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2007年2月28日

vol.34 千葉県 湯浅花園(前編)

今回は珍しいユリばかりを出荷されている湯浅花園さんを訪れました。

?品種選びはインスピレーション!??

湯浅さんといえば、『珍しくて、変わったユリを作る産地』というイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、いきなりですが湯浅さん自慢の商品ラインナップをほんの一部ですがご紹介します。
gwine.jpg capuchi.jpg orina.jpg
   グルーワイン(OH)        カプチーノ(AH)          オリーナ(AH)
orart.jpg centerf.JPG dcom.jpg
   オレンジアート(AH)     センターフォールド(AH)      ドットコム(AH)


どうですか?
アジアンティックでも、一般的なオレンジや黄色ではなく、濃い赤や白、複色など珍しい品種ばかりですよね!
そんな品種選定には、どんな意図があるのでしょうか?
さっそく伺ってみました。

CIMG3657.JPG

「種苗会社が勧める新しい品種画像の中からピンとくるものを導入しています
例えば、ランディーニなんて最初に『わっ、スゴイ!いいな!』って言ったのは僕なんですよ。」
「写真見てコレ売れる!と思うけど球根が高いからみんな手を出さない、でも僕は手を出すから種苗会社も新しい品種を毎回いち早く紹介してくれるわけですよ。」

個性的な黒いユリ「ランディーニ」も、湯浅さんの心にピーンと響いたわけですね。
randhini.jpg


「みんな綺麗な花だったら、何のインパクトもないから『普通だね』で終わってしまいますけど、
そこへポコっと汚らしい色を置くと浮くんですよね、それをイメージしたんです。
だから10本の中に、ランディーニみたいのが1本あるとインパクトが出るわけですよ。」


アジアンティックユリの魅力については…
「オリエンタルは作る人が沢山いるけど、アジアンティックやLAは作る人が少ないですよね。
オリエンタルと比べたら豪華さには欠けるけど、インパクトのあるものや、色幅はあるでしょ。
そこが求められているところであり、魅力だと思います。」


また、なんと『ルレーブ』、『スターガザール』といった今では定番のオリエンタルユリも、日本で一番初めに購入したのは湯浅さんなのです!
「昔のスターガザールはもっとドキュンとくるような赤だったんですよ、交配していくうちに元に
戻っちゃたんですね。
当時 球根が1球500円もして、種苗会社の人が日本全国売り歩いたけど売れなくて、結局うちへ戻ってきちゃったんですよ。
そして、『売れないよ!』なんていって市場に出荷したら、1本 1800円で売れちゃったんだよね。」
と当時を思い出しながらニコニコしながらお話してくださいました。

さらに、「今、皆さんが沢山作っているもので私が初めに手をつけたものも多いんですよ。
サンダーソニア、ソリダスター、デルフィニウム、ギガンジュームもウチが最初です!
で、皆さんが作り始めたからとズバッと辞めちゃったんですよ。」

変わった品種、それもインスピレーションで売れると思う品種ををいち早く導入し、出回ってきたらスパッと手を引く!コレが湯浅流のようです。



?“ユリの湯浅”誕生秘話!?


でも、なぜユリ栽培を始められたのですか?

「そもそもうちは梨、田んぼ、野菜農家だったんです。でも、親がお前の人生なんだから好きな事をやれ、と言ったんです。
逆にそう言われると親が可愛そうになってきちゃって継がなきゃいけないな、と思って…。
で、どうせ作るんなら、もともと好きだった花がいいな!と思ったんです。」

ココからが湯浅さんのスゴイところ!!
CIMG3655.JPG
当時 高校生だった湯浅さんは、何の花を作ったらいいか(?_?)と思い、まず初めにした事が
新聞で花の市況を日々チェックすることでした。
そうしたところ、ユリの価格が一番安定している事を知ったのです。
でも、まだ高校生。その時、“球根代が高い”とか、“温室の資本がかかる”等の諸事情は一切分かるはずもなく…(^。 ^;)


ただ『庭に咲いてるユリも綺麗!コレだ!』と湯浅青年はひらめいたのです。

そこで 高校の先生に相談した結果、日本のユリ、チューリップの先駆者でいらっしゃる鴨下先生のところへ住み込みで栽培技術を習いに行くのが近道だと教えられました。
そして、黒ユリ、竹島ユリと出会うことになるのです。
「皆さんが手に入らないようなものを作って、今やっているわけですが、変わったものを作りたがるという血は師匠から受け継いでいるのでしょうね。」とおっしゃる湯浅さんでした。


?作業効率も重視しています!?


ハウスを見せていただいていると…足元にコロコロと球根が転がっています。
どうしてか訊ねてみると…

CIMG3648.JPG

「あっ、コレ?うちのやり方で、出荷作業って腰が痛くなるでしょ、だから抜いてから切るんです。それに、後で球根を掘りおこす手間も省けますから。」


なるほど!!!
腰痛くない + 花切るの早い + 掃除が楽 と良い事づくしなわけですね。
これを見て真似をする生産者もいるというのも納得です。

そして、ハウスの中では、現在出荷中の品種を見ることができました。
もちろん蕾ですけど…。

CIMG3645.JPG ⇒ CIMG3694.JPG

ゲリットザルム(LA)…グリーンから開花し、クリーム色へ変化します。
               ちなみに、グリーンのLAとして扱われているところが多いです。


CIMG3646.JPG ⇒ stcl.jpg

ストロベリー&クリーム(AH)…開花状態を知る人が少ない為、評価がされにくい品種ですが、
                    特徴的な色と可愛らしい名前が魅力です。


CIMG3647.JPG ⇒ P&D.jpg
パーティーダイヤモンド(LA)…近年、増加するLAで唯一淡いピンク色の
                   代表作として今後に期待される品種です。

独特な色目のユリが目立ちますが、こんな可愛らしい雰囲気の品種も作っています。

ユリは咲いた状態を見ることができないのが残念(-o-;)と思っていたら、
「7月に来ればカサブランカが露地で咲いているよ!」と湯浅さん。
そのわけは後編で。
さらに、都市近郊産地としての魅力に迫ります。

?後編へ続く?


前編・湯浅花園さんの格言



・変わった品種をいち早く導入しています!

・品種選びはインパクトと、インスピレーション!

 ブーケに1本入っただけでもグッと目を引くものになる品種です!


(文責 中川美紀)

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