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2011年3月28日

vol.84 JA香川綾歌南部

東北関東大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
小欄で過去に取材の際にお世話になった生産者さんの中でも、多くの方々が甚大な被害に遭われています。
1日も早い復興をご祈念申し上げます。

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さて、香川県シリーズ第3弾です。
母の日前特集で前回からカーネーションリレーをしています。
花業界では決して無視することのできない年間一大イベントである「母の日」が目前に迫ってきました。全国各地のカーネ―ション産地はこの母の日に向け、今一生懸命準備中です。
カーネーションをご利用される皆様も、この産地ウンチク探検隊をご覧頂いて、ぜひもう一度カーネーションの生産に関するノウハウを少しだけインプットしていただきたいと思います。


今回やってまいりましたのは「JA香川綾歌(あやうた)南部」(以下「綾歌」)です。
綾歌のカーネーション栽培は森さん、岡田さん、岡内さんの3軒から成り、次世代後継者とともに生産に取り組んでいます。

3軒合わせてハウス10棟、延べ床面積6,000坪、栽培面積3,000坪、総生産品種は50品種にもなります。
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はい、早速ですがここで一つお勉強です。
ハウス内全てを指す延べ床面積をカーネーションの場合「建て坪」、そのうち花が植えてある実際の栽培面積を「植え坪」といいます。
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建て坪に対し植え坪50-60%くらいが平均です。前回の香花園さんは60%でしたが、綾歌さんは50%くらいのようです。(どちらが栽培に良いということではありません。念のため)


JA香川綾歌としてカーネーションの生産を始めたのは平成元年。
“それまでも花生産一筋48年!”というのは岡田さんのお父様である岡田義美さん。
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「日本の花文化は確立していて、既に何百年も続いている。これからも廃れることはないだろう」との見通しから花生産に携わっています。カーネーションを選んだきっかけは、当時日本花き生産協会カーネーション部会の部会長をお勤めであった香花園の真鍋さんが近くにいらしたので、指導してもらえるからということでした。他の生産品目も案はありましたが、近くに指導者がいらっしゃるカーネーションを選んだというわけです。




さて、平成元年にカーネーション栽培を始めたこの綾歌には、どのようなウンチクが隠されているのでしょうか。

まずは生産から伺ってまいりましょう。
3軒がそれぞれの方法で生産していますが、森さんは100%ロックウール栽培をしています。
(中には土耕でやっている方もいらっしゃいます)

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こちらは森健人さん、27歳。

「栽培はロックウールとピートモスを使い、改植は毎年。毎年ゼロからスタートするんだ」


同じ香川でも前回の香花園さんは土耕だったかと思いますが、ロックウールを使うメリットは何でしょうか。

改植のときに時間短縮ができるんだよ。ロックウールは1ベンチずつ蒸気で消毒していくんだけど、この作業を1日で仕上げることができるんだ。一気に消毒、一気に定植して、その日のうちに次期に向けたスタートができるわけだから、効率的でしょ」

なるほど、これは作業効率が良いですね。労働力と時間が短縮できるというのは、ひとつの大きなアドバンテージですね。

「6月のブライダルシーズンでも“白が欲しい”というリクエストがあれば白を残して、別のところから改植を始められるという作業メリットを得られる。皆さんが欲しい時に買っていただいて喜んでいただくために、1年の中でもできるだけ長い期間、良い品質のものをご提供するための選択だよ」

そうですか。消費者のニーズを思ってこその選択なのですね。

栽培のときに注意していることはありますか。
「生き物やし、結果は正直に出る。肥料も含めて、天気に合った管理をしないとな。
同じカーネーションでも品種によって全然特性が違うから、それをつかむまでに試行錯誤。毎年変えていかないといかん」

何かコツとか勘どころってあるのでしょうか?
「6-7月に定植するんやけど、水も肥料も一気にたっぷりとやる」

え?“たっぷり”ってそんなことアリですか?∑('◇'*)エェッ!?

「そう思うやろ。普通は何でもエサを少なめにして、強く育てるんやけど、うちはちょっと栄養過多にするんだ。
そうすると枯れたりするでしょ。それでも残った良い株を育てていこうっていうエリート教育なんだよ」
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あえて過保護にしてスポイルされた子はサヨウナラ(^_^)/~~サヨナラ
それでも逞しく生き残る子だけを育てるって、そういう方法なのですね。
そういうのって誰から教わるのですか?

「他産地にお邪魔して勉強させていただいたり、本を読んだり・・・まあほとんどは独学だよ」

お父様から聞いたり?
「こんなことは親父にも聞けん。プライドかな?親父に聞いたら親父を越えることはできん。」
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おっと、森健人さん27歳、“親父越え”を目指します。
こちらは森さんのお父上。壁は高そうですよ~。
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ここ綾歌でも、カーネーションの葉にはしっかりワックスが載って、葉がクルンクルン@@しています。
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このことを生産メンバーのお1人、岡田浩二さんが分かりやすく説明してくださいました。


「ワックスは植物が自分自身を守るために出すもので、これがあるということは病気にも強いということなんだ。人間でいう皮脂が固まって白くなったものだよね。成分は油分だから水もはじくしね」

では葉のクルンクルン@@は?

「栄養状態が良く、ストレスが少ないとクルンと巻こうとするんだ。ストレスが強いと葉を伸ばそうとする。
葉を巻いても十分生長できるくらい栄養状態が良いということなんだよ」

なるほど。そういうことでしたか。“若くて元気で丈夫!”これはもうなんだかアタシから見ても「3大羨ましい」の全ての要素が入っていますね。
綾歌のカーネーションから若さと元気と丈夫さをいただいてしまいましょ!(o^∇^o)ノ


前回特集した香花園でもそうでしたが、綾歌でも炭酸ガス発生装置を使っていました。
コレコレ。
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香花園さんと同じこのようなものから、森さんのところでは高価なマシンもご購入されたそうです。
(↓コレ、ホント、タカイ。そう見えないけどウン十万円;)
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「きちんと一定量の炭酸ガスがあると生長も促進され、節折れしにくくなるんだよね」

そうそう、カーネーションといえば、お花屋さんでも花瓶から取ろうとするときにポキッといっちゃうんですよね。特にスプレー023d.jpg・・・
これはお花屋さんにとっても悩みのタネですよね~*´Д`*
「品種特性もあるんだけどね。高かったけどこのマシンを導入してから秀品率が高くなったんだよね。今は90%が秀品」

出ました秀品率90%。なんとスゴイ!


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ていうか、森さん、先ほどからお話をしながら何をされているのですか?

芽かきだよ」

芽かき?

「そう、余計なツボミを取り除くことだよ。スタンダードもそうだけど、スプレーは次の芽がどんどん出てくるからね。
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付いたままだとカッコ悪いし、極論だけど1本にツボミ10輪、花3輪だと結局お花屋さんでツボミを取らなくちゃいけなくなるよね。

取るときは葉が出ている方向と垂直の方にポキッとおると簡単に折る。
でもきれいに節から折らないと、完全に取りきれていないからそこからまた芽が出てきちゃうんだ。
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2番花、3番花が出てきたら、1番花は必ず取る。すると2と3に栄養がいく。
2と3だけになるけど、あとから必ず4番花が出てくる。
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そこでこの4を取るんだ」これが芽かきの手順です。

チョットチョット、ヾ(゜、゜*)コレなんですか?
御座のようなものがこんなところにありますが、何のためのものなのでしょうか。
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「圃場で切ったカーネーションをこれに巻いて作業場に運ぶんだよ」
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なるほど、でもなぜ、い草なのでしょう。

① 大きいから一度でたくさん運べる。→作業効率が良い
② 自然素材なので、素材が丈夫→耐久性が良い
③ ビニールに比べると、い草で巻いた方が花傷みが少ない→品質保持性
④ 入手しやすい→商品確保、流通性
などということのようです。

日本にある資源を有効に使うということは良いことですね。

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収穫したものをこのようにい草マットに巻いて集荷場に持っていき箱詰めします。
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このい草マットは出荷準備の作業台にもこのように使われています。
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お邪魔した時はまさに出荷のピーーーーーーークッ!
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皆さん黙々と作業されて、物音だけが作業場に響きます。
スゴイスゴイ。

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おっと、大田花き行き発見!
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(・_・).....ん?この青い大きな器はなんじゃ(・_・?)
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夏の子供用プールか?そういえば森さんも岡内さんも岡田さんも育ち盛りのお子さんがいらっしゃると言うとったな。



教えて下さったのはJA香川県綾歌南部の瀬戸宏隆さん、25歳。(←若ッ!)
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「前処理用の桶だよ。25本パックにした後、ここで花持ち剤入りの水で水揚げをするんだ。もちろん全量ね」

なるほど、こうやって出荷前にここに浸けて鮮度保持剤を吸わせるのです。
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「たまに夏の暑いときはプールにしちゃうけどね・・・」

え??∑(゜◇゜;) あ、やっぱり??

「うそ」σ(゚┰~ )

はい、どうもありがとうございました。


出荷物は全量前処理を行います。

こちらがそのマーク。
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出荷箱のここに付いています。
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産地が行う前処理のことを“STS処理”といったりします。

出ました。業界のキーワード、“STS”。出る単間違いなし!

STSとはsilver hiosulfate(チオ硝酸銀)の略で、これが入った溶液で水揚げをするため、そう呼ばれます。
植物が収穫されたときに自らが出すエチレンガスにより、(エチレンガスを出す切り花は)一気に萎れていくのですが、このSTS剤はその老化作用を抑えて、切り花の寿命を長くするミラクルパワーを持っているのです。

殆どのカーネーションの生産者さんは、このようなSTS処理をしていますが、綾歌でもその処理をきちんとしていますよということを、出荷箱に明記しているのです。

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さて、生産の次は綾歌の団結力について探ってみましょう。

綾歌では生産者の3軒と農協との4団体でチームを作り、担当制ではなく4組織で全部を行うという方法をとっています。
この組織の大きな担い手は25歳から36歳までの若いメンバーです。

こちらがその構成メンバー↓

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あ、あのぉ普通でいいんですけど、普通で・・・^_^;
何もお願いしなくてもこんな風にフォーメーションを組んでしまうところが、日ごろの団結力の強さを物語っていますね。


「毎日会っています。会っている時間はお互いの奥さんより長いかも!」
というくらい彼らは密にコミュニケーションを取り合っています。


「公私を分けないんだよね。“ちょっと子供の熱出た!”みたいなことになると、事情も理解してお互い助け合う。“僕はこの担当”ではなく、4人で全部を担当するのです」
東京にも毎年定期的に訪問し、マーケット調査に余念がありません。


グループを構成するお1人にお話を伺ってみました。

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あ、アレ?(゚ー゚?;)

お花の生産者さんですか?

「ハイ、岡内です」

これはこれは失礼いたしました(^^;)。。。綾歌のコアメンバーのお1人である岡内史行さん。27歳(←若ッ!)

こう見えて正真正銘のフラワーピープルです。
岡内さんはご卒業されてから某地方市場にご勤務されていましたが、平成18年から生産スタート。
仲間の皆さんの存在は?

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「見本になるし、尊敬できます。経験豊富な方たちだから、助け合ったり教えてもらったり。“隣よりも良いものを!”っていう競争心も出るから良い存在です。競争原理が働かないと、良いものはできないからね!」


小学生のころ、ハウスに囲まれた通学路を毎日歩きながら花の生長を見ているうちに、自然に自分の庭で始めるようになったそうです。この時期には種をまいて、この時期には芽が出る、そしてこの時期には鉢上げが必要などというサイクルは、毎日朝夕見ているうちに自然に覚えたといいます。

観察力があるのですね。
みんなが同じような通学路を通っていたにもかかわらず、岡内さんには花や野菜が目に留まり、また別の人には別のものが目に留まるわけですから、やはり岡内さんは幼いころから植物の生長にご興味があったのでしょう。

そして、小学生低学年のうちからご自身でマリーゴールドやパンジー、ビオラ、サルビアなどのタネを撒き育て始めたといいます。
冬場でさえも、ご自分の部屋に土を持ち込んで、花を育てたのだとか。この興味と好奇心は半端じゃありませんね。


花生産て大変ではありませんか?

「大変というより楽しいな。苦にはならん」

花を生産するために生まれてきたような岡内さん。
生まれ変わったら、カーネーションじゃないとしてもまた花の生産をしたいといいます。

なんだか見た目によらず(あ、失礼!)本当に花好きなのですね。

綾歌はこんな花好きの生産者さんが集まっているグループなのです。
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岡内さん、写真撮りますよ~。笑って、笑ってぇ~^_^;!!


【東京進出のきっかけは?】

綾歌は2009年から大田花き出荷してくださっています。お取引を始めてまだ年月が浅いのですが、何かきっかけはあったのでしょうか。

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瀬戸さん「果樹や野菜の販売で大田市場でも野菜の方にはよく行っていたんだ。
あるときに大田市場の青果の方で会議があったんだけど、30分くらい時間が空いてしまって、フラッ~と花市場に行ったら、(大田花きカーネーション担当の)芳垣さんがいたんだ。

産地検討会などでお会いしたりして、顔だけは知っていたので声をかけてみたら、カーネーションを出してみようっていう話になってね。
それが始まりで今に至っているんだ。周りのみんなのお陰でいろんなことがトントン拍子でうまくいっている」

それまで花は地元と関西の市場のみに出荷していたそうです。
大田花きでカーネーション担当の「芳垣と目が合った」のがきっかけで東京に一度出荷してみると、意外にもマーケットの評価が高く、それ以降も「東京で勝負したい!」という気持ちが高まっていったといいます。

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ここで復習ですが、そもそも母の日の発祥は何でしたでしょうか。

遡ること1900年代初頭、米国のアンナ・ジャービスという女性が、母親の追悼式で教会に集まった人々に白いカーネーションを贈ったことに始まります。
このアンナの母親というのは日曜日に教会で教師をしていて、なかなか人徳も篤く、南北戦争中に組織した女性運動クラブで敵味方を問わず負傷した兵士の衛生状態の改善に尽力した人なのだそうです。

母親の死後2年後に、アンナが教会で母親を偲び集まってきた人に白いカーネーションを贈る記念会を催したところ、母親思いのアンナに心を打たれた人々はいつも母親を思う大切さを認識して、毎年母親を集め母の日を祝ったことが発端となりました。

日本では、戦後米国の文化に倣ってカーネーションを贈るようになりました。カーネーションは日本でも生産され始めてから100年以上経ちますが、前回のウンチク探検隊でもご説明いたしましたとおり、昭和40年代のカーネーションの技術革新に洋花ブーム到来が相まって、国内のカーネーション需要と生産は爆発的に伸びていきました。


ところが、現在はコロンビアや中国などの輸入品が劇的に増え、国内生産者は生き残りをかけて策を講じていかなければならないのが現状です。

一般的には、工業製品では輸入が25%を超えると国産商品は大きな影響を受け、更に30%を超えると急速に息を潜めると言いますが、このデータから行くとなんと花き業界でもカーネーションの輸入は2007年の時点で既に30%程度。その後も増えていますので、更にその数字を上回っているものと思われます。こんなに右肩上がりで輸入が増えている花き品目をほかに探すのはなかなか難しいのではないかと思うくらいの輸入品率です。

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(データ元:『フラワーデータブック 2008-2009』 財団法人日本花普及センター編)


このような輸入の増加は脅威に感じませんか?
森さん「全然感じないよ。」

マジで?∑(゜◇゜;)

「(消費者に対して)花の価値を下げなければ、輸入も受け入れたいと思うね。国産を買ったらモノが悪かった(だから花はもう買わない)とか、輸入を買ったらモノが悪かったと思われることがなければOKだよ。

むしろウェルカムくらいに思っているよ。周年通して消費者に良い花を供給するのが私たちの役目だから、輸入品とタグを組むことによってそれができるなら、ウェルカムだよ。
消費者の皆さんが欲しい時に自分たちが出荷できない時期だったとして、無理して変なものを出すくらいやったら、輸入にお願いしたいくらいやわ」

海外の見えない産地とも連携をして消費者の満足のために花を作るという森さんの心意気は、まさに本物。
コロンビアからでも火星からでもどんどん入って来い!って感じでしょうか。


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もう一人、お兄さん格の岡田浩二さんにも同様に輸入品に対する見解をインタビューしてみましょう。
「脅威を感じないといえばウソになるけど、消費者は輸入品が必要だからそれを買うわけだよね。必要とさせた国内生産者に問題があるってことだと思う。マーケットが必要としているんだ。

本来なら必要のないものは生活に定着しないでしょ。
20年くらい前に米が不作だった時に、海外産の米を大量に輸入したことがあったけど、日本には定着しなかったよね。それと同じだと思う」

また、栽培者の高齢化が進み、栽培面積の減少、国産花きの将来の不安が叫ばれる昨今ですが、この綾歌においてはそんな話はどこ吹く風。ここでは20、30代を中心をしたこんなに頼もしい次世代経営者が確実に育っているのです。


森さんは後継に何の戸惑いもなかったのでしょうか。
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「ないよ。19歳の時に大変そうな両親を見て手伝おうと思ったんだ。
花を触っていたら、自分の性格も元気に明るくなってね。それまでは“なんでそんなに怒りよるん?”て言われるほどいつも怒っていたのに。それで花をやろうと決心した。最近は“いつもニコニコ楽しそう”って言われるわ」

なるほどぉ~。その笑顔が若くて元気で丈夫なカーネーションを作る秘訣なんですね。
そのスピリットは、綾歌のカーネーションを手にされた消費者の皆さんにも届いているはずです。


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【香川県で花を作るということ】

カーネーションの原産国はシチリア島などの南ヨーロッパ、或いは北アフリカや西アジアなど地中海沿岸地域です。
前々回の丸福清花園さんのオリーブではありませんが、香川県で何かを栽培するというのはやはり地中海性気候に似た気候環境を生かせるという特徴があるのですね。

地中海といえばローマ帝国が繁栄を遂げたところでもありますし、周年を通して農産物は豊穣な収穫ができるからということもあり、周辺各国でも取り合いとなったほど自然の恵みに溢れているところですね。シチリア島などはまさに地中海の真ん中に位置して、みんなが“欲しい”と領地合戦の戦場となったところです。
そんなカーネーションの原産地地中海と同じような気候条件でカーネーションを作れるいうのは、香川県が持つ大きな強みです。

香川は少ない人口ながらも比較的就農率が高いと伺いました。

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瀬戸さん「小豆島でオリーブ生産が盛んなように、瀬戸内海気候は地中海性気候に似ているんだよね。日照量が多くて雨が少ない。だから周年何か作れるというメリットがあるんだ。
一方、日本一面積が小さいから量では他県に勝てない。香川県は農業従事者数が多いけど、1軒1軒の所有面積も小さくなる。こういうデメリットをカバーするのに十分な気候があるから、香川県の農業はあらゆる品目を幅広く作っているんだよ。実は香川県は規模は小さいながら全国でも有名な農産物の産地なんだよ」

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香川の特産はうどんやカーネーションばかりではなく、コメを始めとしてカキ(柿)、ブドウ、イチゴ、レタス、ブロッコリー、アスパラガス・・・もちろん県内、関西地方の消費のほかに東京のマーケットでは高級店を顧客に勝負しています。


こちらはちょうど取材当日出荷を迎えたイチゴちゃん。
「さぬきひめ」ですって。ネーミングも麗しい☆ヽ(*'∀'*)/☆゜:。*。
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しかも・・・全長が5cmもあるぅ~(≧∇≦)
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青森のリンゴ、愛媛のミカンみたいに「うちはコレ!」というのはありませんが・・・ま、オリーブがそれに当たるかな・・・幅広い品目を栽培できる、或いは他県にできない品目を栽培できるというのが香川県の得意技です。
また、香川の場合、多岐にわたる品目を栽培できるだけに果樹や野菜の生産農家は品目のかけ持ちが多いのですが、花と畜産では専業率が高く、80%以上が専門農家であることが特徴です。ちなみに畜産といえば“讃岐三畜(さぬきさんちく)”:讃岐牛、讃岐コーチン、讃岐夢豚も香川特有の農産物です。

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讃岐三畜のほかに“讃岐三白(さぬきさんぱく)”というのもあります。

砂糖、塩、木綿の三つの特産を指していますが、実はここ綾歌にとって讃岐三白と言えば「砂糖、塩、ホワイトラブ」。
ホワイトラブとは綾歌から出ている白いカーネーションです。
「讃岐といえば、砂糖、塩、ホワイトラブ」という合言葉もどうぞお忘れなく( ^―゜)b


いやいや、それにしても雨が少ない快適な気候の下、香川で農業をするというのは様々な選択肢があるんですね。

「雨にはそんなに降られんけど、女の人にはよくフラれます・・・(;_;)」(by瀬戸さん)
“結婚しとるやろー!” ヾ(ーー )ォィと突っ込みたくなりますが、フラれて傷心のときはカーネーションにイヤされてくださいな。DSC08112.jpg

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icon.jpgJA香川綾歌南部の格言

・ カーネーションは過剰なくらいの栄養で育て、それでもスポイルされずに生き抜いたエリートのみを選りすぐるべし!(森さん流)

・ 部署担当制ではなく、グループ全体で全てを行うべし。
  お子様が熱を出しても助け合い♪

・  輸入品はライバルではなく、消費者目線で供給不可能な時期の協力者と心得よ。
   輸入カーネの増加はそれだけ消費者が必要としているからという事実を忘るべからず。

・  切り花を観賞するということは、ご飯を「いただきます」と一緒で、花の命をいただきますということ。
   地中海のシチリア日光を浴びて育った綾歌のカーネーションから若さと元気と丈夫さをいただき、自らの英気を養うべし!


icon.jpg消費者の皆様に一言

・  カーネーションは特に使い勝手の良い花なので、母の日のみならず日常で使ってください。(by 森さん)

・  TPP参加ムードが高まる中、花を作る人は花が好きな人だと思うので、職業としての花ではなく、花を愛する人たちによって育まれた温かいカーネーションを見てください。そして、綾歌の花のオーラを体感してください。(by 岡田さん)


・  「綾歌の花で癒されてください」(by ISSA似のフラワーピーポー岡内さん)

綾歌のマークはこちら。買出人の皆さん、箱にこのマークがついていたら、香川の綾歌からカーネーションを出荷する若い精鋭たちを思い出してくださいませ。
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↑この三角形のマークは、平成18年に綾上町と綾南町が合併して綾川町が生まれましたが、綾川町の前身にあたる綾上町の町章です。

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【ウン探のつぶやき】
カーネーション(carnation)の語源を考えてみました。
カーネーションて日本語でなんて言うのでしょう。ナデシコというと一般的には一重のナデシコを指しますし・・・
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薔薇みたいに当て字もないし、carnationという言葉はどこからやってきたのだろう(~ヘ~;)ウーン

よく見るとcarとnationでできているではないか。
つまりcar+nation=車国家か??
いやぁ、違うでしょ。どう考えても。これは絶対にハズレ。


Reincarnation(輪廻転生)と関係があるのか?まさかね。
昔、英語の先生に聞いたら「全然関係ない」って言われたしな。


・・・と思ったら、それを語源と説く人もいるようです。
ナデシコやカーネーションを英名でpinkというように、その花色から肉体を連想し、Carnis(肉)、或いはincarnacyon(神の化身、肉体化)が語源であると。
これらの言葉に「再び」という意味のReをつけると、Re-(再び)+incarnacyonで輪廻転生という言葉になるので、無関係ではなく元の語は同じということになりますね。となると、いよいよカーネーションを見る目も変わってきます。なんだか深い。


更に有力なのはcoronation(花冠)やcorone(花輪)から派生したとする説。
カーネーションが自生していた地中海の国ギリシャで行われた儀式の冠にカーネーションが使われていたからだそうです。
ちなみに学名のダイアンサス(Dianthus)は「神の花」という意味を持ちます。


最初の疑問に戻りますが、カーネーションを日本語で何と言うかというと、オランダセキチクといいます。
日本には江戸時代初期にオランダ人経由で紹介され、オランダセキチク(石竹)とかオランダナデシコなどと呼ばれていました。「竹」の字にあるように、確かにその節が竹っぽいですね!
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【カーネーションの花言葉】
母の日の花色選びの参考にしてくださいませ。
赤      : 真実の愛、愛情、母の愛、愛を信じる
白      : 亡き母を偲ぶ、尊敬、純潔の愛、私の愛情は生きている
ピンク    : 感謝、上品、暖かい心、熱愛
黄色     : 美、友情
オレンジ  : 温厚
紫、青    : 誇り、気品、永遠の幸福


オット、香川県シリーズ最後の最後に忘れてはいけない、讃岐うどんの話。
讃岐うどんが香川で普及したのは、うどんに不可欠である小麦、塩、イリコ(煮干し)、醤油などの原料がこのあたりでは特産品で、容易に入手できたからだそうです。

もともとは弘法大師空海が平安時代に唐から讃岐うどんの技法を持ち帰り普及させたとされます。
香川ご訪問の際は、讃岐うどんグルメツアーもお忘れなく。どのお店も外れなくおいしいですよ。
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<写真・文責:ikuko naito@hanaken>
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