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2009年3月16日

Vol.71 埼玉県 高成園

いよいよ春到来!
地球温暖化の影響なのか今年は暖冬でしたが、 やはり朝晩は冷え込む日も多かった3月上旬。 ここ数日はいよいよ寒さも和らぎ、春がぐっと近付いて来たようです。

そんな3月のある日、ウンチク探検隊は埼玉県杉戸町にやって来ました。
本日、ご紹介するのはこの地に12代も続く農家であり、40年前からフリージアづくりを手がけてきたという高成園(こうせいえん)の高舘さんご一家です。

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埼玉県というと東京からアクセスするには、ちょっと骨が折れるイメージがあったのですが、実は市場(東京都大田区)から杉戸町まで車で1時間半もあれば到着!さすがは埼玉。ここのフリージアがいつも新鮮なのは短時間で市場に運ばれているからなんですね。


お急ぎの方はこちらから。
高成園の枝切りフリージア“ユーロスタイル”をご紹介しています。


高成園のこだわりに迫る!

高成園に到着!その前に・・・

さて、本日取材させていただくのは高成園で今もっとも旬の花「フリージア」の切花です。 日本国内では通常どこの産地でも“葉”付きで出荷されるのが当たり前なフリージアですが、高成園のフリージアは葉がついていない状態(“枝切り”と呼ばれる)で出荷されています。 聞くところによると、オランダなどヨーロッパの生産地ではフリージアは“枝切り”が一般的なんだそう。そこで、まずは日本のフリージアとオランダのフリージアを見比べてみよう。
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↑日本のフリージアはこのように葉付きの状態で出荷されます。もともと生け花の花材としての需要が高く、生け花では葉が必要だったことから、花と葉がセットになったスタイルが定着したようです。

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↑こちらがオランダのフリージア。葉をつけずに枝切りで出荷されています。葉が無くても、さまざまなグリーンを使って上手にアレンジしていますね。

この違いには、なにか大きなポイントが隠されていそうですが・・・そこは後ほどゆっくり、高舘さんに教えていただきましょう!
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到着した私たちを出迎えてくださった、社長の高舘成行さんと4代目の雅実さん。
「今一番、良い状態で咲いてますよ。さっそく、ハウスを見てみますか?」
先を歩く雅実さんの後を追いかけて、私たちもハウスに向かいます。

フリージアの真の姿とは!?

ハウスに一歩足を踏み入れ、見たものは・・ 人の腰丈をゆうに超えるほど成長した、巨大なフリージアの群生。スパイシーで甘い香りがハウスの中にただよっています。フリージアって、こんなに大きくなるんですか? 「1メートル20センチくらいは余裕で育ちますよ。」と雅実さん。

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丈が長ければ花も大きい!長い茎のてっぺんに咲く花は手のひらに乗るほどの大輪。花びらのしっとりキメ細かい質感と、厚みのある触りごこちがスーパーリッチです。このみずみずしさ、ずっと触っていたい・・・(でも、傷むからやめましょうね!)よーく見るとダイヤモンドリリーを思わせるプリズム加工で、太陽をキラキラ反射させてます。フリージアというよりも、ユリの花みたいですね。
「そう言ってもらえると(笑)」と笑顔を見せてくださる雅実さん。

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『グレース』                  『オレンジーナ』
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『ストライプドパール』            『ピンクフォンテン』

枝切りフリージアの秘密

「これが、今年からオリジナルで名前をつけて販売を始めた“ユーロスタイル”という、言わば“枝切り”のフリージアなんですよ。枝切りはオランダでは主流だけど、日本には無い。それなら、ウチでやってみようって。親父と一緒にやり始めたんです。」

高成園では葉を付けずに枝切りで出荷するスタイルのことを「ユーロスタイル」と呼ぶのですね。
でもどうして、葉付きではなくて、枝切りでなければいけないんですか?

「葉付きのフリージアは大量の球根に促成栽培をかけて草丈をおさえることで、お客様がフリージアを一番必要としている時期・・・年末から初春に量産出荷することを可能にした、ものすごい技術のたまものなんですよ。一方、枝切りは促成をかけずに季咲きでゆっくり成長させる。促成栽培よりも、広い面積を取って植えてやらなければならないし、育てる時間が長い分手間もかかる!そのかわり1個の球根からトータル3回花を切ることができるんです。」と雅実さん。

うーん、なるほど・・・!季咲きのフリージアが枝切りに出来る意味がよく分かりました。

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こんなに贅沢なフリージア見たことない!

「ユーロスタイルのフリージアというのは、つまり“季咲き”で花にストレスをかけずジックリ時間をかけて育てることによって、フリージアが本来持っているボリューム感、色、香りのパフォーマンスを最大限に引き出したものなんですよ。」
本当ですか!季咲きというだけで、これほどまでに・・・
「いやいや、もちろん栽培面ではさまざまな工夫が必要です。それと、ユーロスタイルの売りのひとつは八重咲き品種にこだわっているところなんですよ。」と雅実さん。
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見てください?!この見事なフリージア。『エクセレント』という品種です。時間をかけて育てられる、というメリットは八重咲き品種にこそ生かされるんですね。「フリージア本来の魅力は何か?をテーマに考えて、本当に価値のある花を追求してみたかったんです。」と雅実さん。ユーロスタイルはこの先、まだまだ進化し続けるに違いありません。

さて、このユーロスタイルですが、今シーズンは3月一杯まで全19品種のラインナップで順次出荷しています。フリージア定番の白、黄色はもちろんのこと、市場でも全体量の少ないピンク系や赤系も揃っているのがうれしい!ピンク系と青系の色乗りが抜群ですね。
「それも、季咲きで花芽をしっかり育てて切っているからなんですよ。ピンク系と青系の品種は特に、つぼみが若いうちに切るとね、咲いても上手く発色しないことがある。色ノリの良し悪しが顕著に出やすいんですよ。」と雅実さん。
咲く季節や切り前が、発色にも影響するとは・・・フリージアはデリケートな花なんですね。
「そう、フリージアは病気にとにかく弱い花なんです。比較的丈夫なのは、やっぱり原種に近い黄色系や白系。ピンク系や、めずらしい花色の品種は特に弱いんですよ。」
そうだったんですか・・・日本国内に流通する切花フリージアの半数以上が、白と黄色の花色しかないのには、そんな理由があったとは。難しい花にあえてチャレンジされているんですね。

「だって、お客さんにまだまだ魅力がいっぱいある楽しい花だってことを伝えたいじゃないですか。むしろ、自分たちが楽しみながらやってます。楽しいですよ(笑)」
と、いつもポジティブな雅実さん。

ユーロスタイル品種紹介

この時期、ちょうど圃場に咲いていたユーロスタイルのフリージアたちをご紹介。 ※画像をクリックすると拡大表示します。大画面で是非ご覧ください♪

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『イヴォンヌ』           『アーケード』            『グレース』
フロリアーデ.jpg エクセレント.jpg ハネムーン.jpg
『フロリアーデ』          『エクセレント』           『ハネムーン』
ピンクフォンテン.jpg DSC00066.jpg プリシラ.jpg
『ピンクフォンテン』        『オレンジーナ』          『プリシラ』
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『ストライプドパール』       『アンコナ』

「初めての方には、“おまかせMIX”がおすすめですね。色々見て、気に入った品種を見つけていただけたら良いなと思いながら作ってます。お得感がつまっていますよ(笑)」と雅実さん。
よし今日はユーロを買ってみよう!と思ってくださった方のために、実は高成園ではユーロスタイルの“お試しパック”ならぬ「おまかせMIX」を出荷しています。まずは色々な品種を見ていただきたいという思いから、MIX箱には毎回ランダムで最大6品種ものユーロスタイルが入っているんだとか。毎回、色合わせやバリエーションを考えながら丁寧に作られたとっておきの一箱。
数量限定につき、お早めにどうぞ!

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(左)おなじみの葉付きフリージア。(右)こちらがユーロスタイルの出荷規格。ユーロスタイルは1本から3本分の花が楽しめるのが最大の特徴!主枝から伸びた側枝2本もお客様のもとで咲くパワーがあるんです。
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こちらがユーロスタイル出荷時。見てください、このプリプリふっくらしたつぼみ!ちゃんと咲いてくれそう!という安心感がありますよね。事実、お客様の手元でもしっかり咲きます。

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花芽をジックリ育てるから、花と花の節間がキュッとつまった美人なお顔立ちに。促成栽培などで、花芽を極端に成長させると節間が間伸びしやすいんだそう。

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ん?良い香り♪香りの強さはピカイチ。フリージアは花芽を若切りしてしまうと香らなくなってしまいます。ユーロスタイルだからこそ、香りも生きてくるんですね。
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(写真左)1品種切ったらハサミは消毒。「ウィルスが一番こわいんですよ。」と雅実さん。
(写真右)フリージアの球根に出来た木子(「きご」と呼ばれる球根の赤ちゃん)。別ハウスではこうした球根を育てて、品種を長く維持していくための栽培を実践されています。サスティナブル!

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旬の野菜や魚が美味しいように、花も本当は旬が一番キレイ。高成園のフリージアは“季咲きの花”を楽しむ意味を教えてくれているんだなぁ・・・。

7日間楽しめるフリージア!

高成園では、ユーロスタイルに「7Days Happy」と題して、20度以下の環境で7日間の日持ち保証をしています。これは安心、嬉しいですね。
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「部屋の中でも、20度以下になる場所に置いていただくことが一番ポイントです。」と雅実さん。たとえば玄関、キッチンの窓辺、洗面所に飾ってみてはいかがでしょうか?(ちなみに当社実験では、7日間どころか10日間以上楽しめました!)

高成園では、エコファーマー認定を取得されていますね。やはり早いうちから環境を意識した花づくりを心掛けていらっしゃったんですか?
「特別なことを始めたわけじゃないんですよ。おじいちゃんや親父の代からずっと当たり前にやってきたことが、エコファーマー認定に当てはまっていたんだと思います。たとえば有機堆肥・・・杉戸町は昔から畜産もやっていて近所に牛屋さんがいるんですよ。そこから良い堆肥をいただいているお陰です(笑)」と雅実さん。肥料も地産地消なんですね。埼玉県杉戸町は、地元で作られたお米や野菜が学校給食に使われていたりと地産地消への意識が高いことでも有名なんだそう。

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「ユーロスタイルの面積あたりの収量は、葉付きフリージアのおよそ1/5。だから増やしたくても限界があるんですよ。今後はユーロスタイルに賛同してくださる生産者さんを募って、少しずつ広げていきたいんです。」最終的にもっと多くのお客さんに使ってもらいたい、と雅実さんは熱く語ります。

始めた頃は苦戦されたことも多く、「もうやめようか」と何度も思ったのだそう。「でも家族みんなも頑張ってくれた。市場ではS担当、T担当君からいつも励まされました、本当にありがたかった。」そうおっしゃって下さる成行さんと雅実さん。お二人のフリージアに向かうまっすぐな姿勢に、ただただ頭が下がる思いです。
高成園の目指すところは、花屋さんで「フリージアを下さい」と言うお客さんをひとりでも多く増やすこと。いつかきっと叶うと思います!

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高成園“ユーロスタイル”の格言

・フリージア最高のパフォーマンスと、確かなクオリティは世界一!
・主役、脇役の魅力を兼ね備え、ラインでもマスでも使える!
・勝負仕事はユーロスタイルフリージアを使うべし!

ユーロスタイルの出荷期は2月中旬?3月一杯まで。
季節は待ってくれませんので、皆様どうぞお見逃しなく!
お問合せは大田花き仕入第2(球根)チーム担当まで。
?03-3799-5000(代表)

お・ま・け

雅実さんのもうひとつの顔・・・それは?
ジョン・レノン最後のアルバム「ダブルファンタジー」のタイトルをひらめくきっかけになった、黄色いフリージア「ファンタジー」を追い求める・・・という何ともドラマチックなプロジェクトをご存知でしょうか?雅実さんもメンバーとして活動されているそうです。
『ジョンレノンと黄色いフリージア』HP↓
http://www.t01.com/2008/09/post_71.html

(文責 三浦彩)

2009年3月10日

vol.70 和歌山県 森林工房 大江(コウヤマキ)

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ウン探、一路南紀白浜へ!
都会の喧騒を離れ、羽田からわずか1時間15分で美しい白浜に降り立ちました。


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今回ウンチク探検隊が潜入したのは、和歌山県の龍神村。
飛行機で南紀白浜空港で降りて、車を走らせること約2時間。

ここは、まるで国内にある外国のような感じさえ覚えます。
天空の村とでも言いましょうか、なんとも神秘的な雰囲気が漂っています。

「龍神」という名前だけに、あちこちに龍のモニュメントが・・・

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そんな龍の神が降臨していそうな村からコウヤマキをご出荷されているのは
「森林工房大江」の大江英樹さんです。

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お若い!?(゜◇゜;)
この写真で皆様の想像をガラリと変えたのでは?
大江英樹さんはこの龍神の林業の有望な担い手の一人。
そう、森林工房大江さんは本来、植林→伐木→搬出までを行う木材屋さん(林業)なのです。


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このたびはコウヤマキで、大消費地関東の花きマーケットで挑戦したい!とのご意向から
弊社へのご出荷を始めていただきました。


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はい!大江さんの山に潜入する前に、ここでコウヤマキの予習をいたしましょう!
皆さん、そもそも「コウヤマキ」ってご存知ですか?( ^ー゜)b

「高野槙」と書きます。関西では日常の家庭花として当たり前のように使われていますが、
関東ではまだまだその名を知る人は多くないはずです。

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■なぜ関西と関東でこのような差があるのでしょう?
コウヤマキはもともと高野山に多く自生しており、生長に適した環境である高野山で植林・栽培が盛んとなったことから「コウヤマキ(高野槙)」と呼ばれるようになりました。
高野山が発祥の地だけあって、だからこそ関西では日常的に使われてきました。

■コウヤマキの素敵な特徴について、何かご存知なコトはありますか?
・ 日本固有の常緑針葉樹で、世界三大美木のひとつとされる。(他の2つはヒマラヤシダの南洋杉。)
・ 病害虫に強く、無農薬、寿命も長く、悠久の時代を生きる霊樹とも言われる。
・ 2006年9月6日に御誕生になった秋篠宮悠仁親王殿下の御印の木にされている。これには「コウヤマキのように大きくまっすぐに育って欲しい」という思いが込められている。
・ 緑色がきれいで、葉が落ちにくく、切りでも大変長持ち!
・ 清涼感あふれる心地よい香りがする。
・ 弘法大師空海が高野山で最も長持ちする花を探していたら、高野槙に辿り着き、今でも関西地方では暑い夏でも長持ちするアイテムとして重宝されている。
・ もともと空海が供花として使用したことから、しばしば仏様に手向けられることがあるが、
高野槇1本で60種類もの花を供えたことに匹敵するともいわれている。
・ コウヤマキは成長が遅い反面、繊維密度が極めて細かく、抗菌性・耐水性があるため、桶、風呂、船、橋、建築材料など高級木材として使用されている。
・ 一年中、美しい光沢のある緑色の葉を付け、心地よい香りを漂わせ、葉が落ちにくいので、装飾の周りを汚すことなくお楽しみ頂ける。
・ 日本固有種で、古事記や日本書紀には日本で最初に生まれた樹木として「スギ・ヒノキ・サカキ」と並び、コウヤマキも紹介されている。


コウヤマキはこのような無二の特徴を持つ、素晴らしい樹木なのです。

数々のストーリーを持つスピリチュアルプランツとも言えるコウヤマキが、遂に世界遺産指定地域の一角である和歌山県龍神村から出荷されるようになったのです!

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では、どんな風に育っているのか?
ここでコウヤマキに関してプロ並みに知識を習得された皆さんにだけ、教えちゃいます!


大江さんが所有される山へいざ出陣!
大江さんは龍神村内に代々受け継いだ約100ヘクタール(=1,000,000?、なんと東京ドーム約25個分!?(゜◇゜;) )にもわたる山をお持ちでいらっしゃいます。

道なき道(もともと道がないところに大江さんが道を作った)を四駆のジムニーで猛進!

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この辺はまだ山のほんの入口。
体感角度が45度くらいのところも、大江さんの運転技術とジムニーがあれば余裕でクリアできてしまうんですね。すごっ!


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 すぐ横は谷底(汗)!


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 ぐわんぐわんに揺れるジムニー!


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 うわっ!なんか落ちてきたし!(゚o゚ ;)(; ゚o゚)

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 今度はシダが襲ってくる???!


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 いかなる障害も大江さんはなんのその、
 まるで自分のお庭を走り回るかのように
 優雅にバックで驀進中!


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 ああ???、落ちるぅ??(゜◇゜;) 。

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「あ、こんな山奥に男の子がいる!(驚)」?(゜◇゜;) と、人影を見たような気がしたら、なんと男の子ではなく鹿でした。
「本ジカですね。男の子がいたら、逆にびっくりしますよ!」と大江さん。
確かにそうですな。さすがの余裕です( ^ー゜)b

さらに山奥に分け入れば、熊が出ることもあるのだとか。
大江さん、気をつけてくださいね?!

いずれにしても、こんな体験はまさにあたしの人生のうち最初で最後か。
ぼこぼこがたがたの山道をバックで上ったり下がったり、都会の生活にどっぷり漬かり、自然体験に飢えていたあたしは、この上ないアドベンチャラスな探検にやや興奮気味。ニンマリが止まらない^_^;
ちょっとしたテーマパークよりはるかに面白くて価値ある体験でした。

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こんなアドベンチャラスな山道の行く末に見たものは、コウヤマキの植林地帯と龍神の山からの見事な一望の景色。
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壮大な景色の次にふと下を向けば、もみの木や松、ヒイラギなどの赤ちゃんがたくさん生えていました。

もみの木                松          
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ヒイラギ                     アセボ
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大江さん:「こういうのはね、自然に生えてくるんですよ。
私たちは特に種を播いたりしているわけではありませんし、何もしていません。
山が豊かであれば何もしなくても次々生命が誕生し、更に豊かになります。
私の仕事は山を作ることと認識しています。」



大江さんのこの豊かな山で、コウヤマキを作っていらっしゃいますが、あえて平らなところを選び、上へ上へ伸びていくコウヤマキを低木に仕立てていらっしゃいます。

その理由は・・・
傾斜が急なところは作業が大変な上に、梯子を使わないと手が届かない部分も多いので、天候不順のときは、たちまち切れなくなってしまいます。
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傾斜の緩いところに植えると・・・

* 低木に仕立てて、梯子を使わずに採取できるようにし、作業効率をアップ!
* 梯子を使わないから、雨の日でも出荷準備できる!

というメリットがあるからです。





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コウヤマキはとても生長の遅い樹木です。
ひとつの節(約10cm)が育つのに、およそ1年!
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 実生から膝丈まで生長(約30?40cm)するのも10年かかる代物なんです。
30?40cmになったところで定植。

定植してから商品として枝を採取できるようになるまで、一体更に何年かかると思いますか、皆さん?

なんと10年です。


つまりコウヤマキは実生から出荷できるようになるまで、
10年+10年=20年

20年もかかるわけです!


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コウヤマキの天敵って何でしょう?

大江さん:
「ヒョウです。(「豹」ではありません、さすがに^_^; 「雹」です。“ヒョウやアラレ”の雹です。)
新芽の立つ初夏にヒョウが降りやすいのですが、マカロニのように白くて柔らかい新芽にヒョウが当たると、新芽が台無しになり葉が飛んでしまいます。これをリカバーするにはおよそ3年かかります!
つまり、一度ヒョウが降ると、3年は商品にならないわけです。」

んん?、なんとも手強い天敵!




質の良いコウヤマキの見分け方は?

大江さん:
簡単に見分ける方法は2つあります。

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 ?←この2本のコウヤマキを比べてください。
どちらを使ってみたいと思いますか?
恐らくこれをご覧になって、皆さん(写真の)左側の方がいいと思われるのではないでしょうか?
同じ長さで左は4本枝分かれしていて、右は2本しかありませんね。
コレは恐らく品種の問題なのですが、間隔が狭くて締まったコウヤマキの方が良いものといえるでしょう。





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 ?生長のときに通気性が悪いと、葉の裏が黒くなることがあります。このことを私たちは「ススが付く」と言ったりするんですが、ススが付かないようにするためにも、剪定をこまめにして、通気をよくしてあげます。
すると、葉の裏の色の“白と緑のコントラスト”が美しく出るんですね。
コウヤマキの葉は2葉が癒着して1つの針葉状になったもので、葉の裏の中央部のくぼみは白い気孔帯となっています。

おおぉ?、なんだかひとつお利口さんになった気分♪
コウヤマキを選ぶときには必ず葉の裏側もチェックしてください!



森林工房大江さんのコウヤマキの特徴は、龍神の太陽をたっぷりと浴び、葉の関節が詰まっていて、すこぶる良質であるということです!

また、冬は休眠に入るため、葉の色が赤茶けますが、これは針葉樹の特徴です。
写真はまさに冬の色ですが、春・夏には艶々として鮮やかなグリーンのコウヤマキに戻ります。
1年のうち、1本でまさに二味お楽しみいただけるわけです。

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この少しくすんだニュアンスの色がお好みという方もいらっしゃいますし、夏場のみずみずしい緑のマキがお好きという方もいらっしゃいます。
冬場も緑色でお使いいただきたい場合は、空調の利いた暖かい所に置いておくと、徐々に緑色を回復いたします。

いずれにしても、コウヤマキは代品など到底思い浮かばない、花マーケットでは無二の貴重な商材なのです。

「あ、使ってみたい!」と思ったそこのあ・な・た♪( ^ー゜)b
関東ではまだまだ普及段階の今、どのように使うかはあなた次第!


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↑<コウヤマキを使った或るアレンジの風景>
 
あなたの創造性をフルに発揮して、素敵な作品ができたときには
是非ともあたくしに自慢してくださいませ(*^-^*)

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こちらが和歌山名物目張寿司(めはりずし)とさんま寿司です。
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目張寿司は他の県にもあるので有名かもしれませんが、なぜ「目張り」というかご存知ですか?

それは、頂くときにおいしくて「目を張りながら」あんぐりと口を開けるからですsmile33.jpg

こちらが、同じく和歌山名物「茶粥」↓です。
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写真は大江さんのご両親です。
お母様がこれらのおいしい和歌山名物を作ってくださったんですよheart17.jpg
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お父様曰く、
「地域の格差社会を感じる昨今です。
生活の洋風化により木材の売れ行きが思わしくありません。
山村はみるみる疲弊していきます。
龍神ではコウヤマキだけでなく、国産のサカキを国内に流通すべく今プロジェクトを立ち上げています。
龍神は雨が多く多湿の上に、寒さが厳しいのでサカキでも葉が締まった良質のものができます。
この強みを生かして、日本の皆さんには国産のサカキを見直してもらいたい。
日本の神様には日本産の植物を以って敬って欲しいですね。」


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animal40.jpg 森林工房大江さんの格言

山を育てるのが仕事也!
  自然を生かしながら山を育てることがつまりは木を育て、次の世代につながる花を咲かせることになる。
 林業は全ての自然の力を活かした、複合林産業と心得るべし。
 
 ・・・謙虚に、且つ淡々と話す大江さんでしたが、なんとも壮大な話です^?^!

■山とどう向き合うかを考えるべし!
 ただの資産としてではなく、やりがいを持って山を作っていく。
 心を豊かに持ち、収益が全てではなく、全体のエネルギーやおもしろさを考えれば、ミニマムの収入の中でもこの人生にありがとうと思える。
 すべてはこの環境、この自然の恵み。

■コウヤマキの仕立ては作業効率を考えて行うべし!
 こまめに剪定を施し、通気性を良くして品質向上を図る!


■コウヤマキの品質の見分け方は、以下の点に留意すべし!
 ? 節と節の間隔が狭く、よく詰まっているもの。
 ? 葉の裏の色のコントラストが、よりクリアなもの。
 
 

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animal26.jpg消費者の皆さんへメッセージ
・ 龍神の霊気に包まれて、また大江さんが手塩にかけて育てたコウヤマキを一度使ってみてください!

・ 葉が小さく繊細に揃った上品なアセボとスーパーローングヒカゲ(1m以上!)を見つけてきました。

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国産の肉厚良質サカキや黄金ヒバもございますので、こちらも合わせて大江さんの商品を是非ともお試しください。

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 ←大江さんの黄金ヒバ




お問い合わせは大田花きまでflower46.jpg(TEL 03?3799?5000)

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文責:ないとう いくこ(*^-^*)




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P.S. 龍神村には知る人ぞ知る龍神温泉がありますfree_002_07.gif
日本三大美人湯のひとつで、「龍神」の名は、この龍神温泉に由来しているそうです。
どのような成分が働いているのか、お湯は透明でありながら、とろぉ?っとしているんですね(*^-^*)
滑らかなお湯でホント気持ちいいぃ?!!!free_002_59.gif


帰りにちょっと立ち寄ったときには、周りに人気もなく、なんとその龍神の湯を独り占めheart_p.gif

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ま、いまさら美人の湯に入る必要もないんだけどね( ^ー゜)b   ・・・いや、あるか。

もっと龍神温泉について知りたい方はコチラ



◆PHOTO GALLERY◆
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←打ち上げられた魚ちゃんたち。
アタシが並べたわけではありません。


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白浜から龍神に行く途中に見かけた「奇絶峡」(きぜつきょう)
下を流れる川には、直径10メートルくらいの岩がごろごろしています!
どうしてこんなに大きな岩ばかりあるのか、それこそ奇絶峡なだけに、気絶しそうなくらい大きい岩たちです!


白浜のみどころ:千畳敷と三段壁
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お・し・ま・い
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<写真・文責:ikuko naito@R&D>

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.