« vol.69 宮崎県 JA高千穂地区 | トップ | Vol.71 埼玉県 高成園 »
2009年3月10日
vol.70 和歌山県 森林工房 大江(コウヤマキ)
ウン探、一路南紀白浜へ!
都会の喧騒を離れ、羽田からわずか1時間15分で美しい白浜に降り立ちました。
今回ウンチク探検隊が潜入したのは、和歌山県の龍神村。
飛行機で南紀白浜空港で降りて、車を走らせること約2時間。
ここは、まるで国内にある外国のような感じさえ覚えます。
天空の村とでも言いましょうか、なんとも神秘的な雰囲気が漂っています。
「龍神」という名前だけに、あちこちに龍のモニュメントが・・・
そんな龍の神が降臨していそうな村からコウヤマキをご出荷されているのは
「森林工房大江」の大江英樹さんです。
お若い!?(゜◇゜;)
この写真で皆様の想像をガラリと変えたのでは?
大江英樹さんはこの龍神の林業の有望な担い手の一人。
そう、森林工房大江さんは本来、植林→伐木→搬出までを行う木材屋さん(林業)なのです。
このたびはコウヤマキで、大消費地関東の花きマーケットで挑戦したい!とのご意向から
弊社へのご出荷を始めていただきました。
はい!大江さんの山に潜入する前に、ここでコウヤマキの予習をいたしましょう!
皆さん、そもそも「コウヤマキ」ってご存知ですか?( ^ー゜)b
「高野槙」と書きます。関西では日常の家庭花として当たり前のように使われていますが、
関東ではまだまだその名を知る人は多くないはずです。
■なぜ関西と関東でこのような差があるのでしょう?
コウヤマキはもともと高野山に多く自生しており、生長に適した環境である高野山で植林・栽培が盛んとなったことから「コウヤマキ(高野槙)」と呼ばれるようになりました。
高野山が発祥の地だけあって、だからこそ関西では日常的に使われてきました。
■コウヤマキの素敵な特徴について、何かご存知なコトはありますか?
・ 日本固有の常緑針葉樹で、世界三大美木のひとつとされる。(他の2つはヒマラヤシダの南洋杉。)
・ 病害虫に強く、無農薬、寿命も長く、悠久の時代を生きる霊樹とも言われる。
・ 2006年9月6日に御誕生になった秋篠宮悠仁親王殿下の御印の木にされている。これには「コウヤマキのように大きくまっすぐに育って欲しい」という思いが込められている。
・ 緑色がきれいで、葉が落ちにくく、切りでも大変長持ち!。
・ 清涼感あふれる心地よい香りがする。
・ 弘法大師空海が高野山で最も長持ちする花を探していたら、高野槙に辿り着き、今でも関西地方では暑い夏でも長持ちするアイテムとして重宝されている。
・ もともと空海が供花として使用したことから、しばしば仏様に手向けられることがあるが、
高野槇1本で60種類もの花を供えたことに匹敵するともいわれている。
・ コウヤマキは成長が遅い反面、繊維密度が極めて細かく、抗菌性・耐水性があるため、桶、風呂、船、橋、建築材料など高級木材として使用されている。
・ 一年中、美しい光沢のある緑色の葉を付け、心地よい香りを漂わせ、葉が落ちにくいので、装飾の周りを汚すことなくお楽しみ頂ける。
・ 日本固有種で、古事記や日本書紀には日本で最初に生まれた樹木として「スギ・ヒノキ・サカキ」と並び、コウヤマキも紹介されている。
コウヤマキはこのような無二の特徴を持つ、素晴らしい樹木なのです。
数々のストーリーを持つスピリチュアルプランツとも言えるコウヤマキが、遂に世界遺産指定地域の一角である和歌山県龍神村から出荷されるようになったのです!
では、どんな風に育っているのか?
ここでコウヤマキに関してプロ並みに知識を習得された皆さんにだけ、教えちゃいます!
大江さんが所有される山へいざ出陣!
大江さんは龍神村内に代々受け継いだ約100ヘクタール(=1,000,000?、なんと東京ドーム約25個分!?(゜◇゜;) )にもわたる山をお持ちでいらっしゃいます。
道なき道(もともと道がないところに大江さんが道を作った)を四駆のジムニーで猛進!
この辺はまだ山のほんの入口。
体感角度が45度くらいのところも、大江さんの運転技術とジムニーがあれば余裕でクリアできてしまうんですね。すごっ!
すぐ横は谷底(汗)!
ぐわんぐわんに揺れるジムニー!
うわっ!なんか落ちてきたし!(゚o゚ ;)(; ゚o゚)
今度はシダが襲ってくる???!
いかなる障害も大江さんはなんのその、
まるで自分のお庭を走り回るかのように
優雅にバックで驀進中!
ああ???、落ちるぅ??(゜◇゜;) 。
「あ、こんな山奥に男の子がいる!(驚)」?(゜◇゜;) と、人影を見たような気がしたら、なんと男の子ではなく鹿でした。
「本ジカですね。男の子がいたら、逆にびっくりしますよ!」と大江さん。
確かにそうですな。さすがの余裕です( ^ー゜)b
さらに山奥に分け入れば、熊が出ることもあるのだとか。
大江さん、気をつけてくださいね?!
いずれにしても、こんな体験はまさにあたしの人生のうち最初で最後か。
ぼこぼこがたがたの山道をバックで上ったり下がったり、都会の生活にどっぷり漬かり、自然体験に飢えていたあたしは、この上ないアドベンチャラスな探検にやや興奮気味。ニンマリが止まらない^_^;
ちょっとしたテーマパークよりはるかに面白くて価値ある体験でした。
こんなアドベンチャラスな山道の行く末に見たものは、コウヤマキの植林地帯と龍神の山からの見事な一望の景色。
壮大な景色の次にふと下を向けば、もみの木や松、ヒイラギなどの赤ちゃんがたくさん生えていました。
もみの木 松
ヒイラギ アセボ
大江さん:「こういうのはね、自然に生えてくるんですよ。
私たちは特に種を播いたりしているわけではありませんし、何もしていません。
山が豊かであれば何もしなくても次々生命が誕生し、更に豊かになります。
私の仕事は山を作ることと認識しています。」
大江さんのこの豊かな山で、コウヤマキを作っていらっしゃいますが、あえて平らなところを選び、上へ上へ伸びていくコウヤマキを低木に仕立てていらっしゃいます。
その理由は・・・
傾斜が急なところは作業が大変な上に、梯子を使わないと手が届かない部分も多いので、天候不順のときは、たちまち切れなくなってしまいます。
傾斜の緩いところに植えると・・・
* 低木に仕立てて、梯子を使わずに採取できるようにし、作業効率をアップ!
* 梯子を使わないから、雨の日でも出荷準備できる!
というメリットがあるからです。
NOTE
コウヤマキはとても生長の遅い樹木です。
ひとつの節(約10cm)が育つのに、およそ1年!
実生から膝丈まで生長(約30?40cm)するのも10年かかる代物なんです。
30?40cmになったところで定植。
定植してから商品として枝を採取できるようになるまで、一体更に何年かかると思いますか、皆さん?
なんと10年です。
つまりコウヤマキは実生から出荷できるようになるまで、
10年+10年=20年
20年もかかるわけです!
コウヤマキの天敵って何でしょう?
大江さん:
「ヒョウです。(「豹」ではありません、さすがに^_^; 「雹」です。“ヒョウやアラレ”の雹です。)
新芽の立つ初夏にヒョウが降りやすいのですが、マカロニのように白くて柔らかい新芽にヒョウが当たると、新芽が台無しになり葉が飛んでしまいます。これをリカバーするにはおよそ3年かかります!
つまり、一度ヒョウが降ると、3年は商品にならないわけです。」
んん?、なんとも手強い天敵!
質の良いコウヤマキの見分け方は?
大江さん:
簡単に見分ける方法は2つあります。
?←この2本のコウヤマキを比べてください。
どちらを使ってみたいと思いますか?
恐らくこれをご覧になって、皆さん(写真の)左側の方がいいと思われるのではないでしょうか?
同じ長さで左は4本枝分かれしていて、右は2本しかありませんね。
コレは恐らく品種の問題なのですが、間隔が狭くて締まったコウヤマキの方が良いものといえるでしょう。
?生長のときに通気性が悪いと、葉の裏が黒くなることがあります。このことを私たちは「ススが付く」と言ったりするんですが、ススが付かないようにするためにも、剪定をこまめにして、通気をよくしてあげます。
すると、葉の裏の色の“白と緑のコントラスト”が美しく出るんですね。
コウヤマキの葉は2葉が癒着して1つの針葉状になったもので、葉の裏の中央部のくぼみは白い気孔帯となっています。
おおぉ?、なんだかひとつお利口さんになった気分♪
コウヤマキを選ぶときには必ず葉の裏側もチェックしてください!
森林工房大江さんのコウヤマキの特徴は、龍神の太陽をたっぷりと浴び、葉の関節が詰まっていて、すこぶる良質であるということです!
また、冬は休眠に入るため、葉の色が赤茶けますが、これは針葉樹の特徴です。
写真はまさに冬の色ですが、春・夏には艶々として鮮やかなグリーンのコウヤマキに戻ります。
1年のうち、1本でまさに二味お楽しみいただけるわけです。
この少しくすんだニュアンスの色がお好みという方もいらっしゃいますし、夏場のみずみずしい緑のマキがお好きという方もいらっしゃいます。
冬場も緑色でお使いいただきたい場合は、空調の利いた暖かい所に置いておくと、徐々に緑色を回復いたします。
いずれにしても、コウヤマキは代品など到底思い浮かばない、花マーケットでは無二の貴重な商材なのです。
「あ、使ってみたい!」と思ったそこのあ・な・た♪( ^ー゜)b
関東ではまだまだ普及段階の今、どのように使うかはあなた次第!
↑<コウヤマキを使った或るアレンジの風景>
あなたの創造性をフルに発揮して、素敵な作品ができたときには
是非ともあたくしに自慢してくださいませ(*^-^*)
こちらが和歌山名物目張寿司(めはりずし)とさんま寿司です。
目張寿司は他の県にもあるので有名かもしれませんが、なぜ「目張り」というかご存知ですか?
それは、頂くときにおいしくて「目を張りながら」あんぐりと口を開けるからです
こちらが、同じく和歌山名物「茶粥」↓です。
写真は大江さんのご両親です。
お母様がこれらのおいしい和歌山名物を作ってくださったんですよ
お父様曰く、
「地域の格差社会を感じる昨今です。
生活の洋風化により木材の売れ行きが思わしくありません。
山村はみるみる疲弊していきます。
龍神ではコウヤマキだけでなく、国産のサカキを国内に流通すべく今プロジェクトを立ち上げています。
龍神は雨が多く多湿の上に、寒さが厳しいのでサカキでも葉が締まった良質のものができます。
この強みを生かして、日本の皆さんには国産のサカキを見直してもらいたい。
日本の神様には日本産の植物を以って敬って欲しいですね。」
■山を育てるのが仕事也!
自然を生かしながら山を育てることがつまりは木を育て、次の世代につながる花を咲かせることになる。
林業は全ての自然の力を活かした、複合林産業と心得るべし。
・・・謙虚に、且つ淡々と話す大江さんでしたが、なんとも壮大な話です^?^!
■山とどう向き合うかを考えるべし!
ただの資産としてではなく、やりがいを持って山を作っていく。
心を豊かに持ち、収益が全てではなく、全体のエネルギーやおもしろさを考えれば、ミニマムの収入の中でもこの人生にありがとうと思える。
すべてはこの環境、この自然の恵み。
■コウヤマキの仕立ては作業効率を考えて行うべし!
こまめに剪定を施し、通気性を良くして品質向上を図る!
■コウヤマキの品質の見分け方は、以下の点に留意すべし!
? 節と節の間隔が狭く、よく詰まっているもの。
? 葉の裏の色のコントラストが、よりクリアなもの。
消費者の皆さんへメッセージ
・ 龍神の霊気に包まれて、また大江さんが手塩にかけて育てたコウヤマキを一度使ってみてください!
・ 葉が小さく繊細に揃った上品なアセボとスーパーローングヒカゲ(1m以上!)を見つけてきました。
国産の肉厚良質サカキや黄金ヒバもございますので、こちらも合わせて大江さんの商品を是非ともお試しください。
←大江さんの黄金ヒバ
お問い合わせは大田花きまで(TEL 03?3799?5000)
P.S. 龍神村には知る人ぞ知る龍神温泉があります
日本三大美人湯のひとつで、「龍神」の名は、この龍神温泉に由来しているそうです。
どのような成分が働いているのか、お湯は透明でありながら、とろぉ?っとしているんですね(*^-^*)
滑らかなお湯でホント気持ちいいぃ?!!!
帰りにちょっと立ち寄ったときには、周りに人気もなく、なんとその龍神の湯を独り占め
ま、いまさら美人の湯に入る必要もないんだけどね( ^ー゜)b ・・・いや、あるか。
もっと龍神温泉について知りたい方はコチラ
◆PHOTO GALLERY◆
←打ち上げられた魚ちゃんたち。
アタシが並べたわけではありません。
白浜から龍神に行く途中に見かけた「奇絶峡」(きぜつきょう)
下を流れる川には、直径10メートルくらいの岩がごろごろしています!
どうしてこんなに大きな岩ばかりあるのか、それこそ奇絶峡なだけに、気絶しそうなくらい大きい岩たちです!
白浜のみどころ:千畳敷と三段壁
お・し・ま・い
<写真・文責:ikuko naito@R&D>