大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« vol.22岩手県八幡平市 安代りんどう | トップ | vol.24 JA山形おきたま »

2006年10月 3日

Vol.23 岐阜県 セントラルローズ

岐阜県といえば、長良川の鵜飼・・・
岐阜県といえば、超高級品の富有柿・・・
kaki.JPG
(既に特大の柿がたわわに実っていました!)

岐阜県といえば・・・
次が出てこなかったそこのあなた!
岐阜県といえば、花き業界で言わずと知れた大産地!
特に鉢物に関しては、全国の有名産地が多数存在する
日本の代表的な県なのです!!potplant.gif

    
周りは小鳥のさえずりと虫の声が響く田園地帯katatumuri.gif

denen.JPG

今回お邪魔したのは、岐阜市の西隣の本巣市にある
セントラルローズさんです。

centralrose_board.JPG

農場の総面積はなんと7,000坪mark_surprise.gif

従業員数35名、何を作っているかと言うと・・・
その名の通りバラbara.gifです。

しかもポットのミニバラ。

セントラルローズさんの何が素晴らしいかって、
私のようなぺーぺーレポーターに、
社長自らお時間を割いて御案内くださったこと・・・cry.gif<感謝、感激!>

セントラルローズ社長の大西隆氏です。camera.gif shacho.jpg


寛大な大西社長のこだわりは、農場全体のオートメーション化による

省力化&コスト削減!

そう、セントラルローズさんは生産の機械化をいち早く日本に導入した
リーディングカンパニー的存在なのです!

オランダから自ら導入した数々の機械により、
農場のオートメーション化が実現、ミニバラの大量生産に成功したのですhakushu.gif

まずポットに土を入れていくところから早速機械なんです!

・・・と言っても、本日は機械の休息日。

soiling.JPG soiling2.JPG


取材日には年末用のバラを作るために、いつもより少し大きめなポットに
手作業で土を入れていました。

はい、そこで問題です。
この土はどこの土だと思いますか?

? 太平洋の深海の土
? リトアニアの土
? 大西社長のお宅の庭の土

答えは?。リトアニアから輸入しているのです。
この土はピートモスといってミズゴケが腐植したものです。
毛足がしっかりしているため、水持ちがよく、鉢のミニバラには
最適なのです。

リトアニアってどこか分かりますか?
ヒント:バルト三国のうちのひとつですよ。

↓分からない方はこちらですかさずチェック!
map2.gif


ちなみにバルト三国はラトビア・リトアニア・エストニア。
相撲で有名な把留都(バルト、本名オットー・ガイド)力士はエストニア出身です。


そんな話は置いといて・・・

機械で土を入れるのは、直径10センチほどのポットです。
それから1つのポットにバラの苗木を4本挿します。
0shootplant.JPG 0shootplanting.JPG


その苗木はこんなに小さいのです↓!
0shootsize.JPG

ミニバラの苗木は、やっぱりミニだったclover.gif


4本の挿し木をしたそのポットにビニールシートをかけ、湿度を保ち発根を促します。
hakko.JPG vynlsheet2.JPG


2週間して出てきた可愛いらしい新芽たち・・・

2wkshoot.JPG


新芽が出てきたら、ビニールを取り2週間、こんなに青々と大きくなりました!
4wks.JPG


潅水は真夏など暑い日は30分に1回、タイマーでセットされていて、自動的に
霧状の水が噴射されるようになっています。
waterpipe.JPG


冬場などは、天候に応じて潅水しないときもあります。
この潅水マシン(←勝手に命名)は広いハウス内を巨大な電話線のようなロープで
ぐぃ?んと伸びていき、一面に噴水できるようになっています。
ちょうどいいタイミングで潅水マシンが始動!!
waterhose.JPG watering.JPG


セントラルローズさんのうら若き姫たちは、すくすくと育ち、
あっという間に青々とした葉を付けていきます。
inhouse2.JPG liningpots.JPG

ちなみにこちらは電照器具。
densho.JPG

冬場など、日照時間の短いときや、
曇天が続き日照不足を解消するときなどに使用します。


この生長のステージと共に苗をハウスからハウスへ移動します。
どのように移動するかというと、そこがまたセントラルローズさんの素晴らしい
ところで・・・「大西社長、秘密を公開してもよろしいでしょうか?」

「どうぞ」と言っていただいた気がしたので、公開致しましょう。

移動の秘密は“ムービング・ベンチ”です!
つまり動くベンチ。
ベンチとは、苗を入れている大きなトレーのことで、生長に合わせ
このトレーごとハウスからハウスへ移動させるのです。この作業の
省力化を実現したのがムービング・ベンチというオランダから導入した
システムです。農場内の導線に合わせてレールが敷かれていて、
トレーが簡単に移動できるようになっているのです。
「人が動くのではなく、物が動くシステムに改良しました」と大西社長。

movingbench1.JPG movingbench2.JPG


5週間くらいしたころに、このもじゃもじゃと伸びてきた葉を一度剪定します。
女の子の髪の毛と同じで、可愛くカットすることによって、見栄えも可愛く、
仕立てよくなるわけですねgirl.gif

でも、その道具はなんとバリカン!
↓こんな感じです。これもオートメーション化の一つです。
cutter.JPG バリカン後→aftercut1.JPG


バリカン後、いえいえ、美しくカッティングされた後、
挿し木からトータルで12週間で美しく成長しblooming2.gif
出荷準備体制が整います!
(い?な?。12週間で嫁入り準備完了か・・・うらやまち?!)
blooming.JPG

こちら↓が嫁入りの衣装を着せられている様子です。
これももちろん機械で!
airbrush.JPG auto_packing4.JPG


ベルトに載せられ、エアブラシでホコリなどを掃い、
カッターでシャキンシャキン!と足元が美しく見えるように
剪定し・・・この辺も嫁入り直前の女性と一緒ですね。
まるでブライダルエステのようだわ。やったことないけど。

auto_packing3.JPG auto_packing2.JPG auto_packing1.JPG


出荷を目前にするセントラルローズのお姫様たち・・・
ondaisha1.JPG rose_zoom2.JPG

「自分の娘達が誰に買われて、いま元気にしているのかなと
思うことがあるよ」と大西社長。


第1農場で作られるバラは全体の4割。
農場はここだけではなく、第2、第3、第4農場と続きます。

第4農場ではガーデンローズを栽培しています。
この見事な美しさ!
ここに近づくと、バラ独特の良い香りがします。
3rdfarm2.JPG


そして、ここでも徹底したオートメーション化!
↓ムービング・ベンチ登場!
movingbench_outside.JPG

この種々の咲き乱れるガーデンローズの中でも、
大西社長のお気に入りは、「ピンクノーム」
favouriterose.JPG


選択のキーワードは“CARE FREE”(ケア・フリー=手間要らず)
消費者のために手間が余りかからない品種を追い求め、
少しでもバラを普及させたいという思いからアメリカで出会ったのが
このピンクノームだったとか。

手間がかからない上に、小花がたくさん付いて可愛らしいところが
大西社長の心を掴んだようです。
また、ローズヒップ(バラの実)まで楽しめ、「ローズヒップで実を結ぶheart.gif」という
縁起物でもあるそうです。

更には薬を殆ど使わなくても、花も葉もたくさん付けてくれるので、
MPS(※)を推進する大西社長にとっては、本当に真価を認めるべき
品種だったというわけですね。
「これも花き業界全体を底上げするため」と。

花を愛する優しい大西社長に気に入られたピンクノームちゃんは
幸せ者よね?hearts.gif


3rdfarm3.JPG

※MPS:「花き産業総合認証プログラム」のこと。
詳しくはこちら→http://www.mps-jfma.net/

PAPASの白いシャツが良くお似合いの大西社長。

ミニバラを手掛けたきっかけは、オランダやフランスを視察したときに、
現地でミニバラを見て感動し、「日本でやろう!」と思ったことだそうです。

それ以来、先述に紹介したようなシステムを確立するのに10年かかったとのこと。

ご自身の商品のことを考えるだけでなく、
「業界の底上げなしに、消費拡大はありえない!」
と視野を広くお持ちになり、業界全体のことを常に考えていらっしゃる方です。

ピンクノームちゃんがお気に入りでいらっしゃることが分かる通り、
大西社長は、
「消費者のニーズに合わせて生産したい!
自動車に1,000ccから4,000ccクラスがあるように、バラも多種多様のものを
試行錯誤しながら作っていきたい!」
と熱い思いを語ってくださいました。

また、「バラは石油製品。この原油高の時代に石油製品を生産し続ける
ことは至難の業です。このまま自然の流れに逆らったことをやっていては、
いつか行き詰まってしまう」と、現在の問題点も認識されていました。

大西社長は業界全体のことを考えていらっしゃるだけに、
ミニバラだけでなく、切花も含めて様々なアイテムの仕掛け人に
なっていらっしゃるんですよ!

ご趣味は旅行やトレッキングだそうですが
最近は国内外と問わず続く出張、airplane.gifや日々の業務で
なかなか趣味に費やす時間が取れないとか。

ご家族はなんと4世代に亘って同居されているそうです。
大西社長のお父様から、ご子息、またそのそのご子息までの4世代!mark_surprise.gif

お孫さんのお話をされていたときの大西社長の優しいお顔が
なんとも印象的でした!

?そんな大西社長から、消費者の皆さんへメッセージ?
花をもっと楽しんで、素晴らしさを再認識してほしいですね。
食べ物はお腹がいっぱいになると食べられなくなってしまいますが、
花はいくら楽しんでも限りはないでしょ。

心の胃袋はいくら食べても壊れないんですよ。
心を花で満たして欲しい。
“花ってすごくいいよ”って分かって欲しいですね。


?花き業界の皆さんへメッセージ?
ガーデニングブームで客寄せに使った商材を、
楽しみ方のアドバイスもせぬまま量販してしまったために、
今そのツケが回ってきています。

花の使い方や楽しみ方を消費者に理解してもらっていないこと
も、消費が離れていってしまった理由の一つでしょう。
園芸では今後何年かかってこの消費を取り戻せるか、
努力のしどころです。

centralrose_2shot.JPG

↑大西社長とご長男の裕(ゆたか)さん(取締役)。
裕さん曰く、「末端のお客様との接点がないことが問題。
一番大切なのは消費者だから、もっと消費者と接点を持って
やっていきたい」と。

なんとご次男はデンマークで修行中とのこと。
今年、4年間の留学を終えて帰国されるので、
ご家族も心待ちにしていらっしゃるご様子でした。

セントラルローズさんは頼もしいお2人の後継者を持つ
今後の発展が非常に楽しみなバラ農場なのでしたkirakira.gif

kakugen.gifセントラルローズ・大西社長の格言!pumch.gif

・消費者を第一に考えたケア・フリー品種を世に送り込むべしexclamtion.gif

・消費者のニーズに合わせ、多種多様の品種を栽培すべしexclamtion.gif

・業界の底上げなしに、消費拡大はありえない!視野を広く持って業界のことを考えるべしexclamtion.gif


セントラルローズさんのホームページはこちら
http://www.centralrose.co.jp/index.html

<文責:Kathykate.gif


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●おまけ●

岐阜は鉢物の大産地なだけに、大きな生産者組合があります。

“岐阜花き流通センター”という組合で、岐阜で作られた鉢物の
流通拠点になっています。組合員数は約160名。

岐阜各地で作られた鉢物が一度ここに集められ、北は北海道から
南は鹿児島まで全国に発送されていく、いわば集出荷所なのです。
gifucentre_trucks.JPG


中は広々、各地へ発送される荷物が準備されています。
台車は市場ごとに分かれていて、台車に取り付けられた黒板にチョークで市場名が
記載されています。
gifucenter_inside3.JPG gifucenter_inside2.JPG

ならば大田花き行きもあるはずでは?

あった・・・(*^-^*)
ota_iki.JPG


レポーターのささやかな喜びでしたkirakira.gif

大西社長もかつては6年間この組合の代表理事組合長をお務めだったご経験があります。
主に若い世代に支えられているので、50歳を迎えられたときに自ら退任されたそうです。
その当時は組合員も180名を越える最盛期!大西社長、お疲れ様でございました。

この岐阜花き流通センターを経由して、大田花きに届いたセントラルローズのお姫様たちは
こちら↓ 
koko.JPG ondaisha2.JPG

きれいなエメラルドグリーンのラッピングペーパー(嫁入り衣装)が目立つので、
広い市場の中でもどこにあるかすぐ分かります。

「自分の娘達がどこに嫁いでいるのか分からない・・・」とおっしゃっていた大西社長ですが、
この日は新宿や品川、杉並を始めとする首都圏の有名な花屋さんに買われていかれましたよ♪
皆さんも、花屋さんでこのマーク↓を見かけたら、岐阜のセントラルローズさんで
大切に育てられたミニバラなのね( ^ー゜)bと思い出してくださいませ。
logo.JPG

・・・おまけが長かったけど、おわり・・・


写真・文責:ikuko naito@R&D

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.