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2008年5月23日

vol.60 愛知県 JAひまわり

うんちく探検隊 記念すべき第60号!
今回は安藤隊長・西山副隊長率いる08年度入社の新人探検員9名が、新人研修を兼ねて、うんちく探検隊初参戦!
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080521_0500~01.jpg朝4時出発!新人探検員が「生まれて初めて見る生産現場」向かった先は・・・?隊員は西へ西へと車を走らせます途中、お茶畑や富士山を横目に高速を飛ばします。

安藤隊長:
「お茶畑にたくさんある、扇風機みたいなもの何か知ってる?」
「風力発電ですか?」
「ちがうちがう、霜にやられないように設置してあるんだよ」
「あれだけで、霜が防げるなら、ダリアなどお花でも活かせそうですね!」
と、会話は続きます。








SN3E0003.jpgしばし休憩です。
安藤隊長の指の先に見えたのは・・・

(左)内藤隊員(右)下田隊員










SN3E0001.jpg「ほら、浜名湖だよ!」
















?JAひまわりに到着!?


SN3E0007.jpg東京を出て約4時間、隊員は愛知県の豊川市、JAひまわりに到着しました。

JAひまわりの知識
■どこにあるの?
愛知県の豊川市です。

■どんなお花をどのくらいの方が作っているの?
SPマム(75名)、キク(72名)、バラ(46名)、洋花(28名)です。

■ひまわりを作っているの?
ひまわりは、ごく少量しか作られていません。

■なぜひまわりってついたの?
昔、いくつかの生産地が合併をした際に、募集をかけて決まったのがJAひまわりでした。


5.21 007.jpg今回、迎えてくださったのは、JAひまわり営農部花卉出荷センターの小林センター長です。












5.21 006.jpg「このシールは、各生産者が一箱一箱貼って、出荷場に持ってこられます」「このシールを自動ローラーで分荷する前に、検査を一箱一箱行っています」


「えー!全部の箱を毎日チェックしているのですか?」
「生産者の当番がチェックしているんですよ」












5.21 0010.jpgこれが「検査報告書」です。各品目ごとに報告書が異なります。これはキクの検査報告書です。ダニ、アブラムシ、白さび病、曲がり・・・様々な理由の項目。連絡事項には、検査員がコメントを書きます。チェック項目のランクは、連絡→注意→格下げ→返品。中には出荷場で、返品されることもあるそうです。これは昔から続いているJAひまわりの習慣だそうで、検査までが「自分たちの責任」という自覚をお持ちで、これに不平不満を言う方はいらっしゃらないそうです。
この検査報告書には「もう少し咲かせてください」とコメントが書かれています。市場でも、特にセリの際にはセリ人がお花を見て判断して、セリ機に「咲きすぎ」「曲がり」「葉悪し」・・・などを表示させて競ることがありますが、セリという限られた時間の中できっとこの「検査報告書」ほど細かくチェックできていないでしょうし、産地へのフィードバックも細かい対応はできていないでしょう。JAひまわりでは、ここまでは産地の仕事という認識から、毎箱毎箱チェックをされているそうです。

検査員の生産者の方々も、生産・出荷作業にプラスしてのチェック作業は、時間を作り出すのも大変だと思いますが、他の人が作っている花が見れたり、荷姿が見れたり、新しい刺激になっていると、小林センター長はおっしゃっています。

「1箱でもダメな物があったら、産地の信頼が崩れてしまう。ここでは、こんなに沢山箱があっても、結局、お花屋さんに届くのは1箱なのですから。」
このような認識があるからこそ、ひまわりのブランドが保たれているわけですね!


5.21 014.jpgみんなも納得!(してるよね?)

左から、石井隊員、吉田隊員、矢作隊員、依田隊員










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「他にも、組織で役割分担がきっちり決まっていて、抜き打ちでバラのバケットのバクテリアチェックをしたり、広報活動や、開封検査など、ローテンションで役割が決まっています」








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では、JAの山田さんと金子さんに圃場をご案内いただきましょう!今からガーベラと、バラと、SPマムの圃場をご案内頂きます。









5.21 017.jpgその前に、記念撮影。

お忙しい中、朝からありがとうございました!











?市川さんのガーベラ!?


5.21 021.jpg早速、ガーベラを生産されている市川さんのハウスにお邪魔しました。とても広く、設備の整ったハウスには、出荷前の赤・黄色のガーベラが沢山ありました!初めてガーベラの栽培現場を見る新人探検隊も「きれい!」「すごい!」と感動の嵐。

市川さん:「今までは鉢で栽培をしてきましたが、今年からはロックウールの栽培に変更しました。肥料や原油の高騰から、どちらも量を少なめにしてしまったことが影響して、今年の栽培は良かったとは言えませんでした。肥料を吸い上げるのにも、ある程度の温度が必要!ということが分かった一年でした。」

5.21 028.jpgハウスの温度を保つのに、一日最低50ℓ?80ℓもの油が必要だそうです。
原油の高騰したからと言って、花が高く売れるわけではない、というのが残念ながら今の花卉業界の現状。弊社では、そのためにも「一円でも高く売れ!」というシールを営業全員のパソコンのデスクトップに貼ってあります。

5.21 047.jpg市川さん:「ロックウールで栽培するメリットは、太くていいものができることです。」






←去年まで使われていた鉢



5.21 034.jpg市川さん:「ロックウールのメリットは、本数は切れること。1?から400?500本/年間切れます。アルミ箔のようなものをかけることで、蒸散や微生物の繁殖を防ぐことができるんですよ。デメリットは重みが少ないように思います。」




5.21 029.jpg黒い線のようなもので、自動的にお水をあげることができます












5.21 031.jpg光を当てないと、このように何も生えてこない














5.21 035.jpgガーベラの花保ちをよくする方法memo
市川さん:「ガーベラは、花びんに活けるとき、水は茎の5cmくらい使っていれば十分です。毎日少しづつ、足してあげるのがガーベラにとって良いんだよ。」※ガーベラは水浅で活けることは常識でしたが、もっと少なくて良かったのですね。

市川さんから、お花屋さんへ一言☆
ガーベラは使いやすく、手ごろ。色々な方面で活躍できる花だと思います。冠婚葬祭にも、もっともっと使って頂きたいし、その方法を考えて下さればと思います。
わたしたち生産者は、いいものをがんばっていい花をつくります!




5.21 041.jpg近年のブライダル重要についてのmemo by 安藤隊長
「大人婚」という言葉が持てはやされている今、結婚しても仕事を続ける女性が増えています。企業で働く人にとって、春先は転勤や異動で何かと忙しいので、結婚式は秋にするカップルが増えているようです。人口減少から、結婚式の需要も年々少なくなりますが、春の式は減少傾向にあっても、秋の式は横這いのままです。ブライダル需要に合わせてお花を作るなら、「秋」ということですね!
写真左:倉持隊員

5.21 043.jpg市川さんと記念撮影!

市川さんから、新入社員へメッセージ☆
市川さん:私は昨年新しい栽培方法にチャレンジして失敗をしました。しかし、失敗で得た経験は大きく、そこから利益を生んでがんばっていこうと思います。会社でも、失敗やミスをすることはあると思いますが、同じ失敗を繰り返さずにそこから何かを学べば、上司や先輩も、皆さんのことを怒らないでしょう。皆さんも失敗を恐れずに、がんばってください。

市川さん、素晴らしいメッセージをありがとうございます。

5.21 044.jpgガーベラを頂きました。気分もhappy☆よかったね!!













5.21 048.jpgガーベラ@car
ちゃんとお水入りのペットボトルに入れて、車の中でも水揚げします。車に花があるのも気分が明るくなって良いですね!









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?河合さんのバラ!?


5.21 050.jpg続いて向かったのは・・・
バラの生産をされている河合さんのハウスです。













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5.21 058.jpg河合さん:「バラの生産をしています河合です。15年ほど前からバラのロックウール栽培を始めました。現在では、バラを63?栽培していて、43?がフィルム・20?がガラスのハウスで栽培しています。栽培を始める際にはハードにお金がかかり、ガラスのハウスを作ることには、周りからとても反対されましたが、今となってはよかったと思っています。」

5.21 056.jpg屋根が高?い!
河合さん:「これまではロックウール栽培でうまくやってこれたけど、楽をしすぎてきてしまったのではないか?という考えのもと、3年くらい前から一個一個解析して、努力をしている最中です。」
(後姿の畑中隊員)



5.21 059.jpgみんなも真剣にメモをとります。














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わたし:「ロックウールで栽培しているバラは、今までに見たことがありますが、こんなに木化しているのは初めて見ました。何年くらい栽培すると、木化するのですか?」
河合さん:「3年くらいですね。普通は、2?3年で植替えをする方が多いですが、私は4?5年周期で植替えします。また、植替えをするなら、植物にとって春が良いと思いますよ。株の出来もいいです。よく、夏に植替えをする方もいますが、夏に植え替えると、その年の年末までに出荷するのはおそらく無理でしょう。それもあって、春に植替えするのが良いです。」

5.21 064.jpgわたし:「これはなんですか?」
河合さん:「除湿機です。これを入れることによって、葉がしまったような印象になります。重量のあるしっかりしたバラが作れるんです。湿度は70?75%に保つようにしています。今日は雨が降ってないから、水がポトポト落ちるところがお見せできなくて、残念ですよ(笑)」

ちなみに雨の日は90?92%になるそうです。

河合さん:「ただし、落とし穴があって、20℃以上ないと除湿できないので、冬はそのためにも油を焚く必要があるんですよ」(相対湿度の問題)
「新しい機械やヒートポンプを入れると、その業者がなんと言おうと、自分で感じて試してみる。これが一番大事ですね。なので、去年は3日くらい、ハウスに寝泊りしました。これをやった時どうなる?秋にこれをしなかったら?品種によっても異なるし、これからも試行錯誤です。」

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除湿機を入れたことによって出来た厚みのある葉

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社会や環境を背景に、花きの生産者も国際競争で戦わなければなりません。継続性のある経営とは?
河合さん:「私は、定番品種を1/3、可能性を秘めた新品種を1/3、自分の好きな品種を1/3の割合で栽培しています」「やっぱり、食べていくために稼ぐことも必要だけど自分の好きな品種も作らないと、おもしろくないじゃない?ただし、これは1,000坪以下では出来ないと思います。1,000坪以下なら1/2を定番にする。もしくは、8割を定番に。1割好きなもの。1割あたしいもの。という比率が良いのではないでしょうか。」

後に、車で移動中に・・・
安藤隊長:「河合さんは安定して生産されていらっしゃるから、理想の比率で生産されていますね。私がもし、生産者なら始めは7割を食べていくために。残りの3割で新しいものと好きなものを作りますね」
「作りやすい」「作りにくい」「自分の好きなもの」「市場性」・・・比率を決めて生産をすることがキーワードですね!

5.21 074.jpg「河合さんの好きなバラはどの品種ですか?」
河合さん:「マダムヴィオレです。香り・色、最高でしょ?咲くともっと違って見えますよ」








5.21 075.jpg「いい香り?☆」
出荷前のものなので、蕾の状態でしたが、ほんのりいい香り!他のバラとは違う香りがしました。

病気に弱いマダムヴィオレ。それでも市場に「いつもあるように」という考え方のもと、栽培・出荷されています。





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マダムヴィオレと、ラ・カンパネラは、栽培するのに腕が試されるバラ。


わたし:「次々と新しい品種が出るバラ。それを待ち望んでいる顧客が大勢いる中、市場からは栽培上の視点から、同じ品種を10年くらい作って欲しいという要望があります。河合さんはどのようなご意見ですか?」

河合さん:「そうですね。やはり、品種特性を掴むのに3年はかかるでしょう。それから多少栽培方法の修正をして、4年周期、4年周期と繰り返せば、10年ですからね、その通りだと思います。しかし、商品性については新しい品種がないと、デザイナーが寂しがりますね。」

5.21 072.jpg河合さん:「いろいろとありますが、私は生産をする上で、いつも初心に返れるようにと心がけています。」

立石隊員:「河合さんの初心とは、どのようなことですか?」という鋭いツッコミ。

河合さん:「自分の作った花で、みなさんに喜んで頂くことです。」








河合さん、たくさんのメッセージをどうもありがとうございました!
とても勉強になりました☆


?JAひまわりのSPマムと輪菊?


5.21 076.jpg最後はスプレーマムと輪菊の温室へ
残念なことに、輪菊の生産者の小林さん・スプレーマムの生産者の林さんは出荷作業のため留守にしていましたが、JAの金子さん・山田さんにご紹介頂きました。






5.21 078.jpgこんなに背丈があるのですね!














5.21 081.jpgコガネハマ(写真の花はあと2日くらいで出荷です)
この品種は、「芽かきなしで良いという作業性、冬場にあまり油を焚かなくていい」という生産性の良さから、これからますます出荷量が増えていきそうです。




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ダッチライトという、花の生産に適した高い屋根のハウス。
オランダでは、このハウスが主流だとか。湿気がたまりにくいそうです。

5.21 102.jpgここで自動的に温度や湿度を測って管理しているそうです。













5.21 106.jpgレミダス5.21 108.jpgプリンス5.21 117.jpg






突然の取材で、SPマム生産者の小林さんと林さんにお会いできず残念でした。次回は是非、いろいろと教えてください。
また、お忙しい中JAの金子さん、山田さんご案内・たくさんのご説明頂き、ありがとうございました。



最後は、JAひまわりの周辺の風景!
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JAひまわりの皆様、ありがとうございました!

JAひまわりの格言

・理由があるから今がある(JAひまわり)
・一人一役(JAひまわり)
・新しいことにチャレンジして、たくさん学ぶべし!(ガーベラ・市川さん)
・自分の作った花で、皆さんを喜ばすという心を持つべし!(バラ・河合さん)

このあとも、新人探検隊の旅は続く・・・
(文責 Cimone♪)happy 003.jpg

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