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2005年9月30日

Vol 8.千葉県印西市 大野重雄氏

今回のウンチク隊は草花チームのうっちー部員と共に、
こだわりの草花王国、大野重雄さんのお宅へGO!
うっちー部員は千葉出身だし、運転もおマカセで問題ナッシング?と思った矢先、
社用車のナビが壊れて1時間近くもお約束の時間に遅れてしまいました?!
大野さん心配して道端に立って待っててくれてました・・・スイマセン。

ケイトの畑へ

お邪魔したときはケイト(市場用語では「ケイトウ」を「ケイト」といいます)の季節まっさかり! ケイトの畑が広がっています。

しかしよく見ると、赤だのピンクだのオレンジだの、
なんだかよくわかんない色までけっこう色が混じっちゃって咲いていますね。
これじゃあ、採花するとき大変じゃないですか??
「ここはね、オレンジのタネを撒いたところなんだよ。
 ケイトってね、色があまり固定しないからいろいろ出てくんだよなぁ。」
そうなんですか。色にこだわらないワイルドな種の撒き方というわけではないんですね。

ケイトのタネは去年のものから取ったものなのだそうです。
いいものから毎年タネを取って、選抜していくそう。
でもケイトのタネって種屋さんでも売ってますよね?
「こんなに鮮やかなオレンジのタネは売っていないんだよ。なかなかねー、固定しないから。」
へぇ?そうなんですか!では大野氏オリジナルの色なんですね。

どんな基準でタネをとる個体を選ぶんですか?
「形がいいものだね。まず頭がでっかくなるものを選ぶよ。それから色かな。」

しかしその割には(といっては失礼ですが)、ほっそーくて、見ただけで
「これじゃ値段出ないな、バンバン(←セリで叩き売りの音)。」っていう感じのものも生えていますが・・・?


(もうこうなると、どこから切ったらいいのか分かりません!※写真右)

「こういうのが必ず出るんだよ。全部捨てるよ。」
えっ、これが大きくなって、太くなって立派なケイトになるんじゃーないんですか?
「違うよー。いい形になるものは小さい頃の形でもう決まるんだよ。」
と、まだまだ小さいケイトの畑へ。

花芽が出たばっかりのケイトですが、ほー、確かにもう立派なケイトの形をしてますね!
「この時点であまり形のよくないものは折っていくんだ。」
と大野氏は惜しげもなくポキポキと取っていきます。おぉお、もったいない・・・

こちらはセッカケイト(茎が石化したケイトウ)の畑です。
市場で見た感じで想像していたよりはるかに高いっ!
うっちー部員の身長(190cm)をはるかに超えています!
ワタクシ(160cm)は確実にセッカケイトたちから見下ろされております・・・。

大野さんちのケイトはなんともいえない、いい色が多いですよね。
「セッカはグリーン、茶、ローズのタネをとって選抜してるよ。もちろん形がよいものからタネをとる。」
それでもやはり色幅はまちまちで出てくるそう。
「ダークブラウンつくりてぇ?」とうっちー部員。ノッポの願いをかなえてやってください、大野さん。

ちなみに、セッカケイトの切り前って決まっているんでしょうか?
「葉っぱがきれいなうちかな。」
あら意外。だってケイトの葉なんてほとんど使わないじゃないですか。
「大野さん、葉がなくなっても『ネイキッド』で出すか!」とうっちー部員から提案。

おっきなセッカケイトの隣には、小さいケイトが次の出番を待っています。
他の畑を含めると、長い期間切れるように2週間くらいずつ時期をずらして種を撒いているんだそうです。
ケイトってどのくらいで採花できるんですか?
「2ヶ月?2ヶ月半で切れる。だからタネを撒くのも彼岸用であれば・・・と計算できるね。」
へぇ?計画が立てやすいですね。
「生長の速さは色によってちょっとずつ違う。ピンクが一番早く生長するよ。」

ケイトを作ってていちばん苦労することってなんですか?
「撒いた分のまぁ半分出せればいいほうだな。ケイトは雨、風、台風、ドロボウと敵が多いね。」
んん?ドロボウっ!?
「セッカ100本とられたことがあるよ。畑に行ったらごそっとないんだよねー。
 自分が切らない位置から切られててさー。」
ナニー100本も!ホントに許せませんね!
(ちなみに作業小屋にはドロボウよけのおふだが貼られていました。)

「それと虫も多少つくかな。花芽はスリップスに注意しろと(本に)書いているね。
 カナブンとかにもかじられるな。コオロギも食べる。」
・・・って聞いてる時にカナブン発見!!ニャロ?!(怒)

セッカケイトを語る!

ところで大野さんがセッカケイトにこだわる魅力ってなんですか? 「セッカは極めてる人がいないから未知の世界。自分にとっては面白いね。  しょせんケイトなんだけどな。」 いやいや、ケイトは奥深いですよこりゃ。 畑には、芸術的な曲がりやこれぞセッカ!と主張しているもの、 グラデーションがかかった色のものなど、個性的なケイトがたくさん! 揃っていないからこそのおもしろさがありますよね! 「こっちはまっすぐでちゃんとしたものがいいと思って作る努力をしてるけど、 花屋は曲がってもいいとか言うよね。生産者と花屋の考え方の違いが難しいよねー。」 ふと思ったのですが、フラワーデザイナーさんたちが畑へ入って思い思いに好きなケイトを切って行く・・・。 そんな「ケイト狩り」企画もおもしろいかもしれませんね。

コスモス畑へ

次は秋のお姫様、コスモス畑に。 訪れた時はまだまだ咲き始めでしたが一足先に秋満喫。 「俺コスモス好きなんだよな?。」と、しみじみうっちー部員。可憐な感じがシュミなんでしょうか。 ちなみにコスモスの花言葉は「乙女の純潔、心情、真心・・・」などなど。

しかし可憐なだけにヒジョーに弱い植物でもあります。
「ケイトウは雨切りしても大丈夫だけど、コスモスは雨降られるとシミになるからおしまいだし。
あとは台風でどれだけ生き残っかだな。害虫にも簡単に食べられる。
敵はシャクトリムシ。新芽食べられて棒だけになってるもんな。」

「コスモスのタネはね、年によって値段が違うんだよ。びっくりする値段の年あるもんな。」
品種でもかなりのバラつきがあるそうです。
「キャンパスは高いね。イエローキャンバスは一気に咲くから値段が落ちる。」
仕立てでこだわりはありますか?
「細く、固く作るのが大事、ヒマワリもそうだけど。」

大野家の歴史

大野家が草花を始めたのは30?40年前なんだそうです。 長いですね!

「親父の代から始めたんだよ。
古くからやっている所は戦前から作って売ってたから、
これでもうちは地区の中では新しい方だよ。
大田には(新しく市場が開場してから)半年したくらいで初めて出してみた。
最初はダンボールにくるんで持って行ったんだ。

当時の専務(現在の磯村シャチョーですな・・・)からはよく
『それはシュミと園芸の世界かぁ??』なーんて言われたもんだよ。
自分で市場に持っていくから、市場でいいものを見て勉強して、
だんだんセリでも前に出して売ってもらえるようになってきたね。

「大野さんの作ったものであればどんなものでも、というお客さんは多いよ。」とうっちー部員。
そんな固定ファンがつくほど、品質にはこだわりがあります。
「この時代、質より量じゃしょうがないしね。
 売れているときの差はあまりないけど、売れないときの差が大きくなるよね、ダメなものを出すと。」

そんな品質太鼓判な大野さんに、大田はブバリア頼んじゃいました?。
来期乞うご期待!大野さん、よろしくお願いします!


今回は花の少ない時期にお邪魔してしまいましたが、もちろんその他いろいろな品目ありますよ!


最後に大野さんちを出たあと、桐生隊員がポツリと一言。
「大野さんが市場に出してるモノの量を考えると、選別でホントに、けっこうな量を捨ててるんだな・・・。」
大野さんが勝ち取ってきた信用力は、比較的規格化が難しい草花品目で徹底した選別を行った結果なんですね。
みなさんもぜひぜひ使ってみてください!

大野重雄氏の格言

・徹底した選別で高品質な草花揃えてます。
・捨ててる量は半端じゃないよ
・市場に自分で持ち込み&シールまで貼ってくれる生産者は他にはいません!
(すみません、いつもありがとうございます)

お花屋さんへ一言

・コスモスのタネはアズキの相場並?に変動が激しいのです!
・いろいろ意見を聞かせて下さい。

おまけ

大野さんの畑へ行く途中、落花生畑発見!(大野さん家のではありません) さすが千葉!実はワタクシ、落花生が畑に植えられている状態をしっかり見たのはこれが初めてです。 (大野さんとうっちー部員に「ええっ!?」と驚かれてしまいましたが)

長年ナゾに思っていたのですが、
ウワサによると落花生は花が土の中にもぐって咲いて(一体どんな植物だ)、
それから実になると聞いたことがあるのですが・・・??
「花はもぐらないよ。花が終わったらヒゲが出てそれが土にもぐって実になるんだよ。」

(これが土にもぐっていた実(になる予定の子房)。スイマセン、人の畑で。※写真右)

うっちー部員によると、千葉では味噌ピーが給食に出るらしいです。
これが一番びっくりです。

(文責 よしだゆきえ)
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