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2005年4月15日

Vol.3 千葉県千葉市 小森谷ナーセリー 編

今回のウンチク隊は知る人ぞ知る!世界の小森谷ナーセリーにおじゃましてます。
社長の小森谷慧氏はアマリリスやネリネ、スイセンはじめたくさんの球根・宿根草花の新品種を生み出し続けている育種家です。
今回は珍しく商品開発室(探検隊)全員参加+フローレ21大田店のオオシマ店長も一緒です。ちなみにこの「ウンチク探検隊」始まって以来シシド隊長が取材に初参加です。
(ちなみに隊長はワタクシと思っている方が多いようですが、隊長=シシド室長です!)

コンセプトは「花より美しい、花を。」

社長の慧(さとし)氏は残念ながら外出中とのことで、一人娘の恵里さん(営業担当)に突撃です。まずは小森谷ナーセリーを代表する品目の一つ、アマリリスの温室を見学。目の高さにアマリリスが咲き乱れていて感激!

(オオシマ店長も小森谷アマリリスにこの笑顔!)

「ここでは交配してできた品種の花を見たり、交配するために咲かせてるよ。ここの花を切花で出荷するときもあるよ。」

花弁がめちゃめちゃ細?いアマリリスを発見!なんとスタイリッシュな!
「ああ?それね原種だよ。」
アラ?原種ですか!?ワタクシてっきり新品種かと思っちゃいました・・・。

この原種は『シビスター種』といって、最近人気の細い花弁を持つアマリリスはこの原種を基に交配されたものだそう。このように出来た品種は『シビスターハイブリット』と呼ばれています。


シビスター種


シビスターハイブリット

交配では狙い通りの品種を作るワザとか何か秘伝みたいなのはあるのですか?
「昔はカンでかけ合わせてたけど、最近はいい遺伝子だな、と思ったらいろんなものにかけてるよ。」
同じ品種のかけ合わせでも、雄雌の組み合わせを逆にするだけで違ったものが出てくるそう。まさに神のみぞ知る不思議・・・交配って奥が深いですね。

うちの隊長が球根チーム在籍時代からその魅力にヤラレっぱなしなのが『美パピリオ』。


美パピリオ


(シシド隊長、アマリリスに戦いを挑む(?))

その凛々しいお姿は「パピリオがなかったらオレは花業界にいなかっただろう」と
隊長に言わしめるほど。

「でも2輪ってのが弱点ね。将来パピリオの八重が出るかもよ。」と恵里さん。
おおおっ隊長、こうなったらゴージャスパピリオを見るまで
花業界にしがみつかなきゃだめですね!

今後、アマリリスの新品種選抜にあたって何か狙いはありますか?
「3年前くらいから取り組んでいるけど最低でも4輪咲きを狙ってる。もう2輪咲きは増殖しないね。」ますますゴージャスなアマリリスの誕生ですね?。

「輪数が多いだけじゃなくて一気に咲くほうが価値があるよね。そして上を向いて咲く、かつ八重咲き。」
なるほど?。すでに温室にはその厳しい条件をクリアしているものもチラホラ・・・。
お目にかかれる日も近いかもしれませんね。

「秋咲きのアマリリスも増やす予定だよ。」
魅力的なアマリリスを楽しむ時期がどんどん長くなるなんてステキ!
アマリリスの出回り時期が悪い、なんてことも過去の話になっちゃうかも。

ね、オオシマ店長! 


広大な敷地の中にザクザク宝物

とにかく小森谷ナーセリーは広い! アマリリス温室のほかに、小球根温室、草花用温室など、その品目数は数知れず。30年?40年前から導入して育種しているものもあれば、つい最近導入した品目も。外国から導入したものがほとんどだそう。

どのようにして集めるんですか?
「外国の種苗会社で取り寄せることもあるし、あとはコネクションかな。世界中の育種家から譲ってもらったり交換したり。」
さすが世界のKomoriyaですね。そしてコネでやりとりできるのは信用があってのこそ。信用もワールドワイドです。小森谷コレクションの特徴は数多くの品目品種が揃っているだけではありません。魅力ある品種を選抜・育種するセンスとその徹底ぶり。コレクションを増やすだけが良いコレクターではありません。取捨選択がキッチリされることが、現在のそして未来の魅力ある品種として私達を楽しませてくれることに繋がっているのです。

そもそも小森谷ナーセリーの育種の歴史の始まりは?
「父が水仙、グラジオラスの育種したのを50年前くらいに園芸文化協会に初めて出品したら賞をとったんだよね。ついでにドイツの品評会にも出したら賞とっちゃって。それで、あ、できるって思ったみたい。」

一発目で賞をとるなんてすごい才能ですね。
 

種子の採取作業。地道な作業が魅力ある品種作りにつながります。 

品目:クチビルチュー。ウソです。
ハエマンサス(和名マユハケオモト)。8月に白っぽい花が咲くそう。
 

温室群の後ろには広大な花畑。主にスイセンのトライアル用。珍しい品種がたくさん植えられています。ちょうどうかがったときは満開!まるでお花見に来たみたいです。
(あっ、いや、ちゃんと仕事してますよ商品開発室は・・・)
 

(哀愁ただよう桐生隊員。※写真右)

(通称『軽井沢』)

畑の一角には遮光された場所が。風が吹くとサラサラいい音がします。でも普通の畑でこんな遮光つけているの初めて見たんですけど。「これはシイタケ用の遮光だよ。ここに日陰が好きな植物を植えてる。みんなこの場所を『軽井沢』って呼んでるよ。」
アハハ軽井沢ですか。
「夏はみんなここで仕事したがるのよね。」

この広大な小森谷ナーセリーを見学してはっと気が付いたこと・・・それは恐ろしいほど整理整頓がキッチリなされていること。放置されたゴミも全くなし。「この品種は?・・・なんだっけ??」なーんてものは1つもありません!!

「品種が混ざっちゃうから徹底的に整理はやっている。それでも混じっちゃうことはあるけどね。」



(ハウス間のスペースもキッチリ活用。(もちろんラベリングも完璧!))

しっかりラベリングし、品種の由来をメモに残し・・・、その徹底さにはただただ脱帽です。
整理整頓は小学生でも習う基本ですね。きれいな環境にいい運気もやってくるって風水でもよく言うし。
ワタクシも見習わなければ・・・。
(ちなみにワタクシの今期目標の一つが「整理整頓」です。シャチョーに「デスクが汚いっ!」と怒られた経験アリ)

どんどん出てくる玉手箱

(恵里さん。知的でステキな女性です。)  小森谷ナーセリーから出荷される切花は、魅力ある品揃えからこだわりぬいたラインナップを周年を通して、そのほとんどを大田花きに出荷していただいています。

アマリリスが終わった後はジャーマンアイリス、スプリアアイリス、アガパンサス・・・と続きます。八重のネリネなど、もちろん魅力的な隠しダマもキッチリ用意されていますよ!乞うご期待!

しかし恵理さん、めちゃめちゃ忙しそうですね。
「営業のほか植物園のアドバイザーや講師、展示会の準備、時には通訳まで・・・。(恵里さんはアメリカ、イギリスに留学経験あり)。ほとんど便利屋になってるね(笑)」

でもそんな忙しさも小森谷ナーセリーの品種を世にどんどんPRしたいから。そんな多忙な恵里さんをこれからも大田花きはしっかりサポートしていきます!

小森谷ナーセリーの格言

・「花より美しい、花を。」目指す育種
・ワールドワイド&豊富な品目・品種のコレクション
・徹底した整理整頓!

お花屋さんたちへ一言・・・

・品目たくさん出します!多様な魅力を感じて下さい。

おまけ:恐るべし小森谷氏コレクションの数々

圃場の周りには囲むようにぐるっと何十本ものモクレンが植えられています。

小森谷さん曰く「これ全部種類が違うのよ。30年前にニュージーランドから取り寄せたんだよ。」
しかしこれで驚いてはいけません!温室の間にはステキなコニファーガーデンが。
「このドワーフコニファーもコレクションだよ。」
ひぇぇ!これもですか!しかも一本一本にしっかり品目・品種名・学名がしっかりと
ラベリングされています。「A?Zまで集めたかったけど、A?Cであきらめた。
なにしろン百万円もかかったから。」
ええっ!コニファーにン百万円て!(しかもサラッと・・・)
「ただの趣味よ?。父の道楽道楽。」道楽ですか・・・。
おカネを使うなら、こうやってババンと威勢良く使いたいもんですな・・・。

小森谷ナーセリーから出荷されている花たち

アマリリス、スイセン、ネリネ、ダイヤモンドリリー、ラナケリア、アンスリウム・・・などなど多種多様! 新品目・品種も続々導入予定です。お楽しみに!
アマリリスの品種一覧表(ほんの一部です) クリック!
(文責 よしだゆきえ)
Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.