大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2006年2月 | トップ | 2006年5月 »

2006年4月21日

Vol 13.大分県玖珠町 メルヘンローズ 編

今回はなんと大分県!うんちく探検隊では最南端の地。
個性豊なバラを出荷しているメルヘンローズさんを訪問しました。
chizu.JPG

突然ですが、おめでとうございま?す!!!
4月14日?16日に開催された『2006 ジャパンフラワーセレクション・スプリングショー』において
メルヘンローズさんが育種された3品種が入賞しました。
審査基準は優れた品種(花や葉の美しさ)はもちろん、消費者の視点から「育てやすさ」「購入しやすさ」「飾りやすさ」などが評価されました。

v.pink.JPG v.sweets.JPG poruboron.JPG

  M?ヴィンテージピンク     M?ヴィンテージスイーツ      M?ポルボロン

?メルヘンチックな町??

メルヘンローズへ向かう道すがら目に入ってきたのは『メルヘンの森』『童話の里』という看板。 メルヘンという名の由来って?と疑問に思い、案内してくれた総務・企画担当の安部さんに尋ねてみると こんな話をしてくれました。

『玖珠町切株山のお話』
むか?し昔、この地に天にも届くクスの木がそびえ立っておって、玖珠ちゅう地名がついたんじゃ。
あまりにも大きいから、年中陽も差さん。
そこで通りかかった大男に、この木を切ってもらうことにした。
大男は、万年山と大岩扇山を足場にして巨大なクスの木を切りたおした。
その切株がこの伐株山。
倒れた木が川をせき止め、その水がひいた後がひた(日田)。
クスの木から鳥の巣が落ちた所が、とす(鳥栖)。
クスの葉が最も遠くへ届いた所が、はかた(博多)。
ここまでは、くるめえ(久留米)。                      
になったとさ。おしまい。

最後はオヤジギャグでしょうか?(^_^;)でも玖珠地方に伝わる民話なのだとか。
「日本のアンデルセン」と讚えられた久留島武彦によっておとぎ話が生まれ育った町。
なるほど、それでメルヘンですか。

?おいしい空気とバラの香りに癒されるハウスへ?

huukei 1.jpg huukei 2.JPG


車で山を登って行き、メルヘンローズへ到着です!
メルヘンローズには育種部があって、独自にバラ切花の新品種をどんどん生み出しています。
そこで早速、試作品種の展示ハウスへお邪魔しました。
世に出る事を待ち望む名もないバラ達がたくさん並んでいます。

hausu1.JPG
 ベンチ(隔離床)を用いたロックウール栽培で、地面はコンクリート。バラの圃場訪問初めての私には、このハウスは宛らバラ工場のように映りました。

 苗木が植わっていないベンチを見ると、丸い穴が並んでいます。
実はこれもメルヘンの栽培方式の特徴のひとつ!


 大抵の産地では四角いポットに包まれた苗木をベンチに並べていくだけなのですが、この連結ポットに苗をさしているにはやっぱりワケがありました。


renketupot.JPG
 安部さんによると、「草の種が飛んできて広がった時に除去しやすい!だから作業の効率化を図ることができ、コストはかかるけれどもこのスタイルに落ち着いたんです。」 ということ。

なるほど、そんなご苦労もあるんですね。

真ん中の黒い線は点滴の役割、ここから栄養分が注入されています。

kurunte-pu.jpg caramel antique.jpg strawberry.m.JPG

   J?クルンテープ            キャラメルアンティーク          M-ストロベリーミルフィーユ
巻きがかわいらしくて私の好きな花達です。
では、その成長過程を見てみましょう♪

no1.JPGno2.JPGno4.JPGno3.JPG 

ここでも特徴ひとつアーチング栽培をチェック!
ひと株のバラを採花用の新梢部と生長のための養分確保の枝葉部に分業させ、枝葉部をアーチ状に折り下げることによって株元に光が十分にあたり、たくましい新梢が発生し、高品質のバラを育てる、というものです。
だいだい二度程折り下げるのだとか。出荷されるまでには時間を要するのですね。
hausu2.JPG

 今回、大田エプロン(デニム生地で会社のロゴが付いたエプロン)を持参してきてよかった!と実感しました。というのも、ベンチの間を歩いていると太もも辺りをトゲ攻撃にあってしまうからです。圃場へ出かける際には持参されることをお勧め致します。

?メルヘンローズ設立秘話?

穏やかな風景を見、爽やかな空気を吸い込みながら次なるハウスへ向かう途中メルヘンローズ設立秘話を伺いました。 ishigaki.JPG
 1990年、小畑社長の声がけによって玖珠町の8人の園芸農家が集結して始まりました。 当時、花の需要は上向きでしたが、市場の再編成や、流通形態の変化など消費を取り巻く環境が変化していた頃。ちょうどロックウール、アーチングといった栽培方法も海外から入ってきました。そこで生産においても今こそ変わるべきだ!と奮起し、菊・カーネ・野菜など作っている物も様々だった8人が‘バラ’の花で日本一を目指すことになったのです。
ishigaki up.JPG
 山の上 3ヘクタールの敷地を自分達の手で草を切り、造成して平等に8棟のハウスを建てました。
「この石垣も自分達で作ったんですよ。」と言われ「えっ、石垣まで?」と 近寄って見てみると、なるほど自助努力の跡が見えました。


 そういえば、玖珠町にある安太(あのう)積みの城 角牟礼(つのむれ)城跡の観光ポスターを宿泊先のホテルで見ました。
ちょっとご説明しますと、角牟礼城とは難攻不落の天然の要塞といわれていた城です。そしてその石垣は自然石を積み上げる野面積みでした。一見雑な積み方に見え ますが、強度・安定性では他に引けを取らない強い石組みを築くことができ、ならではの技法が隠されているのです。穴太でこうした石垣を積む技術をもった集団のことを“穴太衆”と称していますが、その技術は四百年の時を越えてメルヘンローズ8人衆にも伝わったのでしょうか???

そして現在、社員は7名、温室従業員が4名、パートさんが10名、研修生が3名、犬6匹、いのしし5頭(?)で頑張っていらっしゃいます。いのししは冬に食べられてしまう命のようですが…。

syacyou.JPG      syoujyou.JPG
生産過程全てを数値化して判断する     賞状が壁一面に並ぶ事務所の入口
凄腕の経営者 小畑社長
犬好きでいらっしゃいます。
写真はいいよと恥ずかしがられていましたがパチリ。

輸入バラが急増する中、国際競争に対応すべくコスト削減という守りの姿勢だけでなく、鮮度保持対策や、新品種の開発によるオリジナル商品の提示といった攻めの姿勢もしっかりとあって、時代の流れに即した経営をされているのです。

shiro.JPG iseki.JPG inoshishi.JPG
 ?                    ?                  ?

?城に乗り込む小畑社長と宍戸隊長    
?別名 海賊城!忍者屋敷のように抜け道もたくさん作られた不思議な城
?メルヘンに住むイノシシちゃん            


?『代替のないバラ』を目指して?


バラの育種に際してテーマとしているのは「よりバラらしいバラ」「バラらしくないバラ」ということ。 
バラらしくないというのは、つまり、見た目の色や花型が変わっているもの、いい香りがしたり機能的に効果が見込めるもの、ということ。

オリジナリティがあり、人が惚れ込むようなバラ作りを目指す思いが伝わってきました。

また、面白い事にヨーロッパではバラの切花はスタンダードが主流。スプレーの分野ではバリエーションの豊かさは日本がダントツ!なのだそうです。ヨーロッパではオールドローズなどのスプレー品種は庭に咲くガーデンローズであって、わざわざ店で買ってくるものではないのでしょうか?

日本人好みの品種をどんどん生み出し、これからはその良さを世界の人にも知ってもらいたいですね。

Mシリーズおすすめ品種
(Mとはメルヘンローズが育種した品種のことです。)
flower box.JPG v.red.JPG v.silk.JPG 
  M?フラワーボックス            M?ヴィンテージレッド             M?ヴィンテージシルク

anzuhime.JPG hyphoon1.JPG hyphoon2.JPG
  M?あんず姫              M?トロピカルサイクロン            M?ハリケーン 

                         ↑台風の当たり年2004年に育種された品種↑


メルヘンローズではJシリーズ(ジャパンオリジナルローズ)も育種しています。
こちらをクリック→http://www.otakaki.co.jp/profile/company/jrose.html


出荷準備をする農協 選花場の様子
sennkajyo.JPG10?15名のパートさんが作業されてます

senkaki.JPG 国産第1号の首賭け式選花機



taicyo.jpg
 宍戸隊長が思い描くパーフェクトローズの条件は、
  ?ミミエデンのような色(グリーン×ピンク)
  ?なおかつ大輪
  ?咲き方はパーフェクトロゼッタ
  ?人を惑わすぐらい強い芳香
 これらを兼ね備えた夢のようなバラを求めています。


衛藤さん、隊長の願いをどうか叶えてやってください。宜しくお願いします。m( _ _ )m


‘新しいバラ作り’の夢を追い続けるメルヘンローズから これからも目が離せません!

メルヘンローズの格言

・代替のない拘りのメルヘンローズを使うべし。
・日本人好みのSPバラの魅力を世界へ発信すべし。
・育種によって次々に生み出されるオリジナル品種に注目すべし。

?おまけの話?

 この冬は油が高いからハウスの暖房も思うように炊けなくて大変!って話はどこの生産者さんからも聞きますが、メルヘンローズさんもみんなで真剣に話し合ったそうです。そして、ハウスのドアはこまめにきちんと閉める、ハウスに穴が開いていたら補強する など基本的な事をきちんとする!という結論に。驚くことなかれ、その対策によって原油使用量は昨年より少なかったとか。身近なことからコツコツと努力をすれば改善に繋がるんですね。それって家計にも繋がりますね…私も見習わなくちゃ。
(文責 中川美紀)
Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.