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2007年4月30日
vol.38 福岡県 JA糸島
今回 訪れたのは福岡県の糸島地区。
この周辺は『魏志倭人伝』に記される古代国家『伊都国(いとこく)』が栄えた地と伝えられています。
つまり、『いと』という響きから時代によって少しずつ文字を変えながら、現代の『糸島』へと伝わってきたというわけです。
また、諸説ありますが、女王 卑弥呼の国とも言われています。
いずれにせよ、歴史の重みが感じられる地域。
その伊都国より出土された勾玉と銅鏡がデザインされたマークがJA糸島の目印となっています!
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生産物は、背振山の麓では露地菊や千両の栽培が、そして平野から沿岸沿いでは草花・洋ラン・バラ栽培などが盛んに行われています。
そして、こちらのお二人がJA糸島の生産者をとりまとめるドン二人(?)、JA糸島花卉販売委員会の委員長 吉村さん(左)と副委員長 高宮さん(右)。
「現場の声をよ?く聞いとってください!」と生産者のハウスを案内してくださいました。
早速、“花伝説・糸島”の花職人達をご紹介しましょう!
?富永 達章さん?
8名いるブバリア生産者のうちの一人で、海にほど近い場所で栽培している富永さんです。
栽培する上でのご苦労を聞いてみると、
「芽かきや連作障害による欠株が出やすかったり、大変なことばっかりですよ!」と富永さん。
「特に、ブバリアは天候に大きく左右されるんです。」
「日照がないとダメだけど、夏場の暑さではクシャっとなる。だから毎日、日中は1列ずつシェードをかぶせて、夕方 はぐる(めくる)作業も必要あるから、出掛けることもできんわけですよ。夜、飲みに出歩いてるようではダメなわけです(!?)」
と花作りに懸ける禁欲生活(!?)、ではなくご苦労を語ってくださいました。
ロイヤルダフネレッド ロイヤルダフネピンク ロイヤルユリヤ(NEW)
新しい品種の『ユリヤ』は、咲くと薄いピンクの可愛い花で、使いやすい色目です。
「この他にも、『ナオミ』っていうスナックの名前(?)の品種も出てきます。」と富永さん。
こちらも乞うご期待!!
富永さんからお花屋さんへのメッセージ
単色ではなく、白、ピンク、赤、グリーンと色バランスよく出荷しています。
添え花だけど、丹精込めて作っているので10円でも高く買ってもらえると嬉しいです!
?平野 正文さん?
9名のトルコキキョウ生産者のうちの一人 平野さんです。
「トルコは日照時間が生育に大きく影響します。
九州はあったかいイメージですが、この辺の北部九州は、冬場 日照が悪く、1ヶ月に2、3日しか晴天がない時もあるんですよ!」と予想もしない天候によるご苦労を語ってくださいました。
日照不足は苗枯れや、死花が増える原因となり、トルコキキョウにとっては まさに死活問題です。
主力品種は、“まほろばシリーズ”、“リネーションシリーズ”、“春うらら”など。
4月中?下旬に出荷開始です。
平野さんからお花屋さんへのメッセージ
今後の出荷に期待してください!
さらに、来年は3月下旬からの出荷に挑戦します!
(3月に出荷するには、例年より1ヶ月早い9月に定植する必要があるのですが、9月の福岡はまだ暖かい為、難しいのです。)
?一ノ宮 浩さん?
15名いらっしゃるミヤコワスレの生産者の中でも異色の存在の一ノ宮さん。
何故かというと…田舎暮らしに憧れて2年前に糸島の地へ移住していらしたのです!
しかしながら、風邪をひかれていてお会いできず(-.-;)残念!
そんなわけで、圃場主不在ではありましたが、ハウスの中を見せていただき、以前ミヤコワスレを栽培していたことのある委員長の吉村さんに説明していただきました。
「今年は暖冬で温度が下がりきらなかったから色が薄いなぁ」と吉村さん。
ミヤコワスレの生育には寒さも必要なのです。
「でも、暑さにも弱いんです。
夏場は1000m近く標高の山の上や、高冷地で水はけのよい場所へ持ってかなきゃいけないから、苗を残す為に大変苦労しているんですよ。」
まさに今 危機状態なミヤコワスレ!
さらに、「栽培にもかなり技術がいるとですよ!しっかりした苗が残り、彼のような若い後継者ができればよかばってん、苗も分けるほどないのが現状やけん…。」と寂しくなるお話も。
それでも糸島の生産者はガンバッテます!
「普通はピンチかけて栽花本数取ってるけど、糸島は1株1本で勝負してますから!」と最後に力強くおっしゃいました。
ミヤコワスレの作り手からお花屋さんへのメッセージ
茶花感覚で使われるので、使われる量が減るのが心配です。
でも、1ヶ月は花持ちしますし、糸島のミヤコワスレはスゴイです!
?吉村 義隆さん?
個撰出荷をされていて、多くの品目を栽培されている吉村さん。
たくさんの品種を抱えお忙しい上に、訪問したのはちょうど出荷日。スミマセンm(_ _ )m
私達が到着するなり、「じゃ、行くよ!」と走り出す吉村さんを追いかけてハウスを見せていただきました。
年間20種類もの品目を出荷されています。
今時期、出荷されているのは…
カレンジュラ ダイアンサス ソネット ワイルドオーツ ヘリクリサムシルバー
ヘリクリサムライム チョコレートコスモス ベルベロン ストロベリーキャンドル
そして、この巨大スカビオサには驚かされました
同行した販売促進アドバイザーの鈴木千春さんも長身ですが、さらに長身のスカビオサ。
農場整備によって、下に溜まっていた肥料分が混ざり合って、良い土壌になったようです。
そして…
コレ何だか分かりますか?
答えは『アスパラガスの根っこ』でした。
あまりお目にかかれるものではありませんよね。
野菜のアスパラガスと同じ仲間なんですが、観賞用で残念ながら食べられません。
属名のアスパラガスは、「とげのある」という意味のギリシャ語に由来し、一部の種類がとげをもっていることから名付けられましたようです。
ちなみに、主な品種のプルモーサスは、「羽毛状の」という意味なんですよ!
吉村さんからお花屋さんへのメッセージ
共撰出荷だと出荷できる品種も狭まってくるとですが、消費者の要望に応えられるように個撰出荷で幅広く栽培しています。
花屋さんはじゃんじゃん売ってください!!
?藤川卓雄さん?
ちょっとピークは過ぎてしまいましたが、エビデンドラムのハウスも見せていただきました。
「苗作るまで2年、生産まで2年もの期間を経てやっと出荷できるんですよ。」と藤川さん。
そうしたご苦労があってこそ、可愛い花が咲くわけです。
藤川さんからお花屋さんへのメッセージ
年末から正月にかけてが出荷のピークです。
来年に期待してください。
?吉村 和実さん?
最後に訪問したのは、JA糸島花卉販売委員会 委員長の吉村さんのカンパニュラのハウスです。
カンパニュラ部会では 12月?5月にかけて電照や温度管理によって、出荷量に波ができないように生産者同士で調節しています。この調整が、長期にわたる安定出荷を可能にしているのです。
と、そこへ奥様が通りかかり
高宮さん:「父ちゃんの花は生き生きしとるなぁ!」
奥様:「そやろ!!(^。^)/」 なんて微笑ましい会話も。
さてさて、品種は『チャンピオンピンク』、『チャンピオンパープル』、『チャンピオンホワイト』が中心。
さらに、「今期はお客様の要望に応え、現状の半分ほどの大きさの小輪タイプを新たに加えたんです!」と吉村さん。
残念ながら写真はありませんが、ピンク、ライトピンク、パープルで、アレンジに使いやすいカンパニュラをぜひお試しください!
吉村さんからお花屋さんへのメッセージ
お花屋さんの声に応えられるように頑張って栽培してます!
今日一日お付き合いいただいた皆さんでパチリ!
とにかく厳しい状況の中でも、明るく、意欲的に生産に取り組むステキな糸島の皆さんでした!
(左から) JA糸島花卉販売委員会 副委員長 高宮さん、JAふくれん 猪名富さん、農協の中牟田さん、同じく 森本さん、花卉販売委員会 委員長 吉村さん
幅広い商品群でお花屋さんや消費者の期待に応えるJA糸島!
さらに、使い手の心をキャッチしようと新品種や、新しい品目の導入にも積極的な糸島から目が離せません!
JA糸島の格言
・60%共撰出荷でいい品物を、長期間、安定数量お届けします!
・40%個撰出荷で小回りをきかせ、細かなご要望にも対応します!
・ふくれん、農協、生産者で三位一体となって取り組んでいます!