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2007年5月14日
vol.39 福岡県 JAふくおか八女
福岡県 全農ふくれん第2弾!
今回は八女にスポットを当てます。
八女というと皆さんは何を思い浮かべますか?
私の頭に真っ先に浮かぶのは、「八女茶!」だったのですが、
ハウスへ向かう道すがら見た風景はお茶畑のみならず、果樹園もたくさん!
そう、JAふくおか八女は特産品の豊富さと、その生産高で県下はもちろんのこと、
全国でも最大規模を誇る大産地なのです。
中でも販売高NO.1はイチゴ!“博多あまおう”は有名ですよね。
そしてNO.2が八女茶!
NO.3が菊!
それからブドウ、ミカンと続きます。
では、ここで一曲ご紹介!
♪八女茶にいちごに電照菊
みかんにキウイに梨ぶどう
米も沢山取れるとこ
自慢の味を作り出す
われらJAふくおか八女♪
さすが特産品の宝庫!こんな歌まであるんです。
さて、その中でも今回クローズアップするのは、もちろん菊です!
現在、5月下旬? 夏菊の“優花”(白)を、
10月上旬?秋菊の“神馬”(白)/“精興の秋”(黄)/“美吉野”(赤)を
年間を通して出荷しています。
?柴田実千穂さん?
始めに訪れた柴田さんの栽培した菊は、今年 福岡県花き品評会で農林水産大臣賞受賞しました!
その審査基準は、仕立て本数、特級品率、生育・開花の揃い等多岐に渡ります。
確かな栽培技術はお墨付き!
そんな柴田さんのハウスは、肥料、水、温度など全てコンピューターによって管理されたオートマチックハウスで、溶液土耕栽培をしています。
「これによって過剰な摂取を防ぐ事ができ、エコファーマーにも繋がるんです。」と柴田さん。
そう、JAふくおか八女では環境に優しい菊作り宣言をし、電照菊部会でエコファーマーを認定取得されました!
ここでチョット豆知識!「エコファーマーってどんな人」
「持続性の高い農業生産方式の導入促進に関する法律」に基づいて、持続性の高い農業生産方式を導入するための「導入計画」について、県知事が認定した農業者(個人または法人)のこと、
ってご理解いただけました?
つまり、環境に配慮して、地球に優しい生産方法を計画的に取り入れている生産者、ってことですよ!
この他にもエコな取り組みをされています。
電照を蛍光灯に換えて、電気代をナント今までの1/4にカットする事に成功!
「メーカーとタイアップして、この電球を導入してから1年経つけど、電気代ころっと違うよ。」と柴田さん。
これだけの面積つけているのは、この産地だけだと思われますが、きっと
ゆくゆくは全ての産地に導入されることでしょう。
この電球は上半分が傘で覆われているので、電気をつけても下だけがぽわっと明るいので、独特の雰囲気になるとか。夜の電照夜景風景もちょっと現象的な雰囲気に変わるかもしれませんね。
さらにさらに、換気する際にハウスを開けても虫が入ってこないように防虫ネットもしっかり貼っています。
防虫ネットの使用はJA八女全ての生産者で義務付けられており、一丸となって減農薬栽培を推進しているのです。
よく見ると防虫ネットにはアルミが織り込まれています。
これは、菊の天敵である害虫のスリップスがアルミのピカピカ光るのを嫌うためなのだそうです。
ここで二つ目の豆知識!「スリップスとは」
名前の由来はギリシャ語の「木の虫」に由来する英語の「Thrips」をそのまま発音し、「スリップス」と呼ばれるようになったようです。 体長は0.7?3.3mm程の小さな虫。
日本では、「アザミウマ」とも呼ばれています。アザミウマは漢字では花の「薊」と動物の「馬」との合成語で「薊馬」と書きます。
明治時代に大阪周辺で、アザミの花を右手に持ち左手の手のひらにそれを乗せて軽くたたき、
「馬でよ!牛でよ!」と言って、アザミの花から出てくる虫の数を競った遊びがあったそうです。
「アザミウマ」と名前をつけた博士が、もしも牛好きな方であったなら「アザミウシ」になっていたかもしれませんが…!?
さて、柴田さんに菊を栽培する上で大変なことについて聞いてみました。
すると、「芽摘みが一番大変ですね。労働時間の1/3ぐらいを占めてるんじゃないかな。
だから、下の方の芽が出てこない品種を導入することも検討しているんです。」との事。
そして、実際に芽摘みの手間が省けるような新品種が県の試作品であるとか。
そうした品種選びに対するコダワリについても、続いてご紹介します。
?中園英治さん?
早速、部会長の中園さんのハウスへ。こちらのハウスでは、福岡県の試験場で交配された何万本の中から選ばれた実生品種を産地と一緒に作るという取り組みがされています。
現在導入されている品種で、有望品種として登場したのが『雪姫』。
「やっと名前がついて栽培し始めたけど、まだ面積は狭いし、栽培についても確立していないんですよ。」と中園さん。
しかし、その期待の程はかなりなものです。
「現在主流となっている品種“神馬”は5?6月になると花がとんがってきたり、花持ちが悪くなるんだけど、雪姫は水揚げバツグンにいいとよ。自宅の玄関先で2ヶ月もったよ!」
「また 個体差がなく 花が揃っているため、仕事屋にもよいし、生産者向けでもあるんですよ。
仕事屋は差し替え作業が一番手間がかかるでしょ。その作業が不要になれば、人件費削減になる。使う人がどっちを選ぶかですよ!」と自信満々です。
それもそのはず、何十年も作っている中で、栽培してみても、飾ってみてもよい性質だと実感したから言えることなんです。
さらに、「マレーシアから輸入される神馬の品質がいいでしょうが。冬場はとうてい勝てないわけです。
だから、あと5?10円下げても経営できるような花を作らなきゃ!
いかに高くせんで年間買ってもらえる花を作るか考えないと産地は衰退してしまいます。
海外に勝つにはやってかんと!この雪姫は100%じゃないけど有望品種!
これからは産地間競争じゃなく、国際競争で戦える価格で年間通して出荷できないと産地は衰退してくる!マレーシアに負けたくないんです!」
雪姫が100%でないという理由は、神馬のような理想的な葉ではないという事です。
立葉で、刻みがあって、色が濃いという理想の葉に近づける為、さらなる品種改良をおこなっているのです。
また、今後MPSの取得も目指していると聞いたのですが…
「防虫ネットや土作りに取り組んでいたら、今の状況で取れることが分かったのでエコファーマーを取ったんです。そしたら経営的にもよくなった。
次世代の経営診断としても活用し、MPSの取得もしていきたい。」
と意欲や熱い思いを語ってくださいました。
3つ目の豆知識!「MPSって」
オランダで始まった環境負荷低減を目指す 花き業界のための認証プログラムです。
まだ日本では始まったばかり!
大田花きでもMPSの取得を応援しています。詳しい説明はこちらをご覧ください。
→http://www.otakaki.co.jp/development/MPS.html
各生産者から↑こちらの集荷場(フラワーセンター)へ集められたには、徹底した品質管理のもと、市場へ出荷されます。
建物内にあるショーケースには、菊を使ったアレンジが飾られていました。
和テイストの菊も こんな風に飾ると、モダンな印象になりますよね!
実は、こちらのオンシジュームも八女の特産品!⇒
次号その栽培現場をご紹介しますのでお楽しみに♪
日本でも古く、大きな菊産地ですが、グローバルな視点で新しいチャレンジを続け、全体をリードしていこうとされている八女電照菊部会の取り組みには目が離せません!
【八女電照菊の魅力】
精興の秋
光沢のある純黄色の丹弁抱え咲きの大輪。
茎は青軸で、濃緑の照葉の立ち葉で木姿のよい中長幹種です。株立ちよく生育の揃いがよい。
神馬
花色が純白で抱え咲きの大輪。
葉が小葉であり、立ち葉。
水揚げが大変よい八女電照部会の主力品種。
美吉野
花色はビロードのような赤色抱え咲きの大輪。花弁に艶があり満開まで咲ききる。赤色の主力品種。
残念ながら 画像はありませんが、
優花
大変ボリュームのある白菊大輪。
水揚げが良く、光沢のある葉である。高温による奇形花の発生率が低く、安定出荷が見込まれる。
柴田さん、中園さんからお花屋さんへのメッセージ
末端が喜ぶ花作りを目指しています!
新品種“雪姫”が一つの起爆剤になるよう、常にチャレンジし続けますので、
ぜひ 使ってみてください!
JAふくおか八女・電照菊部会の格言
・圃場には差があっても、箱の中身には差がない商品作りをしています!
・部会だけでなく、国内全体の菊生産が海外と戦えるよう、常にチャレンジし続けます!
・環境に優しい菊作りを目指します!