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2006年8月 5日
Vol.20 千葉県 アンスリュームの大佐和花卉園
(千葉県富津市)
今日は7月31日、7月最後の日です。
うんちく隊初アンスリューム生産地へ!!
うんちく隊員の私たちもアンスリュームの生産地へは初めてなのでワクワクです。
大田花きを8時30分出発→羽田空港を通過→海ほたる→ジャスト10時に千葉県の大佐和花卉園に到着。1時間半くらいで着いてしまいました。富津市は思ったよりも近いんですネ
←当日は夏らしい高い空の快晴☆
東京湾がキラキラ輝いていました!
まずは、市場内に伝わる大佐和花卉園のアンスの噂をチェック!
大佐和花卉園のアンスリュームはここがすごい
・品物がとても綺麗
・梱包が丁寧
・アンス葉も美しい
私たちの今回のミッションはこの3つの裏にある秘技を探ってくることです。
一体どんな秘密があるのでしょうか♪
その前に生産者のご紹介!
社長の圭祐さん 元お花屋さんの 明るいお母様 とも子さん
キュートな奥様由美子さん
生産者は社長の平野圭祐さん、お母様の平野とも子さん、社長夫人の平野由美子さんの3名と、パート5名です。
「大佐和花卉園」だから、大佐和さんが生産者と思いきや、苗字は平野さん・・・じゃあなぜ大佐和(!?)・・・それは昔、千種新田、岩瀬、小久保の3つの地区を合わせて「大佐和」と呼んでいたからだそうです。
アンスリュームを栽培して35年経つ平野家。現社長の圭祐さんは、御実家でもアンスについて勉強されましたが、アンスリュームの栽培が盛んなハワイ島にて1年間栽培の勉強をされ、生長に関しては、千葉県の試験場でアンスリュームの組織培養を研究されて、そこで「アンスリューム」について詳しく学ばれたそうです。アンスの博士ですね!
アンスの基本的な情報
アンスリューム育成にに無知な私たち隊員にアンスのいろはを丁寧に教えて頂きました。(市場で働いているのにすみません!)
平野さんの場合、オランダにて苗を入荷して2年間かけて苗は成長し、出荷できるように仕立てるまでにそれから1年かかります。ここまでで3年かかることになります。
その後、一つの株から採花できるのは、花6本と葉6本を合わせて年間たった12本です。それを3年繰り返すとその株は寿命になります。一株で花18本、葉18本採ることができます。
では、早速ハウスを見せていただきましょう?!
平野さんについていくと、
えっ!踏み切りまたいじゃうんですか?!?!
↑元社長秘書の内藤隊員。ついにアンスハウスに本格参戦。過去の私にフェアウェル。
そうなんです。全部で6棟あるハウスとハウスの間にちょうどJR内房線線の線路があり、渡って移動します。ハウスに入ると、トロピカルレッドのアンス畑が広がっていました。現在、ざっくり数えて5万本あるそうです!
それでは、大佐和花卉園のアンスの秘密を探っていきましょう!
1.品物がとても綺麗
2.梱包が丁寧
3.アンス葉も美しい
1.品物がとても綺麗なわけ・・・
大佐和さんの主力であるトロピカルレッドを見てば、輸入物と全く異なるのが分かるはずです。そのポイントは徹底した温室管理にあります。温室の気候をアンスリューム(植物全般)にとって生育が盛んな『春の気候』に合わせられるように、管理されています。家の隣にハウスがあるのも、徹底した管理ができるポイントです。
<光>
「アンスリュームは日差しが強すぎると、花や葉が焼けてしまいます。通常は、白いシートを2枚掛けて遮光していますが、夏の強すぎる日差しには黒いシートも掛けます。このシートは3年に一回、スタッフによる手仕事で張替えをしています。」
<温>
ボイラー。冬にお水を温める機械です。
<温>
冬にボイラーで暖めたお湯をパイプを通して循環させます。
<風>
左の写真の大きな扇風機をハウスの片一方側で回すことによって、”お花のふりふり効果”が起きます。”ふりふり効果”とは、人間が眠っていて気持ちがいいと思える風がアンスリュームにあたることにより、いい状態を保ち株が良く育つ効果です。これは、風の出口にあたる側の方で特に効果があり、丈や花、葉の質が異なりました。
<水>
ここの地区のお水は鉄分を多く含んでいて、この水でお茶を入れるとなんと紫色になってしまうほどだそうです。大佐和花卉園では、このお水をタンクで漉してからアンスリュームのお水に使っています。漉した後にはこんなに赤い成分が残ります。
<その他>
ハスモンヨトウという虫をキャッチする道具が、ハウスの中にありました☆フェロモンみたいな香りを出してオスを捕まえるそうです。
「今年の5?6月の冷温、梅雨の長引きは、アンス生産にとってはとても有難いですね。」
「今年の品質は特に良いですよ!」と平野社長。
2.梱包が丁寧
「品種によって異なりますが、梱包は1箱20分以上かかります。」
←市場にて撮影。大佐和花卉園の代表作とも言える”トロピカルレッド ”。
赤は情熱の色!生育のバロメーター赤い品種を見れば、その産地の基準が分かります!
・・・梱包が丁寧です。お花屋さんも箱を開けて思わずにっこり☆
← 一つ一つ丁寧に梱包する様子。20分以上かかるのも、納得です。
「長時間かけて社長自らトラックを運転して市場に運んでいるので、輸送による傷を防ぐことができます。そして市場に到着してセリにかかったり、お花屋さんの持ち帰り時にも、傷がつかないよう、梱包時に花の向きを考えて梱包しています。」
← 平野社長が運転するトラック アンスのイラスト付き!
3.葉もとても綺麗・・・水拭き&WAXで磨き上げられています
大佐和花卉園のアンスの葉は、とっても つやつやッ☆
当社の社員も気になっていた仕立て方法を特別に教えて頂きました。
葉一枚一枚スポンジに水を含ませてふき取り、乾いたら一枚一枚液体のWAXでスポンジにWAXを含ませてWAXがけをします。
↑水拭きしてWAXを掛ける様子。
小さな葉、大きな葉問わず一枚一枚丁寧にWAXが掛けられます。
なるほど、手間と時間をかけてピカピカになるわけですね?☆
「丁寧に仕上げるために、パートさんなどスケジュールを組んで作業しているため、御注文はなるべく早く頂ければと思います。」と平野さん。ぜひ、ご協力をお願いいたします!
最後に、平野家の皆さんにアンスの魅力を聞いてみました。
お母さんのとも子さん 「色が鮮やかなところ!」
平野社長「…一本一本表情が違うところ」
奥様の由美子さん「わがままなお嬢様みたいなところ!」
日焼けに気を使い、おいしいお水を与え、クーラーの調節、お化粧(wax)をかけてあげて、着替え(梱包)をして、市場までお見送り・・・わがままなお嬢様を5万人育てる大佐和花卉園はすごい!!
仲卸、お花屋さんから大佐和花卉園へmassage
<仲卸 大田フローレ21 前田さん>
平野さんの素朴な感じが好きです(笑)!
あと奥さんの可愛い感じとか、旦那さまへの気遣いとか好きです。
・欲しい葉のサイズに合わせてくれる
・葉にWAXが掛かっていてキレイ
・梱包に気を使っている
・アンスに表情がある
・立体的な感じ
<仲卸 大森花き 桜庭さん>
これからもよろしくお願いします!
・欲しいサイズ、本数に合わせて出荷してくれる。
・アンスの葉を注文すると、10本につき+1本余分についてくる!
(…万が一、のことを考えてでしょうか。とても丁寧ですよね。)
・国産アンスの頼れる産地です!
・いい値段がしても納得ッ☆
<青山フラワーマーケット 東京ドームシティ店 梶原鉄雄さん、石井久美子さん>
・日持ちが輸入品とは比べものにならないくらい良いです。
・花の「ツヤ」が違います。
・キレイすぎて、いい意味でお客様には造花と間違われます。
<うんちく探検隊 宍戸 純隊長より歓びの声>
大佐和花卉園さんのアンスは、半年日持ちしました。
不思議なくらい枯れない!
感動をありがとう(T_T)!!!
大佐和花卉園・平野さんの格言
・とにかく仕事が丁寧!
・徹底した栽培管理!
・アンスはわがままなお嬢様だ!
ぷち・格言
・輸入のトロピカルレッドと比べてみるべし ツヤがまるで違う!
・ファンが多い生産地には、やはり秘訣がある!
・・・それなのに、平野社長にお花屋さんへメッセージをお願いすると、平野さんは「特に自分のアンスじゃなくても、もっと小売のお花屋さんにアンスを買っていただいて一般消費者にアンスってこういう魅力があるのかぁ。ということを、知ってもらいたいですね?」とお話頂きました。とても優しさが溢れる平野社長でした♪
品種紹介 アンス畑にあった18種類をご紹介します。
上段左から→トロピカルレッド、ローザ、マキシマ オレンジ、マキシマ、マキシマ グラシオーサ、プレミア、プレジデント
中段左から→サルボ、テラ、エタニティ、バニラ、ミドリ、エンペラー ダークレッド、バイオレット
下段左から→ボラーレ、アミーゴ、シンバ、スピリット
”マキシマシリーズ”は3種類あり、2002年2月2日にオランダ皇太子と結婚されたアルゼンチン出身のマキシマ妃から名づけられました。この日のオランダは祝福とオレンジ色に沸いたそうです。アンスは元々花保ちがいいですが、このMaximaシリーズは、さらに持ちがいいと言われています。
ちなみに平野社長・お母さんのとも子さんのおすすめは、「プレミア」。輸入にはない品種で、”関東東海花の展覧会”で過去に2回連続特別賞を受賞した自慢の逸品!
奥様の由美子さんのお気に入りは、「シンバ」。ちょうど平野家にお嫁に来る前に仕事をしに来ていた時(2002年)に導入し、同級生(笑)と呼んでいらっしゃいました。
大佐和花卉園の出荷は月・金です!
愛情を持って育てられたアンスリュームは早い者勝ち☆(文責 下坂 恵)