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2009年9月22日

Vol.75 北海道 JA月形町

今回は、新規就農の方でスカビオサの新品種を送り出している方が
いらっしゃるということで、北海道でも花作りの歴史の長いJA月形町を訪問です。

ここ月形町は札幌から北へ約50km石狩川沿った町です。
明治時代に樺戸集治監の設置により開村されたとの事。
今ではすっかり一面の田園風景ですが、開村の当時は原野が広がっていたんですね。
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札幌からはJR学園都市線で石狩月形までと思いきや、
なかなか良い時間帯にたどり着ける列車が無い!との事で車での移動となりました。
雲ひとつ無い晴天の中、月形町目指し1時間のドライブです。
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町のとある場所ではこんなのぼりも!(裏表になってしまいましたが)道の駅ならぬ「まちの駅」?
脇のレストランではトマトカレーが季節限定メニューになっていました。(美味美味)
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今日案内頂いたJA月形町の真保さんです。
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月形町ではもう40年も花作りが行われている。

どうしてこんなに早くから花作りが盛んだったのでしょう?
月形町は後ろに山を抱え、1戸当りの耕地面積が少なかったから。

少ないとはどの位ですか?
1戸当り10ha位ですね。

おっ!さすがは北海道10haが少ないとは!私の実家の地域なら大百姓です。

最初は7戸0.8haから始まった花作りも、今や78戸100haの規模。
100品目500余品種を栽培する大産地です。
品目は、カーネーション、ソネット(ダイアンサス)、ユリ、スカビオサなどなど、ない花は無い!?
それほどたくさんの花が栽培されています。
また花の他に、メロン、スイカ、トマトなどおいしそうな果物も盛りだくさんです。

そして注目!
ここ月形町では新規就農者を支援する手厚い制度があります。
認定を受けた人は2年程度の研修です。研修中は住居と農地が提供されています。
そして農地の購入、一人立ちとなりますが、そこでもしっかりとした支援が。
一年に1?2組の新規就農の方々が育ち、すでに10組を超える方々ががんばっています。
さらにすごいのはこの方々の離農者ゼロだそうです。
町一体となった支援の賜物でしょうか。

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研修中の住居とハウスです。
 
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只今研修中の細川さん 大阪出身
ハウスにはデルフィニュームが育っていました。

そしていよいよ今回の本命!
十年前に新規就農されてから、今ではスカビオサの品新種を送り出す平尾さんのハウスを訪問です。

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就農当初作ったホワイトレースが大当たり!

別名ホワイトレース御殿と言われるご自宅です。
温暖化防止に取り組んでいらっしゃりご自宅の屋根にはソーラパネルが。
現在26棟のハウスでスカビオサを中心に生産をされています。

この広さの農地をよく購入できましたね?
1.4haの農地が○○○万円で買えたから。

これまた北海道ならでは?それとも月形町のバックアップ?
でも一部荒れた農地を整備しながらの土地作り。一種の開墾ですね。

いよいよスカビオサのハウスへいざ!
しかし、咲いた花はほとんど無し!
咲き足が早く、毎日午前中に採花してしまうので、午後には開いた花はありません。
それはそうです。
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なにやら元気がなさそうですが?
急に天気が良くなったからね。でも開花してからは水はほとんどやらないんだよ。

えっ?大丈夫なのですか?

ここでスカビオサの豆知識
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スカビオサは西ヨーロッパ原産とのことですが、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに広く分布しているようです。日本にある松虫草はスカビオサの仲間ですが、園芸品種はセイヨウマツムシソウ、コーカサスマツムシソウが主体となっているようです。
水はけのよい土壌を好み、乾燥に強いと。
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なるほど、スカビオサの特性を生かした作りなのですね。

平尾さんは、独自品種を送り出していますが、どのように選んでいるのですか?
種から育てるが、枝変わりが出てくる。この中から気に入ったものを挿し木で増やしている。
年に2?3品種作出しています。お勧めは複色系ですね。「園子」「銀河」など、思い入れの
品種が評価されるとうれしいね。みんな嫁に出すような気で送り出しているよ。

との事で、畑では多くは見られなかったスカビオサの写真をお借りしました。
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そしてこんなスカビオサも発見
パイナップル
「パイナップル」
まりもまりも
「まりも」  枯れた感じのまりももまた一興でいいですね。

バナナミルク
「バナナミルク」 

ハウスの間にはダスティミラーが。
ダスティミラーダスティミラー

月形での農業の魅力は?
田舎でのんびりやればやっただけ実績になる。

ご苦労もあるでしょうが、おおらかなお答えでした。
好奇心をもって、愛情をもってスカビオサを育てているからこそ、違った花を見つけて、それに命名し増やしていけるんですね。

☆ スカビオサには水を与えるな
☆ スカビオサには愛情をもって接しよ
☆ これはと思ったら徹底的にこだわり

平尾さんのお宅を後に、ソネットの畑も訪問です。
ここ月形ではソネットを共選出荷されています。
ソネットだけでも1億円を超える販売額を上げており、日本でも最大級の産地となっています。

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お話を伺った松本さんです。

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新しい品種の試作中です。

月形といえばカーネーションの生産も多いのですが、なぜソネットを導入したのですか?
冬は豪雪で生産できないので、春から秋にかけての生産となります。カーネーションだけだと植え付け時期が一緒だと出荷時期も一緒になってしまいますが、ソネットを取り入れると生育期間が違うので出荷時期が変わり、労力の分散が図れました。

夏だけでしか生産できないご苦労があるのですね。

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飛び入り参加のトンボ

まだまだ、月形ではいろいろ作られていますが、もう一つ御紹介。

秋といえばハロウイン。ハロウインといえばかぼちゃです!
ここ月形ではおいしい食用のカボチャもありますが、鑑賞用のカボチャも作られています。

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こんなカボチャもありました。
ちょっとでもキズがあれば×。キビシー!!
いやいや信用第一ですから。
ごもっともです。

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今年は曇天長雨で不作です。(こちらの畑は食用のカボチャ畑ですが)
普段ならカボチャが一面に生育しているのですが…。

そしてこれが2009ハロウイン用カボチャの新パッケージです。
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不況も不作も吹き飛ばせる盛り上がりを期待して!
ハロウインが待ち遠しい。

今回は、新規就農者も活躍する月形町にお邪魔しました。
北の大らかな大地がそうしてくれるのでしょうか。
花作り40年。新しい人を受け入れ、また新しい事にチャレンジしていく月形のスピリッツを感じました。

ご案内頂いた農協の真保さん始め、畑を見せて頂いた月形町の皆さんありがとうございました。

文責:平野

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