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2010年10月 1日

vol.78 日野洋蘭園(鹿児島)

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記念すべきウンチク探検隊vol.78は、葉物の産地である日野洋蘭園さんです。

ウン探ファンの皆様(いるのか?)、お気づきでしょうか?
ウンチク探検隊が2005年2月に始まって以来、葉物の産地を取材させていただくのは、何と5年目にして初めてなのです。


鹿児島空港に到着しました。

機内から温かくお見送りして下さる機長さん。
“いってきま~す!”

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↑手を振ってくれている様子が見えますか?


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鹿児島空港の植栽はさすが南国ムード満点。
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空港に足湯があるのでも有名です。
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ん?そういえば、初めてなのは「葉物」だけでなく、もしかしてウン探史上、鹿児島に上陸するのも初めてかも??


さて皆さん、葉物のスマイラックスやアイビーを脇役だと思って軽視していませんか?( ^ー゜)b

それらのアイテムは都会のスタイリッシュな空間を演出するのための必需品。現にウェディングブーケなどにも多用されています。
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(ブーケ制作/写真提供 F. COMMUNICATIONS  鈴木千春様)


なぜならそれは、大輪、八重などゴージャスでフェイスの大きな花が流行っている今、葉物の存在なしには彼らの輝きを生かすことはできないのです。そして、その葉物の生産地にもウンチクが凝縮されているのです。

葉物=単なる葉っぱではありません。

スマイラックスやアイビーの生産で全国的に有名な日野洋蘭園さんには、“生えてきたから、切って出荷した”なんてのとは程遠いノウハウが隠されていたのです。

そう、葉物生産といえば、全国でも日野洋蘭園さんをおいては語れません。
買参人さんからもOTAの担当者からも高評価を得る日野洋蘭園さんの秘密を探りにお邪魔しました。

日野洋蘭園さんは鹿児島空港から車で25分ほど北西に行ったさつま町にあります。(場所の確認はググッて!)


あれれ?圃場所在地は鹿児島なのに、なぜ「日野洋蘭園」というのでしょう。
社長のお名前でもないようです。

それは、現在の社長の柴崎喜好さんが東京都の日野市ご出身で、日野市で会社を設立されたからです。
事業拡大のために1987年からは鹿児島県においても一部商品の生産を開始し、現在では東京から鹿児島へ本社を移転し、さつま町と栗野高冷地にある農場(東京ドーム約1個分の面積)にて生産、通年出荷をしています。


アイビーの出荷量年間600万本、ピーク時には800万本。
数字を耳にしただけではピンと来ないかもしれませんが、日野洋蘭園さんはただの生産者ではありません。

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「農業のトヨタ化を目指しています」というのがこちらの柴崎喜好社長。


「農家は一企業である」とし、トヨタに倣い農業生産においても企業として利益を出し、社員、地域、社会に貢献することを主眼において花き生産を行っていらっしゃるのです。

それでは日野洋蘭園に詰まったウンチクの数々を見てまいりましょう。


104s.png企業理念

一企業であるためには、まずは明確な「企業理念」が必要です。
お客様の商品に対する満足度や信頼が企業としての競争力につながると考え、常にお客様に感動を与えらる企業でありたいとする日野洋蘭園の企業理念は

「企業として利益を出し、社員、地域、社会に貢献すること
また、企業として生産性と技術の向上を目指し、お客様に感動を与え信頼される商品を提供すること」 


そして将来的には国を支える農業企業であることを目指します。

今日出荷する花きを手にするお客様の感動を考えながら、同時に3ヶ月先、1年先、5年先を考える。
するとバランス的に欠けているところが見えてくる。
そこで「ここが足りないから、◎◎さんにはこう動いてもらわないといけない」と社員指導を行う。
「ただ植物を作っているだけでは、会社はできないんだよ」という柴崎社長。
そのために必要なものは、経営計画と経営理念に基づく具体的な行動指針です。


またその行動指針を決めるためには大目的を設定、全従業員に理解を促します。
日野洋蘭園さんの大目的は「国を支える農業企業を目指す」とういこと。
その企業を社員が作るわけですから、日々の業務の積み重ねからその目的を達成するためには社員にも具体的な行動指針を持ってもらわなくてはなりません。

そして何をしたか・・・なんと社員全員に1年後の自分、3年後、5年後、10年後の自分を実際に紙に書いてもらい、目標達成までのロードマップをイメージさせているのです。


1日のうち多くの時間を使って会社で働いているわけですから、生涯幸福設計をせず会社で幸せに働けるわけがないというお考えなのです。まさにおっしゃる通りです。

まずここで目標達成のためには社員の一人一人の幸せを考え、資質を高めるというのがひとつ。


そして、社員の資質、生産技術が向上すれば、植物が持つ美しさを最大限に引き出して、手にした人が感動するもの、つまり芸術品を作り出すことができる。植物は感動そのもの!


若い頃から経営に興味をお持ちだった柴崎社長は、常に経済や世界の動向に注意していました。
柴崎社長はこういいます。
「経済の動きと世の中の動向から将来を読み、人の心を推察して経営方針を決める。
ものが動くのは人の心理によるところが大きいわけだからね。」

そして経営はスクラップアンドビルドを繰り返す。

104s.pngシステム化

経営の視点から、柴崎社長は経営のシステム化を進めます。
その1:栽培管理について
栽培管理のソフトを使い、日々の天候、最高温度、最低温度、土壌水分(pF)、湿度、潅水、従業員のコメントなど栽培履歴をトータルで管理、全ての従業員が閲覧できるようになっています。

生産者の方なら頷かれるかと思いますが、良いものを作ろうと思ったら植物の栽培管理は数字だけできっぱりと割り切れない“勘どころ”というものが絶対的に必要になってきます。

その“勘どころ”をベテランさんも新人さんも、勘の鋭い女性も普通の人も、誰しもが共有し、個人の能力に頼らず全社を挙げていつでも同じ品質で出荷できるよう、PC上にトータルシステムを構築しているのです。


また、栽培管理の情報共有システムはPC上のみならず、もっと手近なところにもきちんと構築されています。
例えば、圃場内には施設ごとにホワイトボードがあり、マグネットを使いなにか色々とマークされています。

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たとえばこんな風に↑
こちらの例は切り花コチョウランの栽培ですが、コチョウランの支柱をどこまで立てたかを記しています。

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「仕事は個人のものではないんだよね。誰が何をやっていて、今どのような進捗にあるのか、パートさんでも社長でもわかるような体制を作ることが大切。」
と説明してくれたのは、営業事業部長の新川洋一郎さんです。
社長の右腕となり、経営に携わります。




確かに組織にいるとよくあります。担当していた人が何かあった当日にたまたまいなかったりすると「どうなってんだよ事件」
日野洋蘭園さんでは、これらの情報共有システムの構築で、「どうなってんだよ事件」の発生率を最小限に留めていらっしゃるのです。すばらしい。

その2 数字管理について

キーワードは「会社の地図化」

「経営を体系付けて、整理する」。そうしないと、会社はうまく回りません。

そのためには、社内業務の地図化をすることが大切。そのことによって運営を効率化して体系化することができるのです。

う~ん、具体的にどういうことでしょうか?チンプン?ヽ(゚◇。)ノ?カンプン?


会社の情報は従業員に対して何でもオープンにし、誰でも会社がどうなっているかを確認することができる仕組みを作ります。
例えば、PC上で見せていただいいた「組織図」・・・かと思ったら、部署をクリックしていくと、そこに関連したデータや予算や売上実績、経費などがズラーーーーーーと出てくる$£?\$・・・!!
そして、経年の経費や売上、純利益などを全てグラフにして管理されているのです。
このように全員が閲覧できてお互いが情報共有できるよう、文書や数字を管理するソフトを導入し、システムを作っているのです。

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「生産性=利益」がトヨタ流。これを気象状況や植物の生理コントロールという、工業製品に比べ人の手でコントロールできる要素が限られている農業で、いかに生産性を向上させ、利益を残していくかが課題なのです。

農業経営でこれを実践して行くには、やはりITを取り入れ判断精度の向上と技術伝承の短縮を行い、効率化を図っていく必要があるのです。このように穏やかな口調でおっしゃる柴崎社長は社員と一体となって進めています。

これぞまさに左脳に起動されるデータ分析力と右脳による芸術的インスピレーションの出力トルクの最大値を目指したシステム構築作りにほかなりません。

104s.png日野洋蘭グループ

「日野洋蘭園グループ」と申しました。
  
なぜグループなのか?

全国に先駆け美しいスマイラックスを出荷し始めた柴崎社長は、お客様のご要望にお応えするために高品質のスマイラックスを周年出荷しようと、地域に声をかけて、共同出荷者を募りました。
それも委託生産という形で委託先の4社と日野洋蘭園ご自身を含め、計5社にて周年出荷体制を組み「日野洋蘭園グループ」としています。

顧客目線経営目線で商品を安定供給しようと委託先を募りました」という柴崎社長。


委託先には設備投資の支援から始まり、経営診断、生産技術的なアドバイスなどまで全面的にバックアップをして出荷委託料をいただきます。その中には、生産商品の苗代、OTAへの販売手数料、運賃、事務費、箱代、出荷経費、人件費等諸々が含まれます。

この委託出荷システムというのが日野洋蘭園グループの強みの秘訣で、柴崎社長の生産レベルをキープしながら、確実に生産拡大を行う方法の一つなのです。

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こちらは日野洋蘭園グループ有限会社 大口グリーンブーケの代表取締役 原 富男さんです。

「ウンチク探検隊?知ってるよ。更新されるとすぐ見ているよ」
ありがとうございますheart17.jpg原さん!




ご覧ください、この見事なばかりのスマイラックス。色、艶、形、繊細な葉・・・
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このように一本一本縦糸を張り、そこにスマイラックス1本を這わせます。そして下から上まで同じ直径で葉が広がっているものが良いとされます。
縦糸1本が150cm、スマイラックスがそこまで延びたら芯を止めて規格150cmのできあがり。


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よく見るとスマイラックスなのですが、それを原さんが作ると、まるで絹を織っているかのようです。

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スマイラックスはこのように糸に絡んでいくのです。

「スマイラックスは糸に絡んでくれないとまっすぐ伸びていかないし、絡んだとしても時には1本の糸に何本でもスマイラックスが絡んでいこうとするからね、頻繁にチェックして、手をかけて面倒を見てやらないと、いけないんだよ。



特に生長が早くて、早い時には1日5cmくらい伸びる時もあるからね。3、4日ほどでも目を離すとどうにもならなくなってしまう。
気が抜けなくて、手間がかかって、本当に根気のいる植物なんだよね。」と原さん&柴崎社長。

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取材班が原さんのお話を御伺いしている間も、柴崎社長は寸暇を惜しむようにスマイラックスの手入れをされていました。(脱帽)

そんな根気のいる植物をきれいに作り上げる原さんを見て
「原さんはね、几帳面なの」と柴崎社長はおっしゃいます。



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なるほど、その通り。
ご覧ください、原さんの足元に広がるこのキレイな通路。(こちらはたまたまアイビーの施設ですが)
寝っ転がれる!・・・と思ってしまうくらいです。さすがです。

良いスマイラックスの見分け方は、小葉で繊細なもの、葉に艶と照りがあり、茎同士の絡みがないものを選ぶということ。
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「原さんのスマイラックスは、葉がキュッと締まっているからスポットライトに当たってもしんなりせずに輝きを放ち続けることができるんだよ。ここが他の産地と違うところ」と自信を持つ柴崎社長。


「お花屋さんがお店で花材を整理する手間を省くために、両方の葉が揃っていて、きちんと色が載って、艶があって、下から上まで同じ直径で伸びているものを作るように心掛けているんだ。お花屋さんにとっては、手間がかからず、だけど繊細なスマイラックスがいいでしょ」と原さん。

さすが、よく利用者の心理をご理解くださっています。

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「20年経って、やっと柴崎さんの言うことが分かるようになったよ。植物って奥深いんだよね。植物はなかなか思う通りにならないけど、まだそこで妥協しないのが柴崎さんなんだよね。“まあいいや”がない。
これにも共感できたね。

農業を始める前は何千人という規模の会社で働いていたんだけど、歯車の一つで人と人との心の疎通はあまりなかったな。
今は全て自分で管理して、いいものを出したら(市場担当者や小売店から)“よかったよ~。使い易かった!”って言われるわけよ。

大企業ではなかなかそれはないでしょ?!
こうやって認められる瞬間が生産者の醍醐味だよね~^ー^!」

という原さん。


グループ農家では今は生産履歴を各自が記録しています。
原さんに伺うと、毎日欠かさずA4ノートに1ページを記録していらっしゃるとのこと。


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「1年でノートが積み上げられてこんな厚さになるよ」
え!こんなにですか!たった1年で。

その見た目の厚さ以上に原さんの生産への熱意と栽培の奥義が厚く(熱く!)詰まっているに違いありません。
原さん、スマイラックスを作り続けて20年間とおっしゃっていましたね。
ということは、この厚みで20ブロックあるということですね∑(゜◇゜;) 驚!

まさに秘伝書ともいうべきスマイラックス生産の神髄の集結!!

「今年の暑い夏のようなイレギュラーな天候のときは、見返すことができるでしょ。
見返さないにしても忘れずに実績を蓄積できる。これが経験であり、生産ノウハウの蓄積なんだよね」
と原さん。


「将来的には、委託先とも栽培管理データをLANで結んで、よりデータを蓄積していきたい。これが将来の日本の農業に役立つはず」という柴崎社長。
現在グループ農家さんたちは蘭(ラン)やスマイラックス、アイビーで結ばれていますが、もう今月中には同じランでもやはりLAN(ラン)で結ばれるようになるんですね。

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栗野高冷地農場にお伺いいたしました。
栗野は高冷地。標高650mのここは平地とは気温が5℃違います。

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もくもくと白い湯気が上がるあちらは地熱発電所。さすがそこここに湧き出る温泉地鹿児島ならではですね。住所も鹿児島県姶良町湧水町。そのままじゃありませんか。




栗野に上がる途中の絶景。
↓左の写真のうち、右側の山が桜島で左側に見えるのは海。
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栗野高冷地農場では、スマイラックスやアイビー、切り花コチョウランなどを生産しています。

平地とおよそ5度違い、夜温もしっかり下がる栗野は、グループ内の他の農場と季節をリレーして出荷できるのです。
ここでマネジメントを任されているのは、冨士本(ふじもと)晃大さん。(写真左)



写真はなにやら冨士本さんが怒られているようにも見えますが、決してそうではなく従業員さんと植物への精いっぱいの愛情でもって、柴崎社長より栽培アドバイスを受けているのです。
柴崎社長は常に冷静で温厚どなたにでもお優しい方とお見受けいたしました。

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ここ栗野の圃場も原さんと同じく素晴らしくきれいで清潔。
・・・あたくし、この業界でお世話になって約10年、スリッパで入るハウスは初めて拝見いたしました。
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ウィルスなどが入らないようにかなと思い伺ってみると、そういうことでもないようです。
農場を常にきれいで清潔にしていたいという気持ちの表れでしょうか。





ウン探「最も気を使うことは何ですか?」

冨士本さん「植物の調子を落とさないように、日射と水の管理に気を付けることですね」

「ポイントは?」

冨士本さん「よく見てあげること。パートさんと連携してね。うちのパートの皆さん、よく働いてくれますよ」


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本当に、柴崎社長の方針を体現されているかのように、日野洋蘭園の皆さんはどちらにお邪魔しても温かい笑顔でご挨拶してくださり、仕事を楽しんで生き生きをしていらっしゃいました。







そのほか委託農家の堂脇園芸さんと訪れたときの様子。
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或いは、同じく委託農家の北原さんを訪れたときの様子。
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このように柴崎社長は委託先を一軒一軒1か月から1.5か月に一度訪問し、グループ農家の皆さんの声を伺いつつ、商品の品質や経営をチェックします。樹勢や色艶、形、葉の状態(肉厚さ、照り、葉の詰まり方など)、土の乾き具合などが主なチェック項目のようで、それらを見ながら生産アドバイスをされるのです。

「良くできたね~。きれいだ!こっちのこういうのはまとめて“優”で出して」とか「水をもう少し切ったほうがいいね。根が栄養を吸収しなくなっちゃうから」などとアドバイスされているのです。
その経験に裏打ちされた確かな勘どころで生産を改善し、グループ全体の品質を上げているのです。


同じものを作って管理統一、ロスが少ない分効率が良い=利益になる!(出ました。この方程式)
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ロスが少ないというのは人の心に伝わるものを作るということです。人の心に伝わるものを作るのに、生半可な気持ちではできないということを日々柴崎社長はグループや従業員の皆さんに伝えているのです。ですから柴崎社長も毎日全力投球です。
データに基づく厳しい判断と生産農家さんへの温かいハートと頭脳を融合して、全身全霊で日野洋蘭グループを運営します。

農場診断では、まず現状把握「ここがおかしい!」→分析「なぜ?」→仮説①「あれが足りないのでは?」→委託先とのキャッチボール「それはこのくらいやっているんだけど・・・」→仮説②「とすると、これがおかしいのでは?」→検証「じゃあ、これやってみて!」
と仮説と検証を繰り返し、委託先のみなさんはそれを実践、記録していくのです。

グループ出荷をする上で大切なことは、社長が全体を見ながらも、個々のマネジメントは担当者に任せるということです。
そうすることで、その担当者にも責任感が出てくる。
委託生産農家の皆様こそ、日野洋蘭園グループの経営体を成す五臓六腑となって稼働しているわけですね。

104s.png商品品質

柴崎社長は生産のアドバイスをされるときに、いつも使われるシーンを想像しながらアドバイスされています。
「(ウェディングの)テーブルにこう置かれるから、アイビーのラインはこうじゃないときれいにいかない」とか
「スポットライトが当たるから、その時の葉の照りも重要だし、スポットライトの熱で焼けてしまうから肉厚でしっかりしたものがいい」などと的確なアドバイスをされています。


はい、ここからがポイントです。

日野洋蘭園さんでは化成肥料を極力使わないようにしています。

有機肥料や腐葉土を使い、殺菌剤には乳酸菌等を活用。
殺虫剤には海藻やでんぷんを主体としたものやニンニクや焼酎、トウガラシなどを成分にしたもの、忌避剤のニームなどを使用します。これらは植物や私たちの体には害はありませんが、菌や虫には効果があります。

また、十分なミネラルを与えるということも化成肥料の使用を抑えるポイントとなります。
ミネラルを十分に与えて健康管理。

植物を活性化し、免疫力を付けてあげる。そうすれば化成肥料は極力使わずに抑えることができるのです。
誰かあたしにもミネラルちょーだいε~ (-。- ) フゥー


実はこれも「腹八分目」栽培と繋がっていて、植物生理を利用し、健康指数をMAXにすることにより、植物の生命力を高めるのです。健康でしっかりしたものを作る。そうすればむやみに化成肥料を使う必要もないし、植物体のバランスがとれているわけですから、病気の発生を最小限に抑えることができるのです。


104s.png新商品開発

日野洋蘭園ではマーケットを意識し、物日ごとに求められる商品の特徴を考え、どの品目品種でどの規格が最も必要とされるのかを考えて規格作りを行います。

60cmの長めのアイビーがテーブルやブーケ用などウェディングで求められていることに目を付け、使い勝手が良く、日持ちの良いアイビーを周年出荷しようと取り組みました。

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このような奇麗で品のあるブライダルブーケができるのも、日野洋蘭園さんの存在感のあるアイビーが周年出荷されているかにほかならないのです。
(ブーケ制作/写真提供 F.COMMUNICATIONS 鈴木千春様)







もともとは鹿児島での生産はスマイラックスのみで始めましたが、今となっては個性的な商品でいっぱい!
それらの多くは元々は鉢の商材だったり、海外で流通していたものを柴崎社長が独自目線で可能性を見出し、マーケットで人気を得たものです。

シュガーバイン
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ワイヤープランツ
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グレープアイビー
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グリーンネックレス
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パンドレア
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リプサリス
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ミリオンハート
DSC02239.jpg(出荷商品は開花していません)

ギムノカルパ
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(商品紹介写真は日野洋蘭園提供)

などなど、ウェディングに合せた蔓物をたくさん開発された実績を持ちます。

今後も柴崎社長のお目に止まった新商品が登場を待っています。


104s.png最後にちょっとだけコチョウラン
先に少し触れましたが、日野洋蘭園さんでは葉物だけでなく、切り花のコチョウランもご出荷されています。

そして近年は、シミュレーションにより算出された数量を基に、コチョウランの出荷量を増やしています。

切り花のコチョウランは、鉢物のコチョウランとは栽培ノウハウが異なります。
豪華でボリュームのある商品に作り上げる鉢物と違い、ここでもまた「腹八分目」がキーワードになっています。

腹八分目にすることにより、植物体の代謝を上げ花が締まった商品を作ります。また、葉物と同様にこうして丈夫な体を作ることにより、花保ちが良くなるのです。
日野洋蘭園さんの切り花コチョウランは、存在感と気品が違います。
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良いコチョウランの見分け方は、
①花弁が厚く
②手に持った時にシャキッ★としていて
③花と花との間隔がほどほどに詰まっているもの

全体のバランスがとれていて、花がパッと開いているものは、まさに生命力を感じます。

また、日野洋蘭園さんの切り花コチョウランの花保ちはおよそ1か月がスタンダード。

長ければ2か月くらい持つこともあるといいます。

これもミネラルがきちんと吸収されたからこそ成せる技ですね。

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「日野洋蘭園さんは選別が良い」と市場関係者や顧客の皆様に高評価をいただく理由が分かりました。

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大田花きの葉物担当である藤田も
日野洋蘭園さんの品質はぶれない、ハズレがない、見事!」と高く評価しています。






1軒のみならず、委託先からの品質さえも年間通してぶれないその理由は、ただ「選別が良い」だけではなく、会社全体、グループ全体で取り組まれているシステムの構築があったからなのです。
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104s.png10年後の目標

柴崎社長の10年後の目標は、従業員を教育してレベルアップし、社全体の底上げを行うことです。 日々地道な努力をして社の成長を図る。冒頭で日野洋蘭園では従業員一人一人が1年後の自分、10年後の自分をイメージして「ありたい姿」を用紙に記入するとお伝えしました。
「自分のありたい姿、行動計画、夢、収入、住まい、買い物、健康、旅、家族、向上心、技術、待遇、自己管理」などなどその項目は多岐に亘り、1年後、3年後、10年後についてそれぞれ用紙に記入するのです。

目標を設定したら、達成をイメージする→思えば絶対に達成する!(思わなければ達成しない)→達成に向けて具体的な行動を継続するようになるというのです。
将来の幸福図を描かずして、幸福は訪れない。未来予想図を描かずして、自己の成長はないということです。

このように具体的に夢を描くことを従業員全員が1年後から10年後までやっていらっしゃるわけです。
まるで10年連続200本安打を達成したイチローのようです。
目標をイメージし、その達成に向けて日々ルーティンを積み重ね、大業を遂げる。仕事の奥義というか、まさに人生の奥義なのかもしれません。
チチローではありませんが、柴崎社長が農業経営の父に見えてきました。



104u.png 日野洋蘭園の格言

①「農家は一企業」と心得るべし。生産効率=利益の方程式をインプットして、花き生産のトヨタを目指すべし!


②経営はロジックとインスピレーション(左脳と右脳)との融合と心得よ。日々の蓄積データから従業員全員が同じ勘どころを共有すべし!


③委託生産でグループによる組織力を発揮すべし。徹底したマネジメントで周年高品質を維持し、ブランド力を高めるべし!


④社員全員未来予想図を描くべし!幸せの構図描かずして、企業と社員の幸せはない!


⑤潅水は腹八分目。人間の体と同じように筋肉質の体質を作り上げ、植物の持つ最大限の美しさと品質を引き出すべし!
生産性も上がり、輸入品に対しても十分な競争力を付けることができる!
切り花として出荷したときに日持ちも水揚がりも大変良好な商品が出来上がるのです♪


⑥農業経営ではイノベーションとシミュレーションを欠かすべからず。
 時代に即したイノベーションと投資のためのシミュレーション。仮説と検証、スクラップアンドビルドを繰り返し前進すべし。
人情も大切♪


⑦最終目的は「国を支える農業」と心得るべし。地域活性と従業員の幸せ、消費者の幸せなくして、花き産業は成り立たないことを忘るべからず。

104s.png日野洋蘭園 URL http://www.hinoyouran.co.jp/


104s.png買参人・仲買人、消費者の皆様へひとこと

①現在、顧客の皆様にメールで商品のご紹介しております。
当社からの具体的な出荷品目、出荷量、規格や品質に関する情報、或いは不定期商品のご紹介などをさせていただいております。
新商品やキャンペーンをはじめ、当社の商品をもっと上手にご利用いただくための有効情報満載ですので、是非ご登録ください。
お申し込みは、こちらのアドレスまで→hino@hinoyouran.co.jp

件名に「メール希望」、本文に
・ 貴社名/ご担当者名
・ お取引市場名/ご利用の仲卸名
・ 買参番号(お持ちの方は)
をご記入の上、お送りください。


②日野洋蘭園の商品一つ一つに宿る美しさを見てください。
健康的で艶々と存在感があり、またハツラツとしている。それが“美しい”ということです。
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日野洋蘭園さんの商品には、アイビーの葉1枚1枚、或いはスマイラックスの1本1本に魂が宿るのです(゚▽゚ヘ)☆彡


104s.png求人情報
日野洋蘭園さんでは、只今一緒に働く人を募集中です。
植物好きでマネジメントに興味があり、地道にコツコツと仕事を積み上げていける方、人と会ってお話しできることができる方、マルチタレントな方。
完全失業率5%の日本で能力を十分に発揮できずに悩んでいる方、日野洋蘭園さんで生き甲斐が見つかるかもしれません!


104s.pngおまけ

お彼岸を迎えた鹿児島は、夕日に輝く黄金の稲穂と畦道を埋めるヒガンバナの赤が美しかった・・・。


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こちらは空港から見えた山々の景色。親切にも空港内の警察官の方が山の名前を教えてくださいました。
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右から高千穂峰1,574m(なんと、あのパワースポット!う~ん、山にもパワーみなぎる!)、中岳1,332m、新燃岳1,421m、獅子戸岳1,428m、韓国(からくに)岳1,700m、そして一番左が白鳥岳1,363m。
これを覚えればあなたも鹿児島通です!

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<写真・文責:ikuko naito@花研>

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.