお洒落でよい感じ、との印象を消費者に与えた。

相場が落ち着いたと言えども、例年より国産品の入荷は少ない状況があと二週間ほどは続くから、色や素材あわせで新しい試みが展開されてゆくことだろう。これを機に、新しい仏花の定番ができることを願っている。

卸売市場流通でこの秋から自分の居場所を確保したのが輸入のバラである。

ヒペリカムやスプレー菊、カーネーション、ネイティブフラワーなど、シェアを拡大したが、いずれも国産が足りないからそのシェアを拡大したというだけではなく、東京なら成田の飛行場周辺の加工場で、横に倒しても水のもれない

通称ソフトバケツでダンボール湿式輸送を行っている。到着した輸入品を選別し、水揚げをして立てた状態で市場に運んでいるのだ。だからバラもこの方式を利用し、それなりに定着してきた。

また一輪菊、特に中国産の「神馬」は市場外流通している比率が高いが、それでも先週も今日も大田花きではセリで販売している。10月中旬のIFEXでも、韓国の商社が菊を展示しており、商談が進んだようだが、中国からの一輪菊の輸入は、今年の日本の台風災害で、名実ともに認知される格好になりつつある。

そうなると、価格競争が一輪菊の分野でも促され、国産は輸入品の上物の10円高以内の価格で取引されるようになるという法則が働いてくる。

最後に、10月の卸売市場の実績であるが、度重なる台風と、毎週末雨に泣かされたので、鉢物苗物は、前年比で二割ダウン。切花で一割以上落ち込んだ所が多いと想定される。昨年堅調でありすぎたので、落ち込みが目立つものの、この程度ですんだというのが、10月の卸売市場の概況であった。




2004/11/01 磯村信夫