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2005年5月30日

Vol.4 長野県松本市他 フラワースピリット編

今回は、知る人ぞ知る上條氏が率いるフラワースピリットの皆さんに突撃して参りました!

当社にはラナンキュラスを出荷していただいています。おジャマしたのはラナンの出荷もほぼ終盤にさしかかった頃。しかーし!当社にはナイショ?
ネタがいろいろあるとの事前情報つかんでますよ?フフフ。

ウンチク探検隊始まって以来の関東脱出!張り切って朝5時に長野へ出発です。


八ヶ岳PAで一休み。山がキレイ?

長野で育つラナンキュラスの魅力

まずは茅野市の柿沢さんの圃場におじゃましました。(柿沢さんの圃場は高い山に囲まれています。)

なんとここは標高1000mです!
フラワースピリット会員でも一番の標高の高さです。
雪山に囲まれハイジ気分。すがすがしー!
この恵まれた環境の中で、柿沢さんはラナンキュラスとトルコキキョウを作っています。

おじゃましたのは4月の終わりですが、ラナンはまだまだ花が咲いていますね。
「ラナンはここの気候にすごく合っていると思うね。夏になったら休眠に入るんだけど。」
とはいえ、25℃以上の気温が3日以上続くと葉が黄色になって休眠に入るのだそうです。

あまり暖かいところだと永遠に休眠されちゃいますね。
「ここは涼しいから長い間切れるけどもう時期も終わりだね。いつか母の日にちゃんと提案できるといいなぁと思ってるよ。」
母の日までにラナンを楽しめたらステキですね!
終盤とはいえまだまだ市場に出荷していただいている頃。しかし思いっきり咲きすぎてる花が多いんですけど…
これは出荷外??
「ラナンは夜になると花が閉じるんだよ。」 えぇ?!それは知らなかった!!
「よく市場から切り前が固いって言われるんだけど、一度ちゃんと開いたものを送っているからちゃんと開くと思うよ?。」
そうだったんですか?…知らなかったです。(ワタクシも切り前カタいと思ってた一人です。反省。。。)
ラナンはツボミのままで切るとベントネックしやすいため、
フラワースピリットでは一度咲かせて首をきちんと固くするまで育ててから切り出しているのです!



(芯がぴょこっと出ているフレジスグリーン発見! なかなかシュール。※写真右)

本拠地、松本へ

次はフラワースピリットの本拠地である松本市へ。 松本市も標高高いです。市内の一番低いところでも700mはあるそうです。フラワースピリットのボス上條さんの案内で会員の圃場を見学させていただきました。フラワースピリットを代表する品目であるラナンは、全会員が作っている品目なのです。それぞれの圃場の規模に応じた株数を作っています。 宮崎の草野さんが育種している品種を栽培されています。 「草野さんとこの特徴は、花弁が多いのと、芯が出るのが遅いのが特徴だよ。」 今後期待する品種はどんなものですか? 「やっぱり耐暑性かな。夏に強い品種が欲しいね。」 柿沢さんもおっしゃっていた通り、母の日に使われるラナンがデビューする日が来るのかも。 「でもラナンの性質が変わったものができるのは40年に1つ、 突然変異は10万分の1の確率だからけっこう難しいだね。」 気の遠くなるような確率・・・。ううむ、やはり簡単にできるわけではないのですね。 でも母の日にラナン・・・捨てがたい魅力ありです!

ひときわ見事に咲き誇っているハウス発見!

中は今期センセーションを巻き起こした大輪ローヌ系が咲き乱れています!

「大輪系がオランダから入るって聞いてね、急遽作ったんだ。」

なんだか出荷された形や大きさ以外にもいろいろあるんですが。

「球根は来たものをとりあえず植えただよ。まだまだこれから選抜していかなきゃいけない系統だな。」

よく見るとすごく変わった咲き方をしているものも。
(ケータイと比べてみると、改めてローヌ系のデカさが分かります。)





(咲き乱れる秘密の花園・・・)

(集荷場はラナンラナンの花畑状態♪立っているのはFSきっての若手イケメン川崎(息子)氏。※写真右)


(ラナンの色彩の嵐に目が疲れた方はこちらをどうぞ♪(写真は青木湖))

個性きわだつメンバーぞろい!

そもそもフラワースピリットって何人いるんでしょう?
「メンバーは10人いるだよ。全国に類を見ないほどの変わり者が集まった花作り集団だね。」
上條さんが言う通り、メンバーは個性派ぞろい!
「大田さんはもともと陶芸家、百瀬さんはそば打ち名人。」
百瀬さんは斉藤記念オーケストラの皆さんにそばを打った経験もあるとか。
秋に食べにいかせていただきます!
「オレと川崎さんはスキューバ(ダイビング)仲間。」
でも長野は海ないんじゃ・・・湖に潜るとか?
「赤道付近まで行って潜るだよ。」そーですか、日本脱出ですか!
ちなみに柿沢さんは花作りをする前はセイコーエプソンのソフト開発、
横林さんはなんとハードを開発していたんだそうです。

実は、市場で上條さんと初めてお会いしたとき「なんかどこかで…?」と直感したことが。それが左の写真のかわいいマーク。フラワースピリットの箱に印刷されています。
お話を聞きながら心の中で「ぜったいあのマークは上條さんがモデルだ絶対・・・」と思っておりました。(ええ、話はちゃんと聞いてましたよ、ええ。)

「花を作るときに最初にこのマークを作っただよ。」
しかも、ちゃんとというかやはりモデルはフラワースピリッツ創設者のお三方!
右から上條さん、倉科さん、百瀬さんだそうです。やはりワタクシの勘は正しかったのね!しかし!ぐおー!百瀬さんの写真を撮ってなかった!一生の不覚!!(FSのボス、上條さん。※写真左)(仙人風貌の倉科さん。ラナン出荷の責任者です。※写真右)

飽きさせないストーリー作り

フラワースピリットの花のテーマは「飽きさせない」「ストーリーを作って世に出す」こと。 「それをタイムリーに、ドラマ仕立てで出す、ちゅうことがうちらの仕事だね。」 「日本の花作りは市況や生産性から入る人が多いけど、それが逆に欠点だね。  産地がマーケティングして、プログラムを組んでいかないと。」 いや?、ホントはワタクシたち市場がもっとマーケティングしてかなきゃならないんじゃって思うんですけども…。上條さんのお話はホント勉強になります! ラナンも、元々は冬場の品薄のトルコキキョウやバラの代わりになるものを、と始めたのだそう。 大輪ラナンの導入もラナンの「脇役の花」という従来のイメージを払拭させるためのストーリーなのです。

花を買っていただく皆さんを「飽きさせない」ためにも、
フラワースピリットはいろいろな品目を作っています。
今回ワタクシが一番ビックリしたのがキンギョソウ「スーパーロング」。(左写真)
キンギョソウの概念が覆されるほどのボリュームと、丁寧な作り!
一本立ちで作られており、普通のスナップを作るよりも1.5倍ほど手間がかかるそう。
とあるお花屋さんから、
「デルフィニウムの代わりになるようなものを作ってほしい」との要望から生まれたこの品種、
 シャネル、クリスチャンディオールなど著名なブランドショップの店頭にも飾られた経験をもっています。
これは松本の気候でしかできないんだよ。
別の産地でも作ったところがあったけど失敗しちゃったみたいだね。」
長野でしか作れない花を追い求めていくのもFSの信条の一つです。



(ヨーコ嬢が持つと分かるこのボリューム!※写真左)

カラーもそのひとつ。
「カラーは極めてリスキーな品目だよ。」
ニュージーランド産球根の品質が安定しないため、腐りやすいのです。しかし発色バッチリ!長野の気候でしかできない品質のものを作り続けています。



シシド隊長より「奇形花の魅力は計り知れない。市場で正しく評価されるよう願ってやまない」とのコメント。


トルコキキョウもフラワースピリットを代表する品目の一つ。写真左は花が上に揃ってキレイに咲く仕立て方です。上條氏が発案し、推進していますが、ものすごく手間がかかるため、他産地にはなかなか普及しないらしいです。

圃場は腰が痛くならないよう、ベッドの高さを上げています。

「腰痛になると農業が続けられないからね。こういう工夫は大事。」

しかしいろいろご紹介してきて、ここで冷静に考えてみると・・・
あらら??ラナン以外の品目はなぜか大田花きにはまだ出荷されてないみたい。
どーゆーことでしょう?

ラナン以外の品目も大田花きデビューも近し!ですよね!?
上條さん、よろしくお願いしますね!!

フラワースピリットはこれからも会員は増える予定だそうです。
パワーアップするフラワースピリット、これからも目が離せません!

フラワースピリッツの格言

・ひとつひとつの花にこだわりを持って作っております。
・花作りには意図するストーリーがある。その趣旨に沿って使うべし。
・FSのラナンはメイン花として使うべし。

お花屋さんに一言・・・

・ラナンの固切りは極めて危険!咲いたものを使うべし。

おまけ:シシド隊長からの長野一言ウンチク

長野をレジャーフィールドとして走り回っているシシド隊長より・・・

「長野に行く時は、高速のSAでガソリンを入れてからインターを降りろ!」

確かに長野はガソリン代が高いです(泣)。
バイパス沿いのガソスタの値段が高速のSAスタンドより高かったです。
遊びに行く際はぜひご参考に。(たまにシシド隊長は渓流に出没してるかもしれません。)
長野はいい季節です(雪国生まれですが非常に寒がりのワタクシにとっても)。

お忙しい皆様、長野の風景でほんのひとときでも癒されてくださいませ♪↓





(文責 よしだゆきえ)

2005年5月 3日

Vol.3.5 富山県高岡市 JA高岡のチューリップ 編

皆様、今期も大田花きからチューリップをたくさん買っていただきましてありがとうございました!今回のウンチク探検隊はチューリップです!
・・・え?旬が終わりじゃないかって??
いやいや?、新たなチューリップ戦はもうスタートしているんですよ。チューリップの今秋デビュー品種決定戦は今がまさに旬!今回はヨシダに代わりまして、当室最年少のヨーコ嬢にリポートしてもらいましたのでどうぞ!

チューリップ生産量・品種数日本一を誇る大森花き

(左から、安藤営業本部長・大森花き渡辺社長・ワタシ・大森花き桜庭さん )

今回の訪問地はチューリップ生産量・品種数日本一を誇る富山県の高岡のチューリップ生産地です。

大森花きの渡辺社長、桜庭(姉)さん、当社の安藤営業本部長にくっついておじゃましました。
富山では県がバックアップしてチューリップの育種を行っていて、まさにチューリップ王国。
まず、富山県農業技術センター野菜花卉試験場(なが?い名前。現地の方も言うのが大変)で最新品種を見学!

現地に着いて感じたことは、空気がおいしい!

さあ!長靴に履き替えて圃場へレッツゴー!

魅力的な品種が勢ぞろい!!

圃場は一重・八重・ユリ咲きなどタイプ別に区切られて栽培。 「今年は寒さの影響で花は咲いたけど、茎が伸びないんです。それと、チューリップは太陽が昇る方向から順順に咲くんですよ。」 と、富山県砺波農業改良普及センターの佐藤さん。 「こんなにきれいな色なんて、市場にいると全然わからないですよ!」 今までに見たことのない個性のあるチューリップを見て感動の連続のワタシ。我を忘れ、写真撮影が止まりません。(この時点で既にデジカメのバッテリーがピーンチ!)

なかでも、ド迫力なのが‘ミランダ’。上の写真でもわかるように八重で大きくてこの色。ラナンキュラスやシャクヤクにも負けない色と大きさで誇らしげに咲いていました。
ミランダに負けないくらいインパクトある大輪系の新品種も続々登場予定です。


ワタシが気に入ったのは‘エリアスマーチン’。
「だんだん色が変わるんです!黄色からピンクに。他にも葉が黄色から茶に変わる品種もあるんですよ。ちなみに枯れるわけじゃありませんから!」と、チューリップ博士の佐藤さん。


こちらの2つは、県育成品種です。

「品種改良は種が出来てから花が咲き、数を増やして、一球を決め、そしてまた増やす。
一つの品種が流通できるようになるまで、10年から20年かかるんですよ。」
すごい、並ならぬ努力が必要なんですね。圃場では、実際一本一本茎の長さや花型をチェックしていている試験場の方がおり、つくづく大変な作業だと感銘を受けました。

なかには、これがチューリップ!?と思うものも。

左の写真は超稀少品種‘新拓’みどりのガクが付いていてかっこいい!
まだまだ増殖中だそう。出回るのが楽しみです。

こちらはパーロットキングチューリップはかわいいだけじゃないのよ!といっているかのよう。 
燃え上がる炎のように生命力を感じます。

他にも、原種チューリップがたくさん!!
花は、星型でかわいい!
そして葉はタコの足みたい!
「これらはスピーシーズといって原種のチューリップで交配用に使います。一株でたくさん咲くから花壇に最適ですね。」
と佐藤さん。

こちらはまだ名前がない品種。
八重のフリンジ咲きです。
切花デビューの日が楽しみです!

次に場所を移動しまして、砺波チューリップ公園で開催されている‘2005となみチューリップフェア’を訪れました。

チューリップ四季彩館の中には、一年中チューリップが展示されていて、いつでも見ることができるそうです。

限りなき青への憧れ

富山県では、昭和30年頃から青系の品種の作出を目指し、数多くの品種改良がされてきました。左の写真は‘サファイアスター’。チューリップの中では最も青に近い色を持つ
といわれている品種です。
しかも原種だというから驚きです。他にも、青?というか紫のチューリップが数多く展示。

バラと同様、青を表現するのは本当に難しいのですね。

独創的なネーミングと人々

またまた場所を移動して、今度は富山県花卉球根協同組合の圃場を見学。 ここで、ご紹介!

左の方が、あの衝撃的な‘夜の帝王’の名付けた生産者の高畑さんです。
「夜の帝王は、クィーンオブナイトの枝変わり品種なんだよ。ボリュームのある花ができたから、女王に勝つのは帝王しかない!って思って名付けたんだ。」
「さっすが!インパクト大ですね。次はどんな名前を!?」
と聞いてみますと、
「次は、羽衣とか天使みたいな和名でいきたいな。」


(これが、高畑さんが次のネーミングを狙ってる品種。)

オランダからの導入品種で、ツボミはピンク、そして咲くと真っ白八重なんです。
二度楽しめるってことですね。
「そう。名前は‘白玉あずき’でもいいっかな?。」 と高畑さん。
「おばんくさいわ?。」となにわ花いちばの高橋さんからきっついツッコミが!(笑)
「‘イチゴミルク’でもいいんでない?」と、めげない高畑さんでした。

最後は清都組合長の圃場へ!

(左から、大表組合部長(英語ペ?ラペラ!)・清都組合長(全然大魔王じゃないって!)・‘夜帝’の高畑さん)

清都組合長は、日本一広いチューリップ生産面積を持つ生産者さんです。

葉を見ただけで、花がわかる!まさにチューリップ大魔王!?(帝王の影響が・・・。)
圃場はほんとにひろ?い!色とりどりのチューリップが咲き乱れていました。

(アイスフォーリス)
ここで、咲いているのは全て球根生産用のチューリップ。花を咲かせて球根を太らせ、すぐ花を切って、6,7月に堀り上げを行い乾燥させて出荷。
そして10,11月に植えるというサイクルを繰り返します。咲いた花は本来であれば捨てるそうですが、各地のイベントがあると摘んだ花を提供するそうです。
一回に提供する本数は20万本と想像がつかないほどの数量。

「すごいお花畑状態になりますね!」
と目の前も頭の中もお花畑になったワタシでした。



JA高岡チューリップ切花生産部会の皆様と市場人


今回訪れた日は最高に天気が良く、太陽のまぶしいい光を浴びて
本当にたくさんのチューリップが元気いっぱいに咲いていて、
お花屋さんに売られているチューリップとは別の顔を見ることが出来ました。

ゴールデンウィーク中、‘2005となみチューリップフェア’ではまさにチューリップが満開とのこと。
ぜひ、富山に足を運んでみてはいかがでしょうか。

また、今回チューリップ生産者さんや、県の指導員の方々とお話ができ、
チューリップに対する気合や愛情が伝わってきました。

本当にありがとうございました。

JA高岡(旧JAといで)の格言

・豊富な品種数で勝負!
・チューリップ育種にコストは関係なし!
・富山の高岡でしか出来ないナチュラル品質!

お花屋さんへ一言・・・

秋から箱も中身も新デビュー!

JA高岡から出荷されているチューリップたち

サザナミ、春、夢、ホリゾン、白雪、夜の帝王(ブラックヒーロー)などなど多種多様!

新品種も続々導入予定です。秋、こうご期待!!

(文責 ふるやしき ようこ)
Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.