創造力


卓球にしてもゴルフにしても、中国や韓国の若手の力はすさまじい。同様に勉強の世界でも、彼らの優秀さが目立つ。日本では、一時パラサイト(寄生虫)としていつまでも親元に頼り、定職にもつかず、結婚もせずという若者像があったが、1998年を境に若者意識が変わってきていて、世界競争の中で生きていく「世の中そんなに甘いものではない」との意識が広まっていった。大田花きでも長期アルバイトの人たちの中から社員にして欲しいと要望が出始めたのが前世紀末の1998,9年の頃からだった。短大が閉校に追い込まれている話を聞くが、生徒数が少なくなったばかりではなく、結婚をしても子育てしながら働きたいとする職業意識が女子学生に多く、それが4年生大学を選ばせていると理由付ける人もいる。短大や女子大が思いのほか生徒集めに苦労するのは、自分の暮らしの観点から夫の給料だけに頼らずに自分も収入を得ようとする女性に対し、社会性の面からも働いて世の中に立ちたいとする意識を持つ女性が増えてきたためだろう。

このように、殆どの若者たちは21世紀はどのような時代なのかそれとなく認識し、日々生活をしてきている。

 

しかし我々卸売業界はどうであろうか。特に高齢者の55歳以上のリーダーたちは時代を捉えて会社の舵取りをしようとしているのか。産地はどうであろうか。後継者不足を嘆くばかりで、前向きに取り組もうとしていないところがあるのではないか。年齢に関係なく、現実を見据えて改善をしている産地も増えてきた。

先週の土曜日、後継者が多く育っている地方に行ったが、親は最初から子供に後を継ぎなさいと言って育てている。そして親は死に物狂いの努力をしている。いつの世も子供は親を手本にして生きる。社会問題はすべからく大人の責任である。

 

日本のいかなる分野でも勝ち残っていくには、新しい価値の創造しかない。先に触れたように、コストだけでなく、応用力などにおいても日本の立場は追いやられる。なれば日本は創造力しかないのである。




2004/12/06 磯村信夫