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2006年12月14日
vol.31 佐賀県 ファインローズ
(佐賀県 太良町)
薔薇の品質、ボリュームにおいてトップ産地のファインローズさんを訪ねました!
佐賀県というと…
コメディアンのはなわの「佐賀県」という歌のヒットで有名になりましたよね。
田んぼしかないとか、牛丼屋がやっとできたと思ったら「吉田屋」だったとか、バス停の名前が「○○さん家前」だとか…田舎っぽさをチャカしている歌詞!
この歌に佐賀県民はさぞ憤慨しているかと思いきや、「全くだ」と納得してしまったり、「これで佐賀県が有名になる」と手を叩く人もいたとか!?
そんな佐賀県の場所はこちらです!↓
佐賀県の中でもファインローズがある太良町は西南端に位置しており、有明海と長崎県に接しています。
こちらは海苔の養殖風景です。
でも、太良町の秋から冬にかけての風物詩といったら、『カキ』!
なんと国道207号線沿いではカキを焼きながら食べられる“カキ焼き小屋”と呼ばれる海の家のような店を何軒も見ることができました。この通りは、通称“カキ焼き街道”と呼ばれているそうです!
次回、訪問の際には食べたいなぁ?!と横目に見つつ、早速レポートです!
JA佐賀みどり・ファインローズは4人の生産者グループ!
この箱が目印です→→→
では、お一人ずつご紹介していきましょう。
?原 高繁さん?
まずはイチゴ栽培から転身、薔薇作りを始めて15年の原さんを訪ねました。沢山の品種がありますが、お薦め品種を聞いてみると…
↑ポニーテール SPでボリューム抜群!
↑マニエル 本来STですが、SP仕立てにして出荷しています!
しかも大輪が5輪も付くのです!!!
←アニシススノー
「白のクォーターロゼット咲きはあまりない!
しかもミルラの香りもある!絶対ヒットするぞ!」と原さん。
でも、まだ試作段階の為すぐに入手することは困難です。
今後に乞ご期待!
どうやらお話を伺っていると、原さんが目指すパーフェクトローズは、
“白の大輪+花弁が強く+クォーターロゼッタ咲き+なお且つ香りがある”
こんな品種でしょうか?
誰もが聞きたい“栽培するにあたってのポイント”について伺うと…
「株作りに時間をかけてます」とおっしゃる原さん。
本数を切ろうと思ったら温度上げて成長を早めますが、温度上げないでゆっくり育てる!
さらに、換気を充分に行う!
これがポイントのようです。
「あとは基本どおりにやってるだけです。」と、とっても謙遜。
それにしてもハウスは何棟もあります。全部に目を行き届かせるのは大変そうです。
そこで、原園芸さんではハウスごとに担当者が決まっているのだとか。
「ハウスに入ると、その人の性格が分かるんです。」とおっしゃる松山さんは以前お花屋さんに勤めていらっしゃいました。
今は原園芸の育種担当!
ココからフローリストのセンスで作られた新たな品種が誕生するかもしれません。
原さんは香りのある品種にも注目していますが…
「よく社長(原さん)がコレいいでしょ!って持ってくる薔薇の香りは甘すぎてダメ!(どちらかと言うと男性が好む)ミルラの香りがわたし大好きなんです!」
女性らしい雰囲気でありながら、男性的なさばさばした性格の松山さんでした。
原園芸さんからお花屋さんへのメッセージ
生産の側からしたら経費も上がり、自分達の思うような値段で売れなくなっているのが実状。
だから、高く買ってください!
(悩みながら)でも、一番に消費者に喜んでもらわないといけんし…
と優しい佐賀弁でおっしゃっていました。
左から原 高繁さん、娘さんの奈津子さん、松山さん
生産者にとっても厳しい時代!でもファインローズさんの薔薇を見たら いい値段でも納得できるはずです!!
?田中 夏雄さん?
続いて、原さんが「熱心な方だよ。」とおっしゃっていた田中さんのハウスへ。
今秋からお目見えしたJローズの新品種も作っています。
香りも豊かで、早くも人気の2品種!
J?ヒーリング
イングリッシュローズのような花型がかわいらしい♪
香りは『T2(ティー/強度2)』です!
J?オードパルファム
その名の通りの芳醇な香り!箱を開けた途端に香ります!
なんと、『DM3(ダマスク・モダン/強度3』と最高レベルの強さ!!!
ところで、「どうしたらそんなボリュームに仕立てられるのですか?」
この質問は、他の生産者からもよくされるそうです。
でも、「わからないんだよねぇ…。」と首をかしげる田中さん。
そして、「出来るだけ倒すようにしてるかな。それで出せるのだけ出荷してる。」との事。
すると、同行していただいた原園芸の松山さんが株を見て
「スゴーイ!」と拍手をされました。
えっ、何がスゴイんですか?
「倒す方向も正解だし…切り方もきれいだし…とにかく株がキレイ!」と言うのです。
倒す方向が違ってしまうと、株の中心部からでなく倒した茎の途中から芽が立ち上がってしまう為、しっかりした物ができにくいのだとか。
だから、このような締まった株は=いい株なのです。
同じ作り手の目線で見ると綺麗に、そして基本に忠実に作っている事が分かるんですね。
そして、田中さんのところでは、列ごとの担当制になっていました。
隣の列の人と比較できるのがいい!とか、
芽かきが遅れていたら分かるし、隣の列が綺麗だとプレッシャーになる!という利点があるようです。
さらに、採花は別の担当者が行うのだとか。
だから、「次に携わる人が楽なように管理する事を心がけて!」と田中さんは指導されているそうです。
担当は、こうして名札を付けて分かるようになっていました。
あっ、私と同じ名前を発見!陰ながら応援してます
田中さんからお花屋さんへのメッセージ
同じ花に携わる者として感動を与えられるように切磋琢磨していきたい!
自分たちはこれがいいと思っても、よくない場合もあるし…
だから、意思疎通ができるようにやりましょう!
とても沢山の品種を作っているので、見ていたら次第に時間がなくなってきてしまいました。
急がなくちゃ
?竹岸 康孝さん?
竹岸さんもJ?ローズの新品種を作っています!
⇒
J?ミルキーウェイ
蕾の状態からこんなに変化するんです。
ゆっくり開くタイプで、花持ちが良いのが魅力!
ミルキーウェイとは、“天の川”の意。近所の中学2年生の女の子が名付け親だそうです。
そして、ベストセラーとなっている、J?カンタービレも
山口さんが作っています。→→→
鮮やかなオレンジの発色と、フリルのような花びらが特徴です!
その他には…
マリアブレス ブルードリーム
竹岸さんからお花屋さんへのメッセージ
あんまり品種に拘らず、ベーシックなものを揃えてます。
ぜひ、使ってください!
?山口 広志さん?
やっぱり、ハウスは綺麗です!
山口さんのいちおし品種は…
ジュンカップ トワリモーネカップ スイートラブ
この他、残念ながら画像はありませんが、山口さんが作っている品種ではブルゴーニュが人気!!
純白のキレイな卵型で、感動ものです!
一見の価値あり
山口さんからお花屋さんへのメッセージ
買ってもらえるだけでありがたいです。
継続出荷をして、迷惑かけないよう、という気持ちで作ってます!
またまた謙虚な山口さんでした。
新品種の導入にも積極的なファインローズの薔薇から目が離せませんよ♪
薔薇をこよなく愛するS氏からのメッセージ
大田花き 販売担当のSさんからのコメントです。
ファインローズさんは、従来STの品種をあえてSP仕立てにしているものが多く、抜群のボリュームを誇っています。その為、1ケースに15本?20本しか入らないのです。
その分、時間と手間隙がかけられているという事を知っていただきたい!
そのボリュームは、箱を開けたら飛び出てきて、再びキレイに閉めようとしても不可能な程!
言ってみれば、薔薇のビックリ箱です
ファインローズの格言
・株作りに時間をかけてます!
・栽培の秘訣は、あくまで基本に忠実に!
・4人の職人が作り出すボリューム抜群の薔薇を使ってみるべし!
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J?ROSE(ジャパンオリジナルローズ)については
こちら→http://www.otakaki.co.jp/profile/company/jrose.html
弊社、ショーケースでご紹介しました。
→http://www.otakaki.co.jp/1027.html
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?おまけ?
今回、特別参加の蓬田先生も薔薇の香りに夢中です!
(商品開発室が調査・研究している香りの提案において、香り技術顧問としてご協力をいただいております。)http://www.otakaki.co.jp/development/fragrance/message.html
ますます注目度の高まる香りの薔薇を楽しんでください。
2006年12月 5日
vol.30 江戸川区 切花ポインセチア
前回は鉢物のポインセチアをご紹介しましたが、今回はまだ市場にごくわずかしか出回っていない“国産切花のポインセチア”をご紹介します。
?都心のフレッシュフラワー!?
(東京都江戸川区 川手農園)なんと東京都江戸川区に立地!!
マンションや一戸建てが並ぶ住宅地の中に、ハウスはありました。
川手農園さんでは、元々ポインセチアの鉢物栽培をされています。
今まさに出荷最盛期!
余計な葉を落としたり、輸送中に苞が痛まないようビニールを被せたり、出荷準備に大忙しでした。
アーリーミレニアム バーガンディー マース
今年は例年に比べ、ポインセチアの出始め時期が早いように感じている方も多いはず。
その要因は3つある!と教えてくださいました。
?曇天…8?9月は曇りの日が多く日照時間が短かった為、自然のシェードで色付きが早まった。
?低温…寒いからと、わい化剤(*)を薄めて使用する生産者が多く、成長が早まった。
?原油高…コストの問題で暖房を炊かずに作ろうとする生産者が多く、早生品種に集中した。
こうした結果、出荷時期が早まったのです。
しかし、残念ながら暖冬だった為にクリスマス気分にならず…、買い気が鈍かったのですが、
やっと冬らしい気候になりました!!!
「寒いと赤いものほしくなる!」という法則通り、みんな赤いポインセチアが欲しくな?る」
*わい化剤:植物の伸びを抑える薬剤のことで、鉢物栽培において広く使用されています。
節間の伸びが抑えられ、葉や花が密集して付くことになるので、ボリューム感がでるのです。
そんな川手農園さんでは、昨年から切花用としての栽培も始めています。
←こちらの品種は、主力の『ジェスターレッド』。
品種特許があり、切花用として栽培することが許されているのは川手農園さんと、ご近所で栽培されている中ノ園さんの2件のみ!
ピンと上を向いた花形…ではなく、苞の形が特徴的です!
「うちのは葉がしっかりしてるよ!触っただけで分かるでしょ!」
と川手さんに言われ、触れてみると…ホントに葉も苞も肉厚でした。
その秘密を聞いてみると、
「寒いと葉が厚くなるんだよ。ハウス中でも外気温とたいして変わらないでしょ。」
そう言われると、ハウスの中にいるポカポカ感がありません。
さらに、「日中はハウスを開けて外気を取り入れているの。だから丈夫で、強いんだよ!」と教えてくださいました。
つまり、ストレスになるような温度差がないのがポイント!
でも、茎は繊細。水遣りでちょっと引っかかっただけでも折れてしまうこともあるとか。
手間暇かけて、大事に育てられているのです。
↑川手さん親子。
切花用として丈を伸ばすには?
鉢同士の間隔をくっつけて、上へ上へと伸びようとする植物の性質を利用しているのだとか。
苞や茎の切り口からは白い液が出てきます。
これが固まると水揚げが悪くなりますので、水揚げの際は ぬるま湯で洗い流してくださいね。
ジェスターレッドの他にも…
ジェスターホワイト ・ ジェスターピンク ・ ジェスターマーブル ・ ジングルベル
カラーバリエーションも豊富です!
「消費地にあるから、『明日ほしい!』という急な注文にも
対応できるのが強み!」と語るばっちりカメラ目線
の川手さんでした。
なんだか取材慣れしているような…。
柔らかい印象ながら、商売上手なおじさまです!
12月上旬?1万本以上の出荷を見込んでいます。
クリスマスを演出するブーケにぜひ加えてみてください!
江戸川区のホームページでも紹介されています。→http://www.city.edogawa.tokyo.jp/wadai/h18/poinsettia.html
川手農園さんの格言
・都市近郊型産地だから、フレッシュな状態でお届けできる!
・今年はブーケにもポインセチアを使って、クリスマス気分を演出しよう!
2006年12月 2日
vol.29 千葉県 鉢物産地編 パート?
千葉県旭市の鉢物産地 第2弾!
やっと冬らしい気候になってきました。
「寒くなると赤が売れる!」と言われますが、ポインセチアの季節です。
今回は、シクラメンとポインセチアを中心に栽培しているLOOP1産地を2件ご紹介します。
?感動的に長持ちするシクラメンを!?
(田村園芸)
まずハウスに入ると、色分けされ、ピシッとまっすぐ並べられた鉢に驚かされます。
几帳面な性格に違いないと思われる田村 博さんがこちら→
そして、いただいた名刺に書かれた似顔絵そっくりで、またビックリ!
↓こちらがその似顔絵。分かりますか?ソックリでしょ!
そんな田村さんのコダワリは…
【コダワリ?】田村流・葉組み
田村さんも葉組みにひと手間かけて、きれいに変身させる魔法の手をもっていました。
そのポイントは…
鉢から10cm!理想型となる目安の高さを決めたら、もうこれ以上伸びない古い葉にまだ伸びるような葉や、丈が長い葉を絡めて、なるべく平らにみえるようにする!そうすることで、揃って見えるのです。
名付けて“ガンコ作り”!!
買った人が長くキレイな状態を楽しめるように考慮されているのです。
【コダワリ?】土
この辺の山土、赤土を取ってきて使用しています!
【コダワリ?】肥料
買った人が、最低1ヶ月は水さえあげていればいいように肥料を乗せています!
【コダワリ?】水
ラベルにも記されている『PWSパイウォーターシステム』
つまり、イオン水を使っています!
そうして完成したシクラメンがこちら→
花の根元が平らに揃って美しい!
尚且つ、末端のお客さんの事まで考慮されているので花持ちが抜群にいいと、お花屋さんの間でも人気の商品なのです!
こうしたコダワリを継承するご子息の静さん→
栽培を始めて4年目になるそうです。
これからも期待してますよ♪
田村さんの格言
・花持ち抜群!感動的に長持ちするシクラメンをお試しあれ!
?グズマニアでは国内屈指の生産者です!?
(旭園芸)
続いて、旭園芸さんをたずねました。
まずは、旬のポインセチアをご紹介!
⇒
今年 爆発的にヒットしている『アイスパンチ』は、こうして、だんだん白くなるのです。
この他の栽培品種には…
レモンスノー ウィンターローズ マーブル ピカソ …etc
栽培はプールのような場所に水を張って、その上に鉢を置いています。
ここで、
ポインセチアの豆知識
すっかりクリスマスのシンボルとなっているポインセチアですが、元々キリスト教が西半球に伝わる前からメキシコのアズテク族によって栽培されていたようです。
切り口から出てくる乳液からは、熱を下げる薬効のある調剤が作られていました。
17世紀には、フランシスコ修道会の僧侶によって、その色と咲く時期から、お祭りや誕生祭の行列に使われるようになったといいます。
そして、アメリカの駐メキシコ大使のポインセット氏がメキシコで発見し、紹介して広まったことから 「ポインセチア」になったと伝えられています。
花言葉は★『聖なる願い』★
↓林さんご夫妻。
さて、24歳で観葉植物の栽培に携わり、30歳でグズマニアを作りを始めて15年になる林さん。
観葉を始めた切っ掛けは、「マスクメロンが売れなくなって、面白そうだなと思って…」との事。
さらに、「今考えると人生のターニングポイントだったんだけど、成功するか分からなかったよね。しがみ付いてココまで来たよ!」とご苦労を思い返されていました。
でも、「野菜はいかに数量と時期を合わせるかだけだけど、植物は鉢のサイズ、スタイルをどう仕立てようか?などと考える要素が多いから楽しい!」と充実した様子で語ってくださいました。
そして、ポインセチアを作り初めて6?7年。
でも よく考えると、グズマニアもポインセチアもガクが色づく植物ですよね。
ガクが色づく植物が好きなんですか?
「花と分からないから、持ちもよく見えるしね。」と。
そんなグズマニアのハウスも見せていただきました。
と、そこでハウスの天井まで届きそうなほど成長したヤシの木発見!
そして、「おいしそうな青パパイヤ!!!」
「えっ?青いままでも食べれるの?食べれるんなら取っていいよ!」という林さんの言葉に飛びついた少年のような表情を見せる桐生隊員。
確かに青パパイヤは、沖縄では炒め料理として、またベトナムではサラダとして食べられています。
私も青パパイヤのサラダは大好きですが……。
さてさて、本題の取材に戻って、グズマニアです!
「今は時期じゃないから、あんまりいいのないよ。」とは言うものの、鮮やかな色合いが美しい!!!
出荷するまでにナント2年もかかるのです!
こちらも出荷時期に期待です。
「1日100m四方のこのハウスを行ったり来たりして1万歩じゃきかないよ。だから靴底の減りが早いんだよ!」
「労働時間多いけど、植物を栽培することは職業としては自分の奨に一番合っている!」
さらに、「今までは与えられたものをいかによく作るかだったけど、今はオリジナルを作る事が夢!」と
気負わずに楽しみながらも、大きな野望を抱く林さんでした。
旭園芸 林さんの格言
・花屋さんの利益が生産者の利益!